第十一話

 夜空さんを家まで届けた帰り道。


 俺は「ふぅ〜」と一安心して大きく息を吐いた。


 じじじ、人生で初めて人を殴ってしまった……。


 そう思うと手がぷるぷると震えた。


 しかし……よかったぁ……俺、殴られなくて……もっと強い人だったら俺完全にボコされてたな……。

 そもそも、俺と翔悟のことで学校を休んでた訳でもなかったし……。

 でも、これで夜空さんが普通の高校生活を送ることができるはずだ……。


 その日は帰ってお風呂に入ってベッドに潜った……その時だったーー。


『優斗? まだ起きてる?』と玲からLINEが来た。


 こんな時間にLINEか……。


 時刻はすでに日を跨ぎそうだ。

 まぁ、明日は土曜日だし別に気にしないが。


『どうしたんだ? 夜更かしは美容の大敵だぞ? 早く寝な……』

『わかってるもん』

『そっか、なら早く寝ろよ……』


 全く……可愛い顔にニキビができちまうぞ……。


『ちょっと待って……優斗って、明日暇?』

『お、ぉお……暇……』


 これはデートのお誘いか?

  

『ほんと!? なら……一緒に私の家でクッキー作らない?』


 そんなの行かない理由がない。


『行く行く!! 翔悟は?』

『居ないよ〜。じゃぁ〜明日10時に来てね。楽しみに待ってるね〜』


 そして、玲からは可愛らしい少女のスタンプが送られてきた。

 

 俺はスマホをベッドに置いてガッツポーズをした。


「よっしゃぁあ!!!! 玲とクッキー作りだ……。でも……なんでクッキーなんて作るんだ? ……まぁ、いいや。早く寝るか……」


 俺は布団で口まで覆った。


 まままま、まじか……2人でクッキー作りだよな……。

 明日が楽しみだ……。


 そう思いながら俺は寝た。



 次の日。


 俺は玲の家のインターホンを鳴らした。


 すると、中から出てきたのは玲のお母さんだった。


 玲のお母さんも玲に似ていてとても美人だ。

 

「久しぶりだね。優斗くん」

「久しぶりです……玲のお母さん……」


 玲とは保育園からの幼馴染の為、昔はよく玲の家に遊びに行ったものだ。

 受験期からは来てないが。

 その為、玲のお母さんと俺のお母さんも家族絡みで仲が良い。


 俺は「お邪魔しまーす」と中に入った。


 久しぶりだな……。

 まぁ、約1年しか経っていない為大きな変化はなさそうだ。

 

「玲はまだ上にいるから……あとは若い子たちで……私は出かけてくるね」

「ありがとうございます……」


 玲のお母さんはどこかへ行ってしまった。

 

 どうやら、玲のお父さんは今日は仕事か家に居ないらしい……そして、今玲のお母さんもどこかへ行ってしまった……つまり、今は2人きりということか!?


 そう思うと心臓の鼓動が増すばかりだ。


 たしか……上に玲がいるって言ってたよな……。


 俺は階段を登り玲の部屋に向かった。

 そして、玲の部屋のドアを開けたーー。


「玲……あ……」


 そこに居たのは白い下着で着替えている玲だった……。


 やってしまった……。


 俺は慌ててドアを閉めようとしたが……。


「待って……」と玲は俺を止めた。

「なっ……」


 玲は俺のところまで来て「どお? 似合ってるかな? この下着……」と首を傾げて言った。


「に、似合ってるから……服を……」と俺はそっぽを向いた。


 玲って……こんなに積極的なやつだったか……。


「なっ……」


 俺は目を大きく見開き愕然とした。

 

 本棚の上にゴムが抜かれ破かれた袋が置いてあったからだ。


 なんでだ……。

 玲は付き合っていないはずだ……なら何故こんなところに袋だけが……。


 足がぷるぷると恐怖のあまり震えた。

 そして、額から流れる汗……その汗を袖で拭いて。


「なぁ……玲って誰かと付き合ってたりは……」と俺は恐る恐る聞いた。

 

 すると、玲は顔を赤くしながら「そ、そんなことないよ……私は……ゆ……私には好きな人がいるから」と言った。


「だ、だよな……」


 俺はハァ……っと安心のあまりため息をついた。


 じゃぁ、なんでゴムが……セフレか……?

 いやいや……見間違いだよな……きっと……。


 俺はそう自分に言い聞かせた。


 俺はもう一度確かめようとしたが、勇気がなくそのまま確かめなかった。

 怖かったからだ。

 もう一度確かめて置いてあった時の絶望を味わいたくなかったからだ。


「よし!! 着替えたよ」


 俺はその声を聞いて玲の方を向いた。


「か、可愛い……」


 そう、声を漏らすほど可愛いかった。


 玲の服装はかなり攻めており、胸元と背中の露出が高いメイド服だった。


「な、なんでメイド服を……?」

「優斗に喜んでもらう為と……エプロン代わり♪」

「そ、そうなんだ……あざす……」


 その姿を見ただけでギンギンな俺は変態なのかな……。

 



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