第七話

 俺は席に戻ると夜空さんに話しかけた。


「あのさ、夜空さん?」

「どうしたんですか?」

「ちょっと、夜空さんの為っていうか……なんというか……男嫌いを克服するために、俺の頼れる親友を紹介するっつーか……」

「わ、私のために!?」と嬉しそうに言う夜空さん。


 その姿を見たら申し訳なくなってしまう。

 夜空さんの為じゃない……俺の為そして親友のために紹介するのに……。


「そ、そうだよ……」

「ありがとね」と笑顔で言う夜空さん。


 とても嬉しそうにいる夜空さん。


 夜空さんから見たらこんなにも一生懸命男嫌いの克服を手伝っているのだ。

 嬉しくないはずがない……。


 そう思うと胸が痛む。


 でも、仕方がない事なんだ。

 俺が玲と付き合う為にも親友が幸せになる為にも。


「じゃぁ、連れてくるね……」

「ううん」


 俺は席を外して翔悟の席へ向かった。


 もちろん、翔悟の席は人が集まっている。

 ちなみに、玲の席にもだ。


「ん? どうしたんだ? 優斗?」

「あの件、夜空さんの……」


 そう言うと翔悟は目を輝かせてニヤッと笑った。


「ありがとよ」と翔悟は立ち上がる。

「ぇえ〜、翔悟くん〜」とカマッて欲しそうに言う葵さん。

「だるいな……」とボソッと言う翔悟。


 ん? 今なんて……。


 聞き取れなかったモノのたしかに何か言っていた。


 葵さんと翔悟の関係に何かあると感じた。


 翔悟は頭をかきながら「後でな……」と俺のところへ来た。


 そして、「よし、行くか……」と俺と翔悟は夜空さんの席に向かった。


「なぁ、お前葵さんとはどういう関係なんだよ?」と気になったので聞いてみる。

「ん? ぁあー、だな……」と真顔で言う翔悟。


 その顔に少し違和感を抱いた。

 

 あれ? 

 何か隠してる……な?

 2年も親友をしているんだ。

 そんな嘘バレバレだ。


「…………嘘だな? 親友に嘘はバレるぞ?」

「いや、ほんとだわ。ただのフレンド……ぁあー、ではないな……」

「ふん、なんだそりゃ」と俺と翔悟は笑っていると気づけば夜空さんの席に着いていた。


 俺は翔悟の方に手を差し出して。


「夜空さん、この人……翔悟って言うんだけど……めちゃくちゃ優しくて良い奴なんだ……ぜひ友達に……」

「俺、翔悟です。よろしく」と一礼する翔悟。

「えっと、その……よ、よろしくお願いします……」と少し困惑しながら言う夜空さん。


 困惑するのも無理はない。

 ただでさえ、男嫌いなのに有名人の翔悟だし。


「それでさ……」と更に話をしようとする翔悟。


 その様子にアワアワする夜空さん。


 今日はこのぐらいにしてもらおう……彼女の今の反応からして、徐々に話す回数を増やした方が良さそうだからだ。


「よし、翔悟……」

「えっ、ちょっ」


 俺は翔悟を連れて廊下に出た。


「何すんだよ? せっかくぅ〜、俺が今から夜空さんと仲良くなれそうだったのに……なんだ? 嫉妬か?」

「いや、夜空さんさ……少し男嫌いらしいんだ……だからさ、徐々に……」


 ごめんよ、翔悟。 

 これに関しては俺にはどうこうできない。

 夜空さん本人にしかどうこうできないんだ。


「はぁ? お前ばっかり仲良く喋ってんのに?」と少しキレ気味に言う翔悟。

「俺は男嫌いを克服する手伝いをするって理由で仲良くなってるからな。だから……」

「なんで、お前は……そうやって……ぁあー、だったら俺が自分でアプローチすれば良かったぁあ……ぁあー、もう決めたわ」と翔悟は教室に戻っていった。

「はぁ、ちょっーー」と手を伸ばすがその頃にはもう遅かったーー。


 あいつ、何する気なんだろ……。


 俺は急いで教室に戻ると翔悟は夜空さんのところにいた。


「お前なぁ……」と近づいた時にはもう遅かった。

「なぁ、夜空さん? 俺と優斗と玲と四人でキャンプにでも行かない?」

「お、お前……」

「い、良いですよ……」と無理をしているのが見て取れる顔で言う。


 翔悟、お前は何がしたいんだ……そんなに夜空さんを困らせてまで……。


「なぁ、お前……」

「良いじゃねえかよ、夜空さんも良いって言ってるしよ。なぁ? 俺たち親友だろ?」

「親友でもよ……」

「だ、大丈夫で……す……私頑張りますので……」と声を震わせながら言う夜空さん。

「よ、夜空さん……」


 夜空さんは作り笑いをした。


 くそ……翔悟……お前はほんとに何を企んでる……。


「じゃぁ、また時間を合わせるか」と翔悟は自分の席に戻ろうとする。


 だから、俺は翔悟を引き止めて。


「何がしたいんだ? お前は?」

「ん? 俺か? そーだな……夜空さんとしたい……」と悪ふざけなのか本気なのかわからない顔をして横を過ぎていった。



 帰り道。


(はぁ……やばいやばい……キャンプって……しかも、超有名人の玲さんと翔悟さん……でも、優斗くんがいるから……)


 夜空はそんなことを考えて歩いているその時だったーー。


「お、夜空じゃん」と男子高校生の集団の一人が夜空に声をかけた。


 少し間が空いてから。


「え……」


 夜空は目を大きく見開いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【告知】

『学年一の美少女で自慢の幼馴染が親友に寝取られたので復讐します!』を規制によって少し情報が少なくなってしまったので近々、内容を少し変えて《完全版》? 的な感じで投稿したいと思います。前回、『ざまぁが弱い』というコメントをいただいたので今度こそざまぁを頑張って強くするように作ります。


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