第二話

 学校は初日なだけあり、先生の説明で今日は終わりだ。

 明日からはいよいよ授業が始まるらしい。


「なぁ、優斗……?」と俺の席に翔悟が来た。

「ん?」と俺はカバンを持ち席から立ち上がる。

「一緒に帰るか……玲も……」


 そこに、「うん!」と玲も俺の席に来た。


「なぁ、お前たち……ちょっと俺が気まずいんだが……」


 辺りを見ると男女みんなが翔悟と玲に注目している。

 他のクラスの人たちも「イケメンがいる」「美少女がいる」などと、噂を聞き駆けつけて来ている。


 はぁ……俺は……別に特別じゃないもんな……。


「いいよな、お前らは」

「何でだ?」

「だってさ、初日の時点でもう人気者じゃん……」

「そうか? 別に人気者だからっていいことはないぜ? そんなこと言ったら、優斗も俺と玲から人気者だ……」

「何だ? その謎理論は……」


 まぁ、励ましてくれているのだろう……。


「まぁ、そうだな。お前たちが友達でよかったよ……」

「ほ、ほんと!?」と少し驚き気味に言う玲。

「ああ、ほんとだよ」


 はぁ……こんな何もない、ただの楽しい日常が続くだけで俺は幸せだ……。


「じゃぁ、帰るか」



 次の日。


「お願い!」と一人の女子が俺に声をかけて来た。


 どうやら、翔悟のことが好きでいろいろと知りたいらしい……。


 そこで、親友の俺に聞くのか……。


「まだ二日目だけど、もう告白するんですか?」

「ま、まあね。みんな、すでに翔悟のことを狙ってるからね」


 俺は翔悟の方を向くとかなりの女子が翔悟の席に群がっていた。


 やはり、翔悟はモテるな……。

 中学の頃からとてもモテていた。

 しかし、告白は全て「ノー」。

 理由としては自分が本当に好きな人と付き合いたいらしい。


「そんなに、やばいのか……。でも、別に告白したところで振られるぞ?」

「なんで?」

「あいつ、本当に好きな人としか付き合いたくないって言ってた……」


 すると、一人の女子は「あっそ」とつまらなそうな顔をして帰っていった。


 あれ? 何か悪いことをしたのか……?

 彼女が今まで出来たことがなく、うまく女心という物が理解できない。

 ハァ……俺もそろそろ彼女とか作った方がいいのかな……?

 でも、俺の初恋は玲……。

 玲と付き合うのが一番の幸せなのだが……。

 

「ハァ……」と俺は机にほっぺをくっつけながら言う。


 そういえば、夜空さんってずっと読書してるよな……。

 友達がいないのか? 読書が好きなのか? 全くわからないが孤独を怖いと感じないのかな……?

 俺は幼馴染と親友がどこか遠い世界に行っている気がして、絶賛孤独を感じているのに……。


 すると、そこに。


「あのさ、君。玲さんと仲良いよね?」と一人の男子がやって来た。


 こいつも、先程の女子と同じで俺を通して玲と付き合おうとしているな?

 

「いや、仲良くないですよ」


 ここで俺が協力したらもしかしたら、玲が取られてしまうかもしれない。


「いや、嘘でしょ!?」

「本当だよ」

「あんなに仲良さそうにしてるのに?」

「うるせぇーなぁ……そんなに疑うなら自分の力で何とかしろや……」


 びっくっとした後に男子はとぼとぼ帰っていった。


 はぁ……ほんとにあいつらは人気者だな……。

 なんか、自分だけ居場所が違う感じがして来た……。


 中学までは感じたことがない変な感情が芽生え始めている気がした……。


 あ……これは多分。

 嫉妬か……。

 


 放課後。


「頼む!!」と翔悟は言う。

「なんだよ?」

「お前の席のさ、夜空さん。あの人可愛いよな……」

「まぁな」


 でも、玲の方が数億倍可愛いけど……。


「だよな。俺さ自分から話しかけるの得意じゃないじゃん?」

「まぁな」


 翔悟が女子と喋っている時は大抵、女子の方から喋りかけている。


「だからさ、俺。待ってたんよ? でもさ、夜空さんは静か系女子でさ? 俺のところ来ないわけ」

「たしかにそうだな……勿体無いよな……」


 この二日間、未だに彼女の声を聞いたことがない。

 自己紹介を除いて……。

 きっと、もっと喋ればモテるのに……。

 

「俺は夜空さんと付き合いたいんだよなぁ……だからさ、頼む!! 隣の席である大親友へお願いだ!! 彼女と仲良くなって俺を紹介してくれ……」


 なんて無茶振りを俺に振りやがる……。


「えー?」

「その代わりにさ、お前玲好きだろ?」

「なっーーー」


 何で知ってるんだ? 誰にも言ったことがないのに。


「何で知ってるかって? それは、態度に出てるんだよ。お互いとも」

「心を読むな! お互いとも……?」

「そうそう、玲も絶対優斗のこと好きだぞ?」

「そ、そうか?」

「もっと自信持て! 俺みたいに……」

「そ、そうだな……」

「だからさ、お願い。夜空さんと仲良くなって俺をくっつけてくれ。俺もお前が玲と付き合うサポートするから……」

「ほんとか?」

「ああ、ほんと。てか、まだ付き合ってないのがおかしいぐらいだぞ? 玲の周りの男たちの話を聞く限り付き合ってると思われてたらしいぞ?」

「そんなに仲良いように見えるか?」

「ああ」

「なんか、嬉しいな。じゃぁ、約束な?」


 俺と翔悟は手を握りお互いの目を見た。


 そして、誓った。


 "優斗は翔悟の翔悟は優斗の手助けをする"ことを。


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