第三章 if優斗と玲が付き合っていなかったら。

第一話

最初は甘々ですが、徐々に暗くなっていきます。

本作はifルートのため多少設定が変わっているところがあります。

あらかじめ、ご了承ください。


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 近所の病院にて……。


 目を瞑り病院のベッドで寝ている玲の頬を持ち、翔悟は玲の口に舌を入れてに熱くキスをした。


 その光景を目にした優斗は翔悟の胸ぐらを掴み「てめぇ!」と怒鳴る。


 病院は無音だった。

 その中で響く優斗の声。


 そのまま、優斗は拳を握り翔悟に殴りかかる。


「おいおい、殴っていいのか? ここで俺を殴っていいのか?」


 たしかにここで殴ったら、俺の負けだ……。


「くそ……くそ、くそ、くそ……」と優斗は翔悟の胸ぐらを離して悔しそうに言った。


 優斗は翔悟を睨んだ。


 復讐……復讐してやる……。



 4月6日。


「やったぁ、優斗と同じクラス!!」と玲は俺に抱きついた。

「ほんとだ!! 玲!!」


 桜舞い散る、ある春の日。

 俺たちは静原高校へ入学した。

 俺たちというのは、俺の他に一緒に入学した人がいるからだ。


 まず1人目に、玲。

 彼女とは、保育園の頃からの仲で両親も仲が良い。

 外見から性格、全てにおいてパーフェクトな彼女はずっと人気が絶えない。

 まさしく、学年一の美少女だ。


 そして2人目に、翔吾。

 彼とは、中学からの親友だ。

 彼も外見がよくイケメンで、学校が始まって一日目の今日でありながら既に話題が絶えない。


「お、お前ら。初日から熱いねぇ〜」とそこに翔吾がやって来た。

「おはよ、翔悟」

「ああ、おはよう。優斗……」と翔悟は笑顔で言った。

「よかったなぁ……みんなで同じクラスになれて、まさしく奇跡だな」


 俺たち3人はいつも遊ぶほど仲が良い。

 同じクラスになれたのだ。

 きっと、楽しい学校生活が待ってるに決まってる。


「ほんと! 奇跡だね優斗!」

「いいね、いいね!! お前らそのまんま、付き合っちゃえ!!」

「「うるさい!!」」と俺と玲は声を合わせて言った。


 俺もできるなら、玲と付き合いたいよ……。

 そう思い始めたのは保育園の頃だった。

 保育園の頃から仲の良かった俺と玲は、幼馴染というよりまさしく家族に近い存在だった。

 そのせいか、「好き」ただそのひと言を伝えるだけなのに言えなかった……そして、今に至る。

 

「ほら、仲良いじゃん……」とクスッと笑いながら翔悟は言う。


 全く、翔悟は……でもそういうところが面白くて気が合うのかな……。


「うるさいなぁ……」と俺は照れながら言う。

「悪かった、悪かったてば……」

「ならよし! じゃぁ、席の確認するから……」と俺と玲は黒板に貼られた席に名前の書かれた紙を確認した。


 まぁ、絶対に玲とは隣になったら近くになるはずがない。

 何故なら、俺の名字は岸木きしきであり玲の名字は鈴木すずきだ。

 

「席は……」


 まぁ、案の定。

 近くではなかった。

 でも、玲の隣は翔悟だったため他の異性に喋られることはなさそうだ。


 何故か、玲が異性と喋っているところを見ると胸が痛くなる……。

 玲が取られるんじゃないか……取られるんじゃないか……と。

 きっと、これも玲のことが好きだからだろう……。

 

「じゃぁ、少しお別れだね!!」

「そうだな」


 俺たちは指定の席のあるところへ向かう。

 ちなみに、俺の席は廊下側だ。


 たしか、隣は大空夜空って人だったなぁ……。

 とても、美しい名前だ。

 名前が美しいんだ、きっと本人も……。


 俺はイスを引きながら、夜空さんをチラッと見た。

 そして、席についた。


 彼女はどこか、寂しそうにしていた。

 そんな風に感じた。

 しかし、かなりの美少女だ。

 

「は、はじめまして……」と俺は言うが……。


 夜空さんは何も言わずに本を読んでいる。


 む、無視……ですか……。

 まぁ、初めだし。

 緊張してるんだな……。


 俺は玲と翔悟の方をホイホイっとチラ見した。


 少し、気まずいからだ。

 よくよく考えるといきなり声かけるとか……。


「はは、隣だな。玲……」

「うん」

「こうやって、知り合いと隣で俺は嬉しいや」

「私もぉ〜知らない人隣だと緊張するもんね……」などと楽しそうに話している。


 親友でありながら、少し翔悟に嫉妬してしまう俺は間違っているのかな……。


「ハァ……」とため息をつきながら俺は横顔を机にくっつけた。


 つ、冷たくて気持ちいい……。


 そして、チラッと聞こえてしまった。


「あそこの席の2人、美男美女よね……」

「玲さんと翔悟さんでしょ!! 私も翔悟さん狙おうとしてたけど、彼女が玲さんだとね……」などとヒソヒソと周りは玲と翔悟のことで話題奮闘だ。


 なんだよぉ……。

 別にあいつらは付き合ってるわけでもないのに……そうやって言われると……。


「ハァ………」と深くため息をした。


 ため息の声が大きかったのか、その声でビクッとする夜空さん。


 か、可愛い……。


 そのまま、俺と夜空さんは目が合う。


「「あ……」」と俺と夜空さんはお互い、反対方向を向いた。


 夜空さんの耳は赤くなっていた。


 は、恥ずかしい……。

 

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