第十一話

「おはよぉ、夜空!」と優斗は私に挨拶をした後に席に着く。

 

 ふふッ楽しみだなぁ……。

 こんな気持ち、元カレとの初デート以来だ。

 昨日の様子からもう、普通のアプローチはして来なそうだ。

 なら、玲さんはどうやって優斗にアプローチをするんだろう?


 そう思うととてもワクワクした。

 その気持ちは顔に出てしまうほどだ。


「おはよ、優斗!」と私は笑顔で言った。


 しかし、玲さんが優斗に話しかけることはなかったーー。

 そのまま、3時間目が終わってしまったーー。

 

 早く……早く私を楽しませてよ……。

 ねぇ、どうやって優斗を振り向かせるの?

 身体かな? ねぇ、どうやって?


 そう、私は机にペンをコンコンと叩きながら思った。


「どうしたんだ? 夜空?」と私の動作に異変を感じたのか、優斗は私を心配する。


 だから、私は笑顔で「うんうん、何でもないよ」と言った。


 そして、昼休みのことだっだーー。


 はぁ……結局、玲さんはなにもしないんだ……つまんないなぁ……。


 すると、『夜空、屋上でご飯食べよ』と優斗から一件のLINEが来た。


 私は『うん』と送ろうとした、次の瞬間「優斗〜〜♪」と玲さんが優斗に抱きついた。


 へぇ……人がいないこのタイミングで、そう来るかぁ……。


 『つまんな』


 もっと、こう? 

 みんなの前で狂ったことしてくれると期待してたのに……。

 所詮、玲さんはその程度ですか……。


 そのまま、玲さんは優斗のほっぺを昨日の私のように両手で固定して……キスをした。


 別に『優斗が他の女にキスされた』ということに対して怒りは湧かなかった。

 それどころか、何故かとても気持ちが良かった。


 ふふッ、やっぱり玲さんは面白いなぁ……。

 振られた相手にキスでアプローチ……。

 まぁ、あなたにはもう身体しか残ってないものね。


 優斗は玲さんの両肩を押してキスから逃れた。

 その時に、2人の唇から伸びる唾液。


 玲さんはとろける様な顔をしていた。

 

「はぁはぁ……そうやって、翔吾にもやってたのか……?」

「うん、そうだよ♪ でも、翔吾とはもっと思いっきりするんだよ……こんな、風に……」ともう一度、キスをしようと優斗に近づく玲さん。


 しかし、優斗は玲さんから避けた。


 だいぶ壊れてるね……。

 ふふッ面白〜い。


「夜空、お前は先に屋上にいてくれ……2人で話す」と真剣な顔で言う優斗。


 はぁ……仕方ない……。

 もう少し、見たかったなぁ……。

 

 『壊れた玲の姿』を。


「うんうん、結婚についてね……」


 あ、そうだ……私のを通話状態で玲さんのカバンに入れて、遠くからそれを聞けばいいんだ……。

 どうせなら、14HRのグループで……。

 それなら、私のスマホの電源が無くならなければ放課後に通話に入ってくる人もいるし……もしかしたら、玲さんと翔吾がヤってるところも聴くことができるかもしれない……。

 やっぱり、私って天才〜。

 そうすれば、"学校的死"を与えることもできる。


 私は14HRの『通話』ボタンを押して、お弁当を持ち玲さんのカバンに私のスマホを入れて、私は教室を出た。


 そして、屋上に行き私はベンチに座りふと気づいた。

 スマホは玲さんのカバンの中にあり今の状況を知ることが出来ないことをーー。


 何やってるのぉ……私のバカぁ……。


 シュンとする私は大人しく、お弁当を食べることにした。


 今頃、どうなってるのかなぁ……壊れた玲さんはしっかり優斗にもう一度"復讐"をしたくさせてるかな?


 そう思うとワクワクが止まらなかった。


 そして、しばらくすると優斗が来た。


「遅くなってごめんよ……」と息を切らせながら言う優斗。

「うんうん、別にぃ……」

「それでさ、話があるんだ……」

「ん? なに〜?」

「俺の復讐の続きを手伝ってほしい……」


 彼の目は本気だった。


 ぁあー、やっぱり玲さん。

 あなたはほんとにすごいよ。

 復讐心を一度無くした人がもう一度、復讐心を取り戻すとは……。

 手伝う以外の選択肢なんてあるはずがない。

 

「うん♪」と私は笑顔で言った。

 

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