13話



「よっす、坊ちゃん」

「あ、なんだお前もう来たのかよ……愛しのユサとの時間がなくなるじゃんか!」

「俺に八つ当たりしないでくれよ、なぁユサ?」

『あはは……』


いつの間にか結構な時間が過ぎていたらしく、ジョーの後に僕に剣術を教えてくれると言っていたミリーがひょいと顔を出した。

ジョーは文句を言っているが、その言葉を完全スルーしてミリーは僕に話しかける。


「よし坊ちゃん、こんな山姥やまんばみたいなジョー婆さんとはお別れして、俺の所に行こうか~?」


顔は笑っているけど、次に襲いかかる最悪な未来が分からないんだろう。

ごめん、言いたくないけど

メリー、君は多分大バカだ。



「誰が山姥でばばあだって!??」

「誰もばばあだとは言ってねぇよ、ただ俺は婆さんっつったんだ」

「山姥だろうが、婆さんだろうがばばあだろうが全部一緒だ! ちょい、面貸せぇ!」


メリーの首根っこを掴み、店の外に引きずり出そうとしているジョー。


『はぁ……すみません皆様、ご迷惑をおかけしました……。すみませんでした……はい、二人にはしっかりと僕の方から叱っておきます。はいっ、ちょっと二人とも外出て! 恥ずかしい……』



二人を連れて外に出たのは良いものの、

ジョーが随分ご立腹していて僕の手に負えるかどうか怪しい。

こういう時に限って、ずっと相手を煽ることばっかり言うメリーの空気読めない所が出てる。



最悪。

僕怒っちゃいそう。


誰にも話した事はなかったけど、僕は怒るとたまに能力が暴走してしまう時がある。

髪が逆立ち、頭からは稲妻が走り、目は血走って上顎からは鋭い牙がむき出す。その見た目のせいで、ドラゴンが怯えて逃げていった時もあったな。結構あの当時は傷ついたんだからね。



頭の中でカチンと音がした。

あはは、なんかお芝居しているみたいだね。


『……二人とも』

低い声が響く。ふざけ倒している馬鹿な二人の耳には届いていないみたいで、面倒だけど僕はもう一度言った。

『……ふたりとも』


「ん!? 何!? 今めっちゃ忙しいんだけど、邪魔しないで!」

ジョーのふざけたような声と顔が妙にイライラして、どうしようもなかった。本来ならおもちゃをねだって、他の子どもたちと遊んで親とかにでも八つ当たりとかしているような年齢なんだよ? 僕。


『へぇ、“邪魔”ね……散々僕のことを連れまわして喫茶店に連れてきたと思ったら、店の中で騒ぎまくって十歳の僕に謝らせて恥をかかせた挙句、今度は二人で街頭公演でもするつもり? そんなクソみたいなアンタが僕に“邪魔”っていう権利ある? って』

超絶低っくい声で決まった最後。ジョーとメリーが黙り込んでいた。


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異世界ダンサー、始めました。(更新停止中) 新城ナル @Naru-araki

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