12話


まず一番大事なのは、

「自分が魔力回路を操れるようになりたいという気持ち」だと

短くカットされた黒い髪を、男の人のようにガシガシと掻きながらジョーは言った。


「じゃあ、やってみよっか? 本格的に」

『はい。よろしくお願いします!』

「はい、その勢いでやるぞ? 魔力回路を上手く操るためには『魔力信号』の操作が大切だっていう話を今したよね?」

『はい。まずはそれを上手く操れるようになることからと教えられました』


僕が言うと、ジョーはまた僕の頭を撫でた。


「よしよし、良い子。

 魔力信号を操るためには、『色』がキーワードになるんだよ。で、ここでよくみんが混乱しやすいのは、色と実際のものの差なんだ」


その言葉になにもピンとこなくて戸惑っている僕を見て、ジョーは例えば……と言って話し出した。

はぁ、本当に分からないものが多すぎて嫌になっちゃうな。


「まぁ。人間さ?

 教えられてないものは、最初から分かる人なんていないし、誰にでも分からないから安心して。ちゃんと分かるように教えてあげるから。


 で、例えばだけど代表的なものの一つ、『メディル』だけど、本物が青色とか水色とかだからそういうブルー系のイメージを抱くけど、実際この魔力信号の色は『黒』不思議でしょ?」


なんでジョーが僕の心の中を読めたのかは置いておいて、ジョーの『メディル』が黒色だって事には驚いた。



『確かに……青色だと思ってたからこそ、混乱するね』

「そう。ほとんどの人が混乱するね。まぁ、イメージと違かったらそりゃ混乱するしね。

 まぁでも私が思うにそれ以上に難しいのは、この魔力回路の種類だと思う。

 今までは魔力信号しか教えてなかったけど、回路と信号は繋がってるんだよ」


ジョーが眉間に皺を寄せて、気難しそうな顔をする。

僕は言葉の意味を詳しく知りたくて訊く。


『ジョー、それはどういう事?』

ジョーは説明するのが難しいと言いながら、顎に手を当てて考え出した。

そして、しばらく考えた後話し出す。

「うぅ~ん……えっとね、魔力信号が縄みたいになってるのが、魔力回路。

 で、魔力回路がまた縄みたいに束なっているのが、魔術信号で、その束なった魔術信号が縄になったものが魔術回路。


 魔術回路を操る人は、一般的に魔術師って言われるんだけど、今この世界に魔術師がいないのは魔術回路を操れる人がいないからなんだ」


魔術師がいないという事は噂でいつも聞いていたし、それが当たり前だったから、何の教育もされてこなかった僕でも知っていた。

『なるほど……だから治療師が貴重なんだ……じゃあ、もしかしてジョーは魔術回路まで操れるの?』

「まぁ、操れるしそんなの朝飯前だけど……

 魔術を使えるってなると命を狙われる危険性が大きくなるんだよね。

 だから、あんまり大きい声で言えないんだ……だからユサ。もし君が魔術を使えるようになっても絶対に私やミリー以外に言っちゃだめだよ?」


ジョーは人差し指を唇につけて、シーと言う。

僕は頷いてみせた。

『分かった。気を付けるね』

「ん、良い子」

そう言って、ジョーは僕の頭を撫でた。


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