5話

ジョーが、「え?」と言ったままの顔で固まった。

隣のミリーは「踊る? 剣舞の事か?」と言って僕の事を見た。


『いえ、剣舞じゃなくて舞踊です。僕が自分で開発したものなんですけど……

 家にいた時に、何も教えてもらえなかったから、身体を鍛えたりしているうちにダイナミックな動きができるようになったんです。


 そこで、ある日僕はひらめきました。

 僕が元々いた村の、昔からの風習である天舞てんまいに僕が今できる動きや動作、現代の動き、しなやかさや滑らかさ、柔軟性、あと儚くて華やかさを持ち前の加えた踊りを、開発してみればいいじゃん! って』


「なるほど……

 じゃあ、ユサの第一能力は踊り……詳細は自分の開発した舞踊……っと。

 その舞踊で何か能力はある?」

しばらく固まっていたジョーが我に返ったのか、いそいそと動き出して、手前の紙にそう書き込んだ。


舞踊による能力……

これまで経験したなかでは邪念をふりはらったりとかはできるね。

まだ魔力とか念術とかの方には手を出してないから、これからだけど……


『舞踊による能力ですか……

 現時点では、その周りの邪念を振り払ったり神に祈ることはできますけど……


 あ、まだやってみたことはないので何かとは一概には言えないんですけど。でも、もしかしたら今僕の持っている魔力を踊りの方に組み込めば、

 未来に起きる事を知ったりとか傷を癒したりとかはできるかもしれません』

今だやってみてはいないので憶測であり、ほんの少しの可能性だが、今の状況では可能なことを僕が言うとミリーは僕の背中を叩いた。


『痛……何するんですかっ? 痛いな……』

「でかしたぜ、坊ちゃんよ。

 そんな偉大な事できるなら最初に言ってくれよな」

そう言って、ミリーはごつい顔に似合わないようなウィンクをかましてくる。


「なんだい、今更いい男ぶって。

 アンタみたいな美形でも可愛くもない男がウィンクしたって似合わないだけだよ」

「辛辣ぅ……」

ジョーの本当に辛辣で、なぜかミリーにだけ厳しいツッコミに、ミリーが白目をむいて撃沈したようなジェスチャーを見せる。


『ふふふ……

 すみません。失礼だったら悪いんですけど、お二人ってすごく仲が良いんですね。

 思わず笑ってしまいました』

僕が言うと、ミリーとジョーは同じ瞬間にお互いに顔を見合わせてからまた同じ瞬間に僕の方を見て言った。


「「仲良くなんかないよ、こんな奴と!」」

『ははは……本当に息ピッタリなんですね。感心しました』

「「そこは感心するところじゃないっ!」」

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