3話

『あ、ちょ……』

「ごめん、ジョー! こいつのギルド登録してくれないか?」

男の人は、受付の方に叫んだ。

「ギルド登録」とかかれた札がかかっている受付には、十人ほどの長蛇の列ができていた。


後ろの方、受付の方から分かったから早くしろよ~と言う声が聞こえてきて、

僕は男の人の腕を掴んだ。


『あ、ちょ、ちょっと待ってください!??』

「なんも遠慮する事ねぇから。迷惑かもだけど、俺お前の事気に入ってな。

 なにもまぁ、こことか王都では俺のコネを使ってればいいから。

 

 坊ちゃんはここで、社会を勉強して立派な役職につけよ」

そう言って、男の人は僕の頭を撫でた。


『あ、あの名前を伺ってもいいですか……?

 本名を教えたくない場合は、呼び名で大丈夫ですので……』

「ははは、

 礼儀正しすぎんだバカヤロー。もうちょっと肩の力抜いてリラックスしろ。

 そんなに身構えてると良いことないぞ。


 俺の名前はミリアスだ。ミリーと呼んでくれ」

『分かりました、ミリーさん』

「ミリーで良い」


僕は戸惑った。

年上を呼び捨てで呼ぶなんて……

いくら良い人で、呼び捨てで良いと言われても道徳的な思考には反する。


「はは。ここでは年上年下なんて関係ないんだ坊ちゃんよ。

 ただみんな仲良く、誰も傷付けることなく付き合えば良いんだ」

そうか。

なら、ミリーで良いのか。


『分かりました、ミリー』

「ははっ、物分かりの良い奴は嫌いじゃないぜ」


笑って、ミリーは僕の頭を撫でた。




「おいおい、受付メッチャクチャ並んでるから早くしてもらわないと困るんだな。

 こっちも商売なもんで」

見慣れない浅黒い肌に、白い髪の女の人が僕を見下して言った。

「すまんなジョー。だけどこの坊ちゃん。

 お前さんも気に入ると思うぜ?」


ジョーと呼ばれたその人。ピンと来て、僕は頭を下げた。

『あっ! 受付のジョーさんですねっ!

 こんにちは、僕はユサと言いますっ!』


そう挨拶をして頭を上げると、

さっきとは打って変わって目をキラキラさせたジョーさんが言った。


「何この子! めっちゃ可愛いんだけどっ!?

 どこ家の子? 私の名義で引き取りますって電話するから教えて!」

「どうどう……ちょっと待て興奮するな」


何かちょっと意味の分からない事を言っているジョーさんに、

ミリーがどうどう……と言って落ち着かせる。

ん? ミリーはジョーさんのことを馬か何かだと思っているのかな?


「まぁ、大丈夫だ。

 お前さんの可愛さにちょっと我を失っているだけで、落ち着けば普通に良い奴だからな。

 お願いだから、そんな変人を見るような目で見ないでくれ」

ミリーは眉毛を八の字に下げて言った。

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