第13話 使い魔との邂逅
「ピィイ」
「ザッ、ザッ、ザー」
鳥の鳴き声と共に草木が揺れる音がする。
上空には10匹近いワイバーンが群れて飛んでいるのが見える。まるで何か獲物を探しているようだ。
遥が突然走り出す。
「ピー、ヒョロロ」
「ピー、ヒョロロ」
数匹のワイバーンが鳴き声を上げたあと、急降下を始めた。
遥の走る先には鷹のような鳥が血だらけになって
遥は蹲っている鷹のような鳥に向かって走っていく。
同時に2匹のワイバーンも蹲っている鳥に向かって急降下している。
僕は2匹のワイバーンに向かって、魔法で
遥はワイバーンより先に蹲っている鳥にたどり着き、そのまま抱え上げると
鷹のような鳥は上空から飛翔するワイバーンに警戒して
僕の放った石礫はワイバーンの羽にそのまま命中し貫通した、羽根を石礫で貫通された2匹のワイバーンは飛行制御を失いきりもみ状態で地面に激突し、その命を散らした。
上空を漂っていた他のワイバーン達はしばらく騒いでいたが、地上に降りてくることはせず、そのまま飛び去っていった。
僕は上空のワイバーンがいなくなるのを確認すると、地上に激突して命を失っているワイバーンを異空間倉庫にしまい、直ぐに遥の元へ駆け込んだ。
遥は鷹のような鳥を抱え何度も何度も治癒魔法でその身体を癒していた。その鳥は遥の為すがままにその身を
その鳥は既に体力の限界だったのか、しばらくすると眠るように意識を失い、遥にその身を完全に預けることになった。
遥は愛おしそうに治癒魔法を掛け続けている。その呼吸は落ち着いてきており、命の危険はなさそうだった。
今日は予め訓練の一環として野宿することを騎士アーノルドと聖女シルビアには伝えていたため、予定どおり野宿することにした。
魔獣避けの結界を設置しテントを張ると、食事の準備のための焚火を起こした。今日の夕食は森で捕れたビックボアの肉の塩焼きと野菜スープだ。
いい匂いが辺りに漂う。遥と二人で夕飯を味合う。遥は膝の辺りに先ほどの鳥を優しく抱え込んだまま食事をしている。食事の合間に怪我をしている鳥を気遣い治癒魔法をチョコチョコ掛ける様子は本当に愛らしい。僕が怪我をしても同じように治癒魔法を掛けてくれるのだろうか。そんなつまらないことを考えながらほのぼのと遥との会話を楽しんでいると遥の膝の上にいた鷹のような鳥の意識が戻った。
「大丈夫?」
遥は意識を取り戻したことに喜びながら問い掛ける。
「クッ、ク、クー」
「よしよし」
遥は膝の上の鳥を撫でながら治癒魔法を掛ける
遥と鷹のような鳥に淡い光が現れ霧散する。
今まで遥は治癒魔法を何度も掛けていたが初めて起きる現象に動きが止まる。
「…」
「そう。私は遥。よろしくね」
「クー」
遥が鳥に呼びかけ、鳥が答える。
「お前の名前は『クー』、私の従魔だよ」
「クー、クー」
「ヨースケ、私の従魔の『クー』だよ。宜しくね」
こうして、遥の初めての使い魔契約は終わった。
『僕の使い魔?』
当然、見つからなかった。僕的には遥の嬉しそうな顔を見れたのでそれだけで十分だ。僕に使い魔が現れなくても…
そんなことを思っていた時もありました。
翌日、帰還途中の森の中で、負傷して蹲っている子犬型の魔獣を助けたら、あっさり従魔契約をすることができた。名前は「ウル」。
僕も可愛い使い魔をゲットすることができた。
森での実戦訓練から帰還後の恒例の肉の差し入れは、遥が使い魔の世話で忙しそうにしていたので、僕独りで回っている。
僕の使い魔の『ウル』も遥が世話をしている。
聖女シルビアの許に行った時、遥の使い魔に続いて、僕の使い魔も得たことと、その経緯を交えて話したあと、若しかしたら、怪我している魔獣を助けると従魔契約が成立する可能性が高いのかも知れないとまとめたら、
「やはり、そうですか」
とシルビアの従魔を見せてくれた。その顔は隠しごとを誤魔化すように神妙な顔で、シルビアが使い魔を得た経緯を話してくれた。
何でも怪我をして蹲っているところにたまたま通り掛かり、シルビアが治癒魔法を掛けたらそのまま懐かれ、従魔となったらしい。
「このことはほかの人には内緒にしてくださいね」
と
ちなみに聖女様の従魔は狐型の魔獣で、普段は侍女に変化し聖女様の傍に控え、身の回りの世話をしている女性が従魔だった。
周りの人達は、彼女が従魔であることは知らないらしい。
意外と世間に隠し事が多い聖女様だ。
最も、僕らも、亜空間倉庫が使えることや亜空間倉庫に入っているビッグボアとオークの肉は、アーノルドに持ってかれないよう秘密にしているので人の事は言えないが…
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