リーダー、及び仲間たち。
ハッキング
「すずめさんに変なことさせてるから巻き込まれたじゃないですかっ!」
色んなことへの非難を込めて、僕は叫ぶ。
「どうするんですか! 強い作家が
「物書きくん含め、非戦闘員は俺が守る!」
のえるさんが叫ぶ。と、ラボの中のロボットに勝手に搭乗していた亜未田さんが巨大な体を前に出した。
「私があのロボットと!」
「お忘れのようだがあれは私の
ちありやロボが一歩前に出る。
「『まどか』を使われるとまずい。あれは周囲のロボットを操れる。このラボのロボットには
「自信たっぷりで何よりですよ!」亜未田さんが叫ぶ。
「ロボット同士手を組みましょう! 指示してください!」
「まず日諸さん、乗ってくれるか」
「任せろ」
日諸さんが手近にあったロボットの脚や腕を足場にしてちありやロボのコックピットに乗り込む。「これで腕が四本動かせる」。満足そうなちありやさん。
「亜未田さんは湧いて出てくるゾンビ兵どもを片してくれ。『まどか』は操作する数が増えるほど精密動作はできないはずだからただ単に殴っていけばいい。私が私本体と戦う。……おい、かなたろー」
ムカつくほどにおっぱいが大きいあの作家さんが、いつの間にやら僕たちの近くに立ち尽くして、ぼんやりと敵の方を眺めていた。そんなかなたろーさんに向かってちありやさんが告げる。
「おっぱい触らせろ」
「ハッ?」また変な声が出る。もう頭がどうにかしそうだ。
「あの、一応若い男の子がいるんであんまり過激な発言しないでもらえますか。お酒やたばこと同じです。未成年には注意しないと」
すずめさんが凛と告げる。そう、宣言されるのも何か恥ずかしいというか……もう嫌だ……嫌だ……。
ちありやさんがふん、と鼻で笑う。
「子供には刺激が強かったか。まぁいい。かなたろー。お前の胸を私が触れば私の思考が読めるようになるな? 私の思考を読めば
「私の
ぼんやりと、かなたろーさん。
「これは読み合いになるな。それも高度な。相手は『
「それぞれの
散開!
すずめさんの号令でそれぞれ自分に好都合なポジションを取る。僕や絶久さんのような未成年アカウント、それから朱ねこさんのような非戦闘員はのえるさんによって守られた。戦いの火蓋が切って落とされる。
*
「片しても片しても出てきますねぇ!」
亜未田さんがロボットの鉄拳でゾンビ兵たちを倒しながら叫ぶ。
「何か武器が欲しい!」
「ラボの中に非常脱出用の斧がありますよ!」
僕の傍にいた絶久さんが『ダンジョン整備士』の能力を使ってラボ内をスキャンしたらしい。
「右手の壁!」
「ありがとう!」
亜未田さんがゾンビ兵を突き飛ばしながら走っていく。そして壁につけられたガラスの扉に手を突っ込むと、非常脱出用の斧とやらを手に取った。おそらくは開かなくなったドアなどの破壊用の斧なのだろうが、さすがSF作家の集団『イビルスター』。一味違う斧だった。
「ビームアックス!」
扇のような基盤から放射状に光線が広がる。
光の刃を持つ斧だった。得物を得た亜未田さんは並み居るゾンビ兵を片っ端から切り捨てていく。こっちはどうにかなりそうだ。
*
僕はすずめさん対すずめさんの戦いを見た。
やがて、
「ちゃんと作品読み込んでよね。この人もいるでしょ」
と、背後にすっと手を伸ばす。
その手にあったのは……すずめさんには不釣り合いなくらい巨大な、身の丈以上はある、戦斧だった。
「『レイ』」
ロングソードを振りかぶって攻撃を仕掛けてきた
巨大な斧が振るわれた。耳元を何かが掠めた時のような、低くて鈍い音が響き渡る。すずめさんの半径数メートルにわたり巨大な斬撃が起こった。真っ赤なスカイスーツの
「『お前は、俺が打ち砕く』」
*
一方のちありやロボは長考しているようだった。
多分、描写したのだろう。
ちありやロボの手にはククリナイフがあった。余った二本の手は
対する
ちありやさんも大した敵ではないと踏んだらしい。コックピットにいる日諸さんに告げた。
「ぶっぱなせ。怯んでいる間に近づいて潰す」
「了解」
連続する銃声。ロボットの持つ
「『我に平伏せ』」
熱した針金で、発砲スチロールでも切るみたいに。
切断面が溶けるような速度でククリナイフが振り抜かれた。
*
「さて、残るは私だな」
かなたろーさんが、すっと背筋を伸ばして告げる。
「戦いの行方を見てもいいが……まぁ、向こうも見るだろうし意味はないな」
あんなことがあったから、否応なしにかなたろーさんの胸に目が行く。
同い年くらいの女子である絶久さんがいる中、あまり露骨に見るのはためらわれたが、それでも目が行く。仕方ないじゃん。男子なんだし。
でも、そんな僕をからかうように、綺嬋さんが。
「あいつ中身おっさんわね。無駄にときめくもんじゃないわよ」
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