第448話 勇者星流

お知らせ

 星流ヒカルくんは語彙力が足りないので副音声付きでお送りします。

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Side:召喚勇者星流ヒカル


 (先輩勇者で第一王女の婿の)アレックスっつーやつが俺に来いって指図しやがる。

(勇者としてアーケランド王国に)勝手に召喚されたっつーのに、(アレックスは俺が)協力して当たり前だと思ってやがる。

(俺が)地元(元世界)に残して来た女たち、(逢えなくなったのを)どーしてくれんだよ。

女が欲しいって言えば、(お付きの連中が)よろしく(娼婦を用意)してくれっけど、(女の雰囲気が好みと)ちげーんだよ。

うちのガッコ、タメは(勉強が出来る)ゆーとせーと(運動部の)ゴリ子しかいねーし、俺はギャルが好みだってばよ。

ここはウゼー(窮屈で息が詰まる)し、早くなんとかしねー(逃げ出さない)と。


「遅いぞ」


「はぁ?」


 なにこいつ偉そーに。


「貴様には飛行能力で翼竜の撃墜を命じる。

特に搭乗者を狙い、砦に近付けるな」


 なんで俺がこいつの下なん(命令なんてされるん)だよ。

(勝手に呼んどいて)ふざけやがって。


「やれ! わかったな!」


「おっけー、わかったよ」


 ちくしょう、まただ。

何か(魔法的な事を)されてんだろうけど、逆らえねー。

(このことの秘密を探って)なんとかしねーと。


 ◇


「あれです!」


 城壁でボーッと(待機)してたら、モッソ(という兵士)が(翼竜が来たのを)教えてくれた。

モッソ(という兵士)は、いーやつだ。

俺が寝て(さぼって)ても文句言わねーし。

俺のダチにしてやんよ。


「よし行って来るわ」


 俺は、パーッと(飛んで)翼竜んところに行く。

足で(魔物を)持ってるから、邪魔すればいーんだろ?


「ほい」


「クワー!!!」


 (翼竜はまさか空で攻撃されるとは思っていなくて)不意打ち成功だ。

(魔物を)落したぞ。


「あれ? とーじょーしゃ(搭乗者)は?

いないなら、まあいーか。作戦しゅーりょー。オッケーイ」


 これで(アレックスも)文句ないだろ。


「なんかいるっす」


 (下から声がする)おっ、ギャルじゃん。

俺の好みだってばよ。


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


Sede:ヒロキ


「なんかいるっす」


 小悪魔のキャルが空中にいる何かをみつけた。


「なんだ?」


「何か飛んで来て、翼竜が魔物を落としたぞ」


 魔物は翼竜の足から外れ、砦の外に落ちて行った。

高空から落ちた魔物は、体組織や内蔵が破壊され、食用に適さなくなる。

内蔵の内容物の臭いや味が肉に移ってしまうのだ。

どうやら、せっかく翼竜が運んで来た獲物を台無しにされたようだ。


「ギャル子ちゃーん(不二子ちゃーんの節)」


 突然空から男が降って来て小悪魔のキャルに抱き着く。


「きゃーーーっ!」


 その姿は軽鎧だったが、その胸の紋章は間違いなくアーケランド勇者のものだ。


「勇者!」


 俺はすぐさま捕縛の闇魔法を唱える。


「【影縛り】!」


「ぐわーー! 何すんだよ。

いや、(これはこれで)オッケーっす」


「ちょっと、何するんすか」


 俺の影縛りは不審者後輩勇者と小悪魔のキャルを一緒に捕縛してしまった。


「ちょっと我慢しててくれ。

【洗脳】!」


 俺は不審者後輩勇者の頭に触れると洗脳の上書きを試みた。

魔族化していないならば、もしかすると味方に出来るかもと思ったからだ。


「(いま俺に)何したんだよ!」


「どうだ、まだアレックスに味方するか?」


「(アレックスに魔法で)なんかされてっからな。

逆らえねーし……。ん?

アレックスのピー(放送禁止用語)のピー(放送禁止用語)が!

言えるっつーの!」


「これでアレックスからの洗脳は解けたはずだ」


「俺たちもアーケランドから脱した勇者だ。

俺たちと一緒にアレックスと戦う気があるか?」


 リュウヤが不審者後輩勇者に問いかける。


「おっけーっす!

こっちにしか(ギャルが)いそうもないっすから」


 そう言うと不審者後輩勇者がキャルの胸に顔をうずめた。


「いやー、何すんのよー!」


 俺が慌てて影縛りを解くとキャルが思いっきり不審者後輩勇者にビンタを張った。

それでもめげない不審者後輩勇者

だが、その顔色が変わる。


「あ、でもあっちには仲間が……」


 どうやら自分だけが離脱出来ることに気付き、悩んでいるようだ。

仲間への思いやりはあるようだ。


「それはおいおいなんとかする」


 まさか、こんな形で後輩勇者を1人懐柔できるとは……。


「(それならば気兼ねなく)俺の女になってくれ!」


 唐突に不審者後輩勇者がキャルに告白をかます。

行動の読めないやつだ。


「ねえ、殺して良いっすか?」


「いまのところやめて」


 どうしよう。面倒臭いやつだぞ。

性格を変える【洗脳】をかけとくか?

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