第282話 眷属の食事
サキュバスの不二子さんの食事事情が特殊だったため、仕方なく俺の精力を分けることになった。
その方法があんなことやこんなことをすることだったので、昨夜は大変な目にあった。
そこで俺ははたと気付いた。
オケラって何を食べるんだろうと。
今まで眷属にした虫系や竜系の魔物は、自ら勝手に狩りに行くことで食べ物を確保していた。
だいたいが肉食系であり、魔の森で食料を調達していたのだ。
樹液が食料と思われがちなカブトンたちでさえ肉食なのだ。
だから、王国や隣国に人食い昆虫魔物と誤解されたわけだ。
土ゴーレムたちは、空中の魔素を吸収しているらしい。
それだけで稼働するのだから、ある意味魔法的なロボットと認識した方が良さそうだ。
シャインシルクの糸を吐くキャピコはクモクモが草を与えている。
厩舎の騎獣たちと馬は、バッタ肉や飼葉を
そして養殖場の魚には、魔物肉を加工した飼料が与えられている。
これは定期的に温泉拠点を襲って来るゴブリンを加工している。
ゴブリンには食用に適さない毒があるのだが、加工することで無毒化している。
それを食べた魚に毒が残留しないようにしているのだ。
後で俺たちが食べる魚なのだから、そこらへんはきちんと管理している。
そういや、ヤンキーチームはゴブリンを主食にしていたっけ。
あの食生活が長引いたらヤバかったらしいぞ。
田んぼ予定地近くに派遣しているリバイアサンとモササウルスは、その池周辺に生息している魔物を餌としている。
池は魔物の自然ポップ地点らしい。
リバイアサンとモササウルスが食べても魔物が絶滅することはない。
ということで、今まではそこまで眷属の食べ物の事を気にしていなかったのだ。
「コンコンは俺達と同じものを食べてるな」
「私に狩りをしろって言うんですか?
それって死ねって事と同じですよ?」
まあ、こいつの実力ならそうだろう。
不二子さんも俺の精力以外に普通に食ってるし、まあ良いか。
「キラトは?」
「魔物を狩ってるみたい」
あー、後で魔の森の中でも人とGKの配下は襲うなって言わないとな。
まあ、道を通らない人はたぶん敵だから、ついでに確保してもらおうか。
眷属同士には、お互い眷属であることがわかるようなのだが、GKの配下はGKが支配している子分なので、その限りではない。
うっかり食べちゃう可能性があるので、そこは注意しないと。
「すると、後は翼竜か」
「翼竜は養殖場の魚を食べてるよ」
「マジか!」
養殖場の魚は、俺達の貴重なタンパク源だ。
鮭っぽい魚、タイっぽい魚、アジっぽい魚、カツオっぽい魚、マグロっぽい魚と、大きさが異常な魚魔物を養殖している。
そいうや、そこにノドグロっぽい魚も加わった。
それをあの大きさの翼竜にパクパク食われたのでは枯渇しかねない。
「養殖魚の量を増やすか、田んぼの池まで食いに行かせるかだな」
まあ【たまごショップ】のおかげで【たまご召喚】のMPは余ってるから、養殖魚を増やすのでも良いのだが、養殖は餌も必要だし、戦闘奴隷たちの食料でもある。
なので、これは池まで食べに行ってもらうのが良いだろう。
あそこの魔物は人が食べても安全で美味しいしな。
「明日にでも翼竜を池に案内しようか。
あ、そういや飛竜は今どこに?」
「飛竜は狩りに出てるみたいね。
池にも行っていて、おみやげに魚を取って来ることがあるよ」
それなら、飛竜に翼竜の世話を任せるか。
面倒見ろと言っておけば良いだろう。
餌場も教えてくれるはずだ。
そして、冒頭に出て来たオケラだ。
昆虫のオケラは植物の根やミミズを食べているらしい。
つまり雑食だ。
でも魔物化した巨大オケラはどうなのか?
ここは瞳美ちゃんに訊ねよう。
彼女の頭の中には魔物図鑑の内容が全て入っているのだ。
「え? 巨大オケラの魔物の餌ですか?」
俺が訊ねると瞳美ちゃんは魔物図鑑の記憶を検索しだした。
「地中を住み家にしているワームという魔物が主食みたいです」
それはまた特殊だな。
ワームはここら辺では見かけない魔物だ。
ラノベでも地中に穴を掘って、真下から人を襲うなんて描写がある魔物だ。
いや、居たら源泉の溜まっている岩盤に穴を開けられかねない。
居てくれなくて正解の魔物だろう。
「そいつはどのような場所を生息地にしている?」
「岩が転がっているような荒れ地だよ」
それなら魔の森の北側に広がっているな。
オケラは飛べるので、そこまで勝手に食べに行ってもらおう。
「ちなみにオケラの住み家は?」
「草原や田畑の土の中だね」
つまり巨大カマキリがいる草原の地下に住んでもらって、食事の時だけ荒れ地に行くという感じか。
「よし、オケラは草原に住んでもらおう」
どうやら、【たまごショップ】から出て来た眷属たちはあまり手間がかからないようだ。
一部除いて。
◇
「飛竜、翼竜の世話を頼む」
俺がそう飛竜に頼むと、飛竜から拒絶の意志が伝わって来た。
翼竜も飛竜の圧にビビっている。
もしかして、この2種は仲が悪いのか?
そういや、飛竜はファンタジー世界の生き物だが、翼竜は地球でのジュラ紀や白亜紀の生き物だ。
魔物としての種別が違うのかもしれない。
これは分けておいた方が良さそうだ。
「わかった。飛竜はそのままで良いから」
飛竜は頷くと飛び立って行った。
そして翼竜は安堵の表情を浮かべているように思える。
これは一緒にしたらダメっぽいぞ。
「これじゃ飛竜と餌場が被るとトラブルになりかねないな。
しょうがない。俺が餌を与えることにしようか」
この件により、翼竜にはマグロ系の魚魔物を食わすことにした。
大きくて【たまご召喚】でも1日で孵るから翼竜の餌やりが楽だという理由だ。
こうして翼竜は俺から餌をもらって生活することになった。
「これじゃ、複数召喚したら飼育に困るぞ」
せっかくの航空戦力だが、よっぽどの利点が無い限り複数採用は見送ることになりそうだ。
乗用にはならないし、攻撃も嘴だけ。
これは今回のハズレ枠か?
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