第172話 エロ本か! ブ〇セラか!
お知らせ
170話で瞳美が「救出しないと」と言っているのは、薔薇咲メグ先生本人ではなく、薄い本の方です。
先生本人かと誤解を招く書き方だったため、薄い本の方であると明確に判るように修正を入れました。
ちなみに「薄い本」というのは、とあるジャンルの本を指すものであり、実際に薄いわけではありません。
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Side:腐ーちゃん
私にとって、この古本たちは興味の外のため、傍観するしかない暇な時間を過ごしていた。
メガネちゃん、何やってんの?
何やら、欲しい本があったらしいけど、それの購入が憚れるのか、魔導書と入門書の間に挟んでるぞ。
それってエロ本の買い方じゃん。
もう可笑しくて可笑しくて、笑いを堪えるのに必死だった。
次にメガネちゃんが手に取った本を見て私は驚愕した。
一目で判った。薔薇咲メグ先生の絵だ!
どうしてこの世界に薄い本が?
いや、先生は2年ぐらい前に行方不明になったはず。
つまり、先生もこの世界に来てしまったということ?
ということは、これは日本では未発表の新作!
え? メガネちゃん、買うの? 金板1枚って書いてあるよ?
まさか
そっちの趣味があることも知らなかった。
なんだ、お仲間じゃん。
薔薇咲メグ先生の日本で未発表の新作と知れば、同好の士であれば手に入れたいのは道理。
でも、活動資金に手を出してしまうとは、それは私でも想定外だよ。
気持ちはわかるけどねぇ。
止めるべきなのかもしれないけど、読みたいよなぁ。
後で見せてもらおう。
だけど、気になるのはこの新作とは思えないほどの薄い本の年季の入り具合だ。
いや、「薄い本」とは言っているけど、実際の本は1枚でもぶ厚い羊皮紙を綴ったものであるため、それなりの厚みがある。
それがまるで歴史的な古書の貫禄を醸し出している。
薔薇咲メグ先生が行方不明になったのは2年ぐらい前だ。
だけど、この本、2年前に発行されたものとは思えない古さだぞ。
どうやら勇者召喚は、実際の時の流れとは違うタイミングで呼び出されているようだ。
先生が召喚されてから、何十年も経っているとしか思えない本の古さなのだ。
年月、この世界の情勢、店員の説明にあった「領地によっては禁書なので注意」との話からして、先生の生存は望めない気がする。
御存命なら助けたいところだが、私たちの状況からして、他人に構う余裕などない。
逆に今も御存命ならば、その環境が生存に最適ということになるだろう。
これは勇者バレを齎す案件でもあり、慎重に事を運ばなければならない。
特に、メガネちゃんが暴走しないように気を付けよう。
メガネちゃんがこの薄い本に喰いついたことを、店員も不思議がってはいない。
つまり、そこそこ需要があり、このジャンルを愛でることで勇者認定されるようなものでもないようだ。
貴族女性の密かな嗜み程度には認知されているものらしい。
メガネちゃんが、冷静になり、使い込みの現実に我に返った。
腐女子バレなど些細なことだろうに、隠したい子は隠すんだよねぇ。
まあ、仕方ない。陰ながら応援してあげよう。
どうやらメガネちゃんは資金補填でキャピコの糸製の下着を売ってお金を得ようとしているようだ。
下着を売るなんてブ〇セラか!
未使用でも恥じらいを見せるのは萌えるな。面白くなって来た。
メガネちゃん自身が気にしていた勇者バレに関しては、私たちが貴族家のメイドを装っている立場から、キャピコの糸製品は貴族家から出たものとして処理が可能だろう。
裁縫ちゃんが、この街を含む領地の領主様にキャピコの糸製の反物を献上しているので、その関係と思われるだけだろう。
想定以上に高価だったみたいだから、資金補填には丁度良い。
想定外だった。
金板40枚って……。食品レートで4億円じゃん。
いや、薔薇咲メグ先生の作品、1千万円だったのか!
メガネちゃん、その使い込み、横領OLなみ。
補填出来て良かったけど、下着1枚4億円ってちょっと、ヤバイ気がするよ。
お店の人の様子もおかしいぞ。
あれよあれよという間に、護衛付きで最高級宿屋に連れて来られた。
カドハチ商会のご招待だそうだ。
「明日も我が商会のご利用をよろしくお願いします」
「明日は食品を購入しようかと「お任せください!」」
番頭さんが食い気味に答える。
「お望みの物ならば、我が商会で扱っていない物でも揃えて御覧に入れましょう」
どうやら明日からはこの宿屋に居ながら買い物が出来るらしい。
これは明らかにやっちゃったな。
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