第162話 買い出しに向かう
ということで、
「錬金術大全の買い出しが必要で、3人に行って来てもらうことにした。
リーダーは腐ーちゃん、買い物担当は瞳美ちゃん、護衛は紗希だ。
移動日往復2日、活動日2日の合計4日で、ひっぽくんの獣車で移動だ」
荷物持ちでアイテムボックスのスキルを持っている者を参加させたかったが、
なので、荷物は獣車にそのまま積み込んで運ぶことになる。
「えー、まだ行ってない私たちが優先じゃないの?」
「そうだよ。護衛役なら私たちでも良いじゃん」
ベルばら組がごねた。
確かに貴族家のメイドが護衛を連れて買い出しに来たという
問題は俺不在で街に行って、この2人が暴走して制御が効かない時のことなのだが、それを言ってさらに反発されるわけにもいかない。
ここは、リアルっぽい理由で言いくるめるしかない。
「2人とも俺がいなくても、ひっぽくんやチョコ丸を御せるのか?
バスケ部女子は、馬でさえしくじったばかりだろ?」
「うっ、確かに……」
「俺の眷属が俺から離れた場合、どうなるか知らないぞ。
紗希ならば、俺の眷属も世話をしてもらっていて懐いている。
テイマースキルもあるしな。
だから今回は紗希に任せるんだ」
「でも、ズルくない?」
「今から馴らせば良いじゃん」
だが、ベルばら組も引き下がらなかった。
自分たちは街行きをお預けになっているのに、街行きが2回目の者がいることに納得できないのだろう。
「確かに時間をかければ馴らすことも可能だろうが、今すぐというわけにはいかないだろ?
錬金術大全が手に入れば、変装の魔道具を作ることが出来る。
そうなれば、俺が引率することで眷属も安心して行動できる」
いや、魔道具が直ぐに出来るわけじゃないけどな。
「くっ、その時は必ず連れて行ってもらうからな!」
「約束だぞ!」
単純なベルばら組で助かった。
よくよく考えれば不自然なところがあっただろうに、そこには2人とも気が付かなかったようだ。
例えば俺が不在でもゴラムは俺の命令に従い続けている。
女子たちが勝手にクモクモを使ってタオルを量産させたこともあった。
水トカゲ1など、便利使いされてパクられたまま帰って来なかった。
そして、眷属譲渡をすれば1人1匹に限り、俺の眷属を使役出来るのだ。
ベルばら組を騙すことになったのは心苦しいが、俺の目の届かない所で不測の事態となって困るよりはマシだろう。
「では、頼むぞ。
お金は腐ーちゃんに預けるから、腐ーちゃんの判断で使ってくれ」
「任された」
「瞳美ちゃんも入街税とか宿屋とかカドハチの店への案内を頼む。
トラブル防止で買い物はカドハチの店だけにしてくれ」
「本買って良い?」
「錬金術大全を別にして金板1枚までなら良いよ」
以前に瞳美ちゃんお勧めの錬金術大全を買わなくて、いま困っているんだ。
本は瞳美ちゃんの判断に任せよう。
金額の上限さえ言っておけば、それを超えて使うような子ではない。
「わかった。厳選する」
「僕は護衛すれば良いの?」
「紗希は護衛と御者を頼む。
森の中はホーホーの案内に従って魔物を避けてくれ」
GKの配下にも密かに守ってもらうつもりだ。
「問題は人間の犯罪者だ。くれぐれも気を付けてくれ」
「あー、街道や街の中の方が危ないもんね」
紗希も強盗冒険者を1人殺めている。
そのことは身に染みて理解しているのだろう。
強盗も森の中で襲って来るならGKに始末してもらうんだけどな。
「腐ーちゃんも大金を持っているところは他人に見せないでくれよ。
なので買い物はカドハチの店のみで頼む」
以前も市場で危ない目にあっているからな。
カドハチの店でもある程度のお土産は手に入るからそれで我慢して欲しい。
「気を付けよう」
まあ、腐ーちゃんの魔法ならば簡単に撃退できるだろうけどね。
むしろ過剰防衛を咎められる危険があるぐらいだ。
いや、その方が危ないかも?
様子を見るために土トカゲを預けておくか。
「瞳美ちゃん、お守りに土トカゲを連れて行ってあげて」
「わかった」
「何かあったら土トカゲに念話を使うように言ってね」
瞳美ちゃんは頷くと土トカゲをローブの胸ポケットに入れた。
良かった。外が見えるところで。
内側だと視界が肌色になったりで、いろいろと困るのだ。
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