第七十六話「羽田包囲網」
「はーっはっはっはァ! これでもうどこにも逃げられねぇって
「さすがに、東日本のヒーローを総動員というのはやりすぎでは……?」
しかし丹波は朝霞に、まるでわかっていないという
「いいか鮫島ァ、桐華は最高の
「このことが明るみに出たら、国際ヒーロー
「だーかーら、ここで
「場合によっては口を
丹波はその
「そうはならんように、ちゃあんと手は打ってあるってんだよ」
…………。
水平線の
羽田空港には、
いずれも
彼らの目的はただひとつ、
林太郎たちの視界を、正義の炎が
「はわわわわ……アニキぃ! これヤバいッスぅ!」
「ご
林太郎はデスグリーンギアを構えるが、変身についてはためらわざるをえなかった。
とてもではないが、一〇分間というタイムリミットでどうこうできる数ではない。
巨大ロボを隠し持っていることも
桐華がヒーロー本部にとって、
しかし東日本中からヒーローを大集結させるほどの価値があるとは、完全に想定外である。
「いいか、
「そうだそうだ! 一致団結して悪の怪人どもを断罪するんだ!」
じりじりとにじり寄る
三人の怪人たちとヒーローたちの間を、
林太郎はサメっちを
「今なら……」
彼女が
「センパイがどうして極悪怪人なんてものになったのか、わかる気がします」
十七歳にして、ヒーロー学校第五〇期
歴代記録をことごとく塗り替えた、まさにヒーローになるべくして生まれた女。
実力、才能、容姿、その他すべてにおいて神々に愛されすぎた最強のヒーロー。
圧倒的すぎる彼女の
「この中に、私と
南極の風よりも冷たい、
彼らはお互いの顔を見合わせるも、
「ひ、
「そうだ、ビビッてる場合じゃねえ! 俺たちがビビッときめるぜ!」
最初に動いたのは、いつぞや林太郎に叩きのめされた
五人で同時にレーザー銃を構え、照準を桐華に定める。
「う、撃つぞ! 俺は撃つぞ! 本当に!」
「ややや、やってやる!
照準器の中で、少女がゆっくりとその手を構える。
――チュビンッ――!
という鋭い音とともに、自慢のレーザー銃がドロリと溶けた。
桐華の手のひらから
「私はセンパイと一緒に“帰る”んです。邪魔をしないでください」
桐華の周りを黒い
半身を包む黒い
怪人態へと変身した桐華の眼が、
「センパイ、正面は私が
「黛、お前……さすがにこの数は無茶だろ……!」
「心配いりませんよ、“たかが一〇〇〇人”です」
桐華は
それがたとえ
愛の前に立ちふさがるものはすべて、
桐華はその黒く鋭い爪の
「さっさと終わらせましょう。ひとり
秩序の名のもとに敵を倒すためでも。
優しくない世界を破壊するためでも。
ましてや己の孤独と
ただ大切な人を守り愛するため、いびつな正義を
怪人としてその
「
武器を手にしたヒーローたちが、桐華
その彼らを、
一〇人
それと同時に林太郎とサメっちの元にも、ヒーローたちが殺到する。
林太郎は
「くそっ! なぜだッ! なぜ
「地方から
林太郎は
顔面に激しい衝撃波を食らったヒーローたちが、もんどりうって転げまわる。
「おもちゃみたいな銃
「……おわっととと! こら大事に
ヒーローのひとりが、投げつけられた銃をかろうじてキャッチする。
次の瞬間、その銃がヒーローの手の中で大爆発を起こした。
「ウギャアアアーーーーーッ!!」
「その
林太郎の体が緑色に光ると、たちまち
黛桐華とならび
日本ヒーロー界の頂点に
「“平和”を愛する緑の光、デスグリーン。さあて、道をあけないヤツはひとりずつ“平和”にしてやろうじゃないの」
「センパイ、初めて見た時から思ってましたけど、その
「そういうのは思っていても言っちゃダメなの!」
「アニキはカッコいいッスよ! イカしてると思うッスよ!」
サメっちを中心に背中合わせになった林太郎と桐華は、お互いに正面のヒーローたちを
いずれも一〇〇〇人ものヒーローたちに、
普段は地方でパトロールがてら平和を
ダメ押しをするように、暗黒怪人ドラキリカの全身から天を
空気がビリビリと
「まとめてかかってきなさい。優しくなれるまで“愛して”さしあげますよ」
若いヒーローたちにとってこれほど強大な敵というものは、当然のごとく経験したことのない相手であった。
歴史を
いくら東日本全域からヒーローを集めたとて、ひとりひとりは人間である。
怪人のあまりの迫力に、一〇〇〇人規模のヒーローたちでさえも
――ただひとりを
「それじゃあ俺の愛を受け止めてもらおうかい」
ヒーローたちの
頭の上から叩きつける
「アカパンチ!!」
「うっ……グゥゥゥゥッッ!!!」
圧倒的な衝撃がドラキリカの
真っ赤な拳と、少し色あせたマスク。
たなびくマントを
最古のヒーロー・アカジャスティス。
ヒーロー本部長官、
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