第三十三話「正義は炎とともにある」
ビクトレンジャー司令官・
「あぢゃあああああああああっっっ!!!」
薄暗い廊下がまるで
「ああっ、
「大貫司令官! ちくしょう、水だ! 水はどこだッ!?」
火を消し止めるべく、
しかしその勢いは
部下のひとりが
真っ黒に燃え
その胸に
「ビクトレッド! てめえ裏切ったのか!」
「この
上司を
だが烈人は意に
「俺はあまり
その言葉の
「けれどいつも思うんだ。もしこの世界から怪人がひとりもいなくなれば、本当にみんなが笑える世界がくるのかなって……」
解放されたサメっちは、
烈人に連れられた
「
「……お姉ちゃん!」
再会を果たした姉妹は、お
正義のヒーローは感動の瞬間を
怒りに
その熱き男は、涙を流しながらゆっくりと口を開いた。
「悪は、誰の心に中にもいる。怪人の中にも、俺たちの中にも。だったら俺たちヒーローの使命は……
「な、なに言ってやがる! 撃てぇ! お前らこの裏切り者を撃てっ!」
ヒーロー職員たちが銃を構える。
しかしその銃身は烈人の怒りの
「俺たち“
握りしめた
もはや拳どころか両腕が
「ひっ、ひいいいえええええええっ!!!??」」
「すべての
烈人が
敵を内側から焼く“バーニングヒートグローブ”で、烈人はなんと己の腕そのものを焼いたのだ。
「ぐわあああああああああああああ!!!!」
水平に撃ち出された火柱が、悪の心に染まったヒーロー職員たちをひとり残らず
怒りの炎に
「……よし! って、うおおおおおッ!? しまったやりすぎた! これは
「
林太郎はサメっちに
「ずいぶんとお
「
「はっ、
だがしかし、自分自身の正義に立場はおろか命さえも
もしその言葉を、その心をもっと早く知れていたら。
だがしかし、そうはならなかった。
「アニキぃ……」
「……………………」
心配そうに見上げる“一番舎弟”の頭を、林太郎は
誰かから見れば倒すべき悪で、他の誰かから見れば
林太郎は眼鏡の奥で
それに
「そんな
「だからどうした! 敵に心配されるほど、俺は落ちぶれちゃいないぞ!」
正直なところ林太郎としては、一撃必殺を無理やり遠距離に対応させたビクトレッドとやりあうのは
誰だって自分の腕を焼くようなやつと戦いたくはないだろう。
しかし。
「ビクトリーチェンジ」
林太郎の
まるでこの
栗山林太郎、
極悪怪人デスグリーンは完全武装で
「さて、ビクトレッド。ご
「お
「誰が素手だなんて言ったよ」
「なにっ!?」
言うが早いか、林太郎はマントの下から
そして目を
緑の
「ぐっ……ぐげっ……!」
烈人が驚き振り向くとそこには、
あろうことか、その大きな
「お、のれ……レッ……デスグ……リ……」
“ニンジャポイズンソード”からにじみ出した神経毒は一瞬にして大貫の体から自由を
大貫は
「デスグリーン……お前……!」
「
はっきり言って、
だが悪しき緑の
ビクトレッドもまた燃え
「待つッスぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
緑と赤が再び
「サメっち……」
「あ、ああ、アニキと戦いたいなら、まずサメっちを倒してからにするッス!」
その肩は恐怖でカタカタ震えていた。
一度その身を焼かれ、あの巨大な火柱を目にした
勇気を振り
「冴夜、あなたはどうしてそこまでして怪人の肩を持つのですか。私には理解できません。」
「ごめんなさいッスお姉ちゃん。やっぱりサメっちはアニキとずっと一緒にいたいッス!」
「な……ならばデスグリーンにもあなたと同様に、
「
サメっちは思いの
「あとサメっちはやっぱりアニキのことが大好きッス! お姉ちゃんも大好きッス! ……だからみんなで一緒に……あれッス?」
やはりちょっと思いが先走りすぎて、ロジックを組み立てるのは苦手らしい。
だが林太郎は思う、サメっちはこの一件で少し強くなったかもしれないと。
きっとこれが、サメっちが見つけた、サメっちの“正義”なのだ。
「お姉ちゃんも好きッスけど、でもみんなも好きだからお姉ちゃんと一緒にはいられないッス! あっそうだ! お姉ちゃんも怪人になったら全部
「サメっち、
サメっちに決別を
鮫島朝霞という女はサメっちと
朝霞は糸が切れ力が抜けたように、がっくりと
そんな彼女の肩を、烈人が
「朝霞さん! しっかりしてください!」
「……少し、
烈人に支えられながら、朝霞はデスグリーンとサメっち、ふたりの怪人に向き合った。
たしかな
そしてズタボロになりながらも、敵の
お
「……我々の
朝霞の
「使命だの宿命だのはよしてほしいね。俺はただの平和主義者なんだから。まあ本気で俺の命を狙うってんなら巨大ロボの五、六
「ヒューッ! アニキ、かっこいいッスー!」
マスクの下で
その兄妹の姿を見て、朝霞は小さな、深い
「
そして初めて“お姉ちゃんらしく”悲しそうに
「もちろんッス! アニキは最高の怪人ッス!」
「まあそういうわけだお姉ちゃんとやら、これに
「サメっちは良い子じゃなくて
その
十一歳
ましてや
「い、いいい、いっしょに寝ているのですか……?」
「待ってね、ちょっと誤解があるみたいだ。けしてやましいことをしているわけじゃない。そうだろうサメっち?」
「そうッス! アニキは毎晩ベッドでサメっちを
ピシッ……。
そのとき、林太郎は空気が
「……サメっち? それはちょっと説明が足りないとアニキは思うよ」
「一緒にシャワーも浴びたッス! あとこう見えて結構激しいところもあるッス! あっでも、なでるときは優しいッスよ! なでなでされると気持ちいいッス!」
「サメっち、そこらへんにしておこうか。アニキはもうお
朝霞と烈人の顔が
林太郎は自分に向けられた
「ちんちんも見たッス!」
「全職員に
「やはりお前は
「ちくしょうやっぱりこうなった!」
サメっちを抱えると、林太郎は全力で逃げた。
それはもう足が
「アニキ……サメっちは、またアニキに力強く抱かれてるッスね……」
「よおしサメっち、秘密基地に帰ったら
「アニキが
「おっと待った、なんだか嫌な予感がするぞお」
林太郎とサメっちは、
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