第173話
「全く〜、梨蘭たんもむっつりさんですなぁ〜」
「そりゃ、センパイと超絶相性のいい運命の人だからね〜」
「うううっ。だから、そんなニヤニヤしないで!」
そりゃあ私だって年頃の女の子ですし。そういうことにも興味はありますよ。むしろありますよ。
……というか、主に暁斗に興味津々なんだけどね。
暁斗の指とか、暁斗のうなじとか、暁斗の背中とか、暁斗の……あ、アレ、とか……。
そういえば海の時、勇気を出して暁斗の入ってるお風呂に突入したっけ。
あの時の暁斗の背中……大きかったなぁ。
筋肉でゴツゴツしてたし、必死でアレを隠そうとしてたし。
思い出しただけで頬が火照る。うぅ、熱い……。
……暁斗のアレ、どんな風になってるんだろう。気になる。
い、いつかは見ることになるんだろうけど、でもいきなりだと……うぐぐぐ。
「百面相……」
「姐さんが何考えてるのか、手に取るようにわかるね。かわい〜♪」
「うっ。ふ、2人だって、自分の運命の人がわかったらそうなるわよ。来年の2人が楽しみね」
あの倉敷と寧夏だって、学校でも結構イチャコラしてるらしいし。
今はイメージできないかもしれないけど、1年先がどうなるかなんて、全くわからないもの。
案の定、2人は腕を組んでぐぬぬと唸った。
「んー。私の理想の人って、暁斗センパイなんですよねぇ。あ、もちろんもう横恋慕みたいなことはしませんよ? でも、暁斗センパイを超えるってちょっと想像できないというか……」
「私も、もし身内じゃなかったらお兄が理想かなぁ。というか、あれが身近にいすぎて同い歳が子供に見えるんだよね」
「ふふ。わかるわ、その気持ち。暁斗って、同い歳とは思えないくらい達観してるというか、大人びてるものね」
「「わかる〜!」」
2人も暁斗のいいところやエピソードを話すが、無限に出てるく出てくる。
私の運命の人が、赤い糸に繋がってない女の子にもこんなに好かれてるって……なんだか誇らしいわね。
……それにしても。
「琴乃ちゃ〜ん。ちょっとお兄ちゃんのこと好きすぎじゃない?」
「ぅっ。そそそっ、そんなことないよっ? 普通っ、普通だから!」
瞬間湯沸かし器みたいに一瞬で顔を真っ赤にした琴乃ちゃん。
あぁ、可愛いなぁ。こんな子が義妹って……暁斗のご両親、ありがとう。
「えぇ〜? 琴乃、学校でもみんなにバレバレなくらいブラコンじゃん? 今更隠してももう遅いよ」
「うそっ!? うぅ。うまく隠してたつもりだったのに……」
「うっそー☆」
「…………乃亜、きらい」
あらら、不貞腐れちゃった。
「あぁ〜っ、琴乃かわいー♪」
「かわいくないもん」
「まあまあ、そんなこと言わずに〜」
「にゃっ!? の、乃亜っ、くっつかないで!」
とか言って、琴乃ちゃんも満更でもない感じじゃない。
琴乃ちゃんの頬に自分の頬をくっ付けてムニムニする乃亜ちゃん。
美少女2人がムニムニしてるの、かわいいなぁ。
とりあえず写真パシャリ。
「むん? 姐さん、いきなり撮らないでくださいよぅ」
「あ、ごめんね。でも2人とも、なんだかお似合いでつい……」
「……お似合い?」
キョトンとする琴乃ちゃんと乃亜ちゃん。
2人はどちらともなく目を合わせると、気まずそうな顔でちょっと距離を置いた。
あ、あれ? 私、変なこと言っちゃったかしら……?
「そ、そりゃあ乃亜は可愛いし、同性から見ても魅力的な女の子だけど……」
「こ、琴乃だって、同い歳と思えないくらい大人びてるし、たまにセンパイっぽくてドキドキするけど……」
もじもじ、いじいじ。
こ、これは、もしや……?
「ふ、2人がそういう関係を望むなら、私は何も言わないわよ、うんっ」
「「ちっ、ちがっ……!」」
「だだだ大丈夫っ! 私、そういうのには理解あるし、暁斗だって2人なら喜んでくれるわよ、きっと!」
「あ、姐さん落ち着いて! 私、男の子が好きだから! 暁斗センパイみたいなのがタイプだから!」
「わ、私だってそうだよ! 梨蘭たん、変な邪推しないで!」
え……。
「おおおおおお男が好き!? だ、ダメ! そんなことしちゃダメよ! 暁斗だって悲しむし、私だって2人が傷モノになったらイヤだもの!」
「何想像してんの梨蘭たん!?」
「私らがそんなことするはずないじゃないですか!?」
そ、そそそそそうよねっ。いけないいけない、私ったらまた変なクセが……。
…………。
「でも2人が本気なら、私は全力で応援するからね!」
「「だから違うって!?」」
◆暁斗◆
「……ん……んぁ……?」
……あぁ、もう朝か。
時間は……げっ、8時。いくらなんでも寝すぎだろ、俺。
でも久々にこんなに寝た気がするな。いつもなら梨蘭に起こされてるところだけど。
……あれ、そういや梨蘭は……?
部屋を出て廊下を見渡す。
けど……いつも聞こえるキッチンからの音が聞こえない。静かだ。
とりあえずゲストルームに行ってみるか。
「おーい、起きてるかー?」
数回ノックをする。が、特に返事はない。
「……入るぞー?」
おじゃましまーす。
……あ、いた。
「すや……」
「すぴぃ……」
「むにゃ……」
おーおー、3人揃って爆睡してんな。
取り敢えず記念写真ということで、パシャリ。
昨日は楽しかったんだろうな。今日くらいはゆっくり眠らせてやるか。
「おやすみ、3人とも」
因みに、写真はありがたく待ち受けにさせて頂きました。
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