終わりのない 戦い

 私は翌朝、底冷えで目が覚めた。

 風邪をひいていないだろうかと、少し心配だったが自分がいかないと予備校もこの時期は講師の先生の就職や卒業で抜けてしまうので、生徒さんも混乱している。個別指導が私の担当なので、どうしても担当講師が変わればこちらも担当を探すことになり、人気がある実績のある先生にお願いしてしまう。

 しかし講師の先生も学生さんなので、いろいろと事情があるので話し合いが必要となる。昨夜は全く書くことができなかった。開いたPCはそのままだった、誰とも会話をすることはできなかったし、Twitterでの応援もできなかった。

 申し訳ないと思うが、生きていくためにはもともとの本業に軸足を置くことが私に与えられた仕事だったし、食べていくことが人間の生業だった。モナコの餌も買うし、自分も食べねばならない。


 私は3月締め切りの文学賞に応募するための原稿を仕上げることもできなかった。すべては本業が忙しいためだったが、それを言い訳にして休みの日には寝ることしかできなかった意志の弱さがすべての罪であると同時に、どうせ出しても落ちるに決まっていると、自分で自分の作品を握りつぶした。

 へーちゃんさんが、折れている私の前回のぼやきを聞いてくださった。

 大きな賞に応募して落ちても大丈夫、参加するとはそういうことだと。

  

 そう、終わりのない戦いを私たちは挑んでいるわけで、中には賞を取る人もいる。だがそれが仲間の中からでたら? 今まで仲良く会話していたのに、もうその人は作家デビューしていくわけなので今までの通りというわけにはいかない。

 先生と呼ぶことになるのだろうか。

 私は深い沼の中でもがいていた。

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