ダイジェスト10話~11
<第10話 第一戦ポイントバトル>
ミハルはツバキ、ヤマト共にゲームの世界で第一戦のルールを見ていた。
各フィールドに散らばったバトルプレイヤー100人がフィールドに存在する
モンスターや敵、もしくはほかのバトルプレイヤーを倒すことによりポイントを稼ぎ合計200ポイントになった時点で勝利となる。80人のプレイヤーが第二戦へと勝ち上がることができる。
第一戦がスタートしミハルが最初に配置されたフィールドは海賊船が横に並びお互いに橋を繋げている海上フィールドだった。久しぶりに見た海に目を奪われつつこのゲームのすごさを感じていた。
そこに現れたのは海賊船団を仕切る女船長。
「船団の積み込みが終わるまで時間がかかるからゆっくりしていきな」
このフィールドでのミハルは侍の旅人で乗せてもらっている。それぞれのフィールドでプレイヤーの立場が変わり行動次第でNPCの行動も大きく変わる。
このフィールドはかつてツバキと共に行った西洋風のファンタジーフィールドと同じ世界をもっており船長は貴族を倒したミハルの行動力を知っていて船に乗せていた。
船長は船員の指揮をするため一度離れた。
ミハルは少し先にあるポータルの中に移るフィールドを見ていると逆方向で物音が鳴りひびく。穏やかなものではなく戦闘のような音だった。
音の鳴る方向へ向かうとそこには鞭をもった女性と槍をもったプレイヤーが戦っていた。NPCたちの作業に支障が出ると感じたミハルは間に割ってい入り二人を止めようとした。
「ストップです! 戦うならここじゃなくてもいいじゃないですか」
「お前あれか、エキシビションマッチのプレイヤーか。プレイヤーがどこで戦おうと勝手だろう」
槍を持ったプレイヤーロイドを説得していると鞭をもったプレイヤーミチハは近くのポータルへと向かおうとした。
「おい! 逃げんのか!」
「興ざめしただけさ。あんたの相手はきっとその子がしてくれるよ。その子倒した後に相手になってあげる」
ミチハは草原の見えるポータルへと姿を消した。
にらみを効かせながら構えるロイド。
嫌な予感を察知し船員を隣の船へと誘導しつつミハルは軽快した。
刀と槍の戦いが始まろうとしていた。
<第11話 命が一番>
刀と槍。
距離を保たれている状況では不利な局面である。
素早い動きで攻撃してくるロイドだったがそれが本気でないことを察した。
あくまでロイドはミハルの実力を測ってから実力を出そうとしていたのだ。ミハルがそれなりに動けるとわかると次に素早い突きの連続でミハルを襲う。
リーチを把握しつつ貴族との戦いで連続攻撃を対処していたミハルは隙を伺っていると、突如槍が伸びてきた。持ち手を変えつつ根元持つという古典的な方法ではあるが素早い戦いでは一撃が命取り。咄嗟に後ろへと下がるがそこは船同士を繋ぐ橋の部分。安定しない足場で戦うことになる。
「だったら少し本気を出してやる! ダブルシャドー!!」
発動した技の効果によりロイドの動きを完全にコピーする影の分身が現れ一度の攻撃で二度の打撃を与えることができる。素早い攻撃にさらに二重に重なる打撃。ここは耐える時だった。
「このまま持久戦になったらお前に正気はない。そして、一つ面白い話をしてやろう。このフィールドにおいてお前は旅人というステータスを付与されている。そして、それを攻撃する俺は敵というステータス。ということは俺からすれば船員たちはみな敵というわけだ。ということはよ、お前を倒して船員と船長をやっちまえばそれだけでポイントは200近くまで稼ぐことができる! 全部お前のおかげだ!」
敵は常にモンスターや悪党ではない。状況に応じ敵というのは変化していく。あえてNPCの敵になることでこの戦いは一気にポイントを稼ぐことができるようになる。
「手間を省いてくれてよかったぜ。それにこの橋からでしかあいつらはこっちへはこれない。道が一つならどれだけの数がいたところで同時に戦うのはへでもない。船員を向こうへ逃がしてくれたのはかなり助かったぜ」
「私の行動が裏目に……」
自身の行動が相手にとって優位な状況を生み出してしまったことが腹立たしかった。
それを利用するロイドにではない。自分自身にだ。
そもそも本当に追い返すなら最初から特攻してあわよくば二人同時にポータルへと押し返せばよかった。なのに話し合いという道を選ぼうとした行動が裏目となったのだ。
「そういえばよぉ。もし海に落ちたらどうなるんだろうなぁ? 試してみたくなってきたぜ」
疲弊したミハルへ容赦のない攻撃が襲い掛かる。回避も耐えるのも難しい状況。そんな窮地に銃声の音が鳴り響く。
「私の客人に手を出す無頼の輩はあんたか?」
銃を撃ったのは女船長だった。船員を助ける姿に感銘を受けた女船長エドワードは言った。
「あんたはこんなとこでやられていい存在じゃない。――やろうども!! 準備はいいか!!」
船員たちは一斉に返事をした。
「なぁ、あんた。海に落ちたらどうなるかとな言ってたなぁ。そんなのは自分で試しな!」
その言葉と共にエドワードはミハルを抱え移動し一番端のロイドのいる船を砲撃した。船員が手早く橋を外し前進。船は海の藻屑となっていった。
「あの、船壊しちゃっていいんですか?」
「別にいいさ。美春が命かけて船員を守ってくれたんだ、船の一隻くらい安いもんさ」
砲撃や爆薬のせいでロイドがどうなったかはわからない。しかし、無事ではすまないだろう。美春はNPCの手助けにより難を逃れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます