サイドストーリー レイラン 5

 パッカードが次に装備したのはビームガトリング。レイランへと乱れうちのけん制をしかけた。レイランは器用に避けつつも刀をパッカードへと投げつけ防御しているわずかな隙を作り距離を詰めた。


「判断が早いな。だが、正面からではな!!」


 スモークを発生させワイヤーで屋根へと上がり距離を取りつつガトリング放射で回避と攻撃を同時に行うテクニックを見せた。

 レイランはロイドが使っていたような長い槍を取り出し全力で回転させスモークを散らしながらビームをすべてはじいた。


「ほぉ、やるな」


 感心しているパッカードは次なる策を実行しようとすると、レイランはいつのまにか目の前までやってきていた。


「なに!?」

「勝利のためならなんでも使わせてもらうよ!」


 最初のビームを避ける際に手に入れた加速アイテムで一気に距離を詰めて槍の一撃でパッカードを強く突き飛ばした。体制を整えるよりも先にレイランは加速して後ろに回りつつ、頭を狙って全力でフルスイング。


「うぐぁっ!!!」


 通りへと飛ばされ追撃に対してエースストライクを放とうとした瞬間、強化された槍が凄まじい速さで投げつけられパッカードに直撃。残り体力わずかであるパッカードはエースストライク発動するよりもまずは目の前の相手を近寄らせないために再びスモークを焚いて位置を特定してから最大の一撃を放つエースストライクでケリをつけることにした。


「広範囲のスモークだ。当てずっぽで命中させられるほど甘くはないぞ」

「別に特定する必要はない。あなたは近代兵器、いや近未来兵器に頼って過去を知らないようだから教えてあげる。かつて、織田軍が使った最長の槍のことをね!」


 その時、パッカードの体の横を強烈な衝撃が襲った。咄嗟に体を見ると、そこにはスモークを貫き使用者が見えないほど長い槍があった。


「うぐっ!!!」


 スモークからはじき出されたパッカードの体力はついにゼロなった。ゆっくりとレイランが現れ、その手に持っていたのは6メートルにもおよぶ槍であった。


「あまりの長さに本来の突くという動作においては威力もスピードも落ちてしまうけど、振って攻撃する分にはリーチを生かした強烈な一撃を叩き込める」

「物理法則を無視した暗器かよ……。まぁいい、負けは負けだ。しっかり勝ち上がれよ」


 そういうとパッカードの姿は消え残りのプレイヤーは54人。その直後にさらに2人減り52人となった。


「といってもこれ持ち運ぶのはやだなぁ。狙われるし重たいし」


 その時、スナイパーによる射撃で槍が撃たれ完全に折れてしまった。

 

「うわぁ……。もしかして今の戦闘誰かに見られてたの。下手すりゃ屋根に上がってた時にやられてたかもしれない……」


 どこで誰が狙っているかわからないバトルロイヤル。出会う相手は全員敵。警戒心を高めレイランは先に進んだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る