自分の足で

勝利だギューちゃん

第1話

「♪花嫁は、夜汽車に乗って、嫁いでいくの~」

歌の文句だ。


でも、「お嫁に行くなら、スープの冷めない距離が理想」ともいう。

夜汽車で行けないところなら、とっくに冷めてしまう。


間違いない。


それとも、相当に熱いのか?

世は矛盾だらけだ。


で、結局スープの冷めない距離ってどのくらいなのだろう?

気になった。

試してみよう。


まず冷めない度合いだが、僕がフーフーしなくても飲めたら、冷めたと断定。

肝心のスープは、インスタントでは正確には図れない。


でも、料理が出来ない。


「お願い、作って」

「もう、世話が焼けるんだから・・・」


同棲している、血のつながった姉に作ってもらう。

家族?

まあ、世間一般ではそうだな・・・


実際、異性としての魅力はないし・・・


でも、姉はお嫁に行くことになった。

物好きが現れた。


「姉貴は、どこへ嫁ぐんだっけ?」

「スープの冷めない距離よ」


近所か・・・

丁度いい。


「はい、出来たよ」

「サンキュー」


熱々のスープを手押し車の荷台に乗せる。


「さあ、行こう」


出発する。


歩行距離はスマホで出る。

便利な時代だ。


試す。

熱い。


試す。

熱い。


試す。

まだ熱い。


試す。

フーフーして飲めた。


試す。

フーフーしなくても、飲めた。


ここが理想だ。

で、自宅からここまでは何キロだ?


あっ、5キロか。

個人差もあるが、今回は5キロと出た。


「おっ、〇〇くんじゃないか?どうした?」

家から、義兄となる男性が出てきた。


確かにスープの冷めない距離だ。


「姉をもらってくれて、ありがとうございます。

ふつつかな姉ですが、幸せにしてあげてください」

「お姉さん想いだね」

「はい」


何事も、足で調べるのが一番だ。

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自分の足で 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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