第27話 水族館デート その3

「よし、送信完了と♪」

「どんな反応するかな?」

「あっ、ついでハンバーグも送ろうかな?」

「鈴ちゃんもハンバーグ大好きだし♪」


 稀子は呟きながら送信をしてる。本当に見ていても飽きない子だ。

 俺はそんな姿の稀子を楽しんで見ていると、料理が運ばれて来た。

 スタッフにお礼を言って、昼食の始まりで有る。


 稀子は食べる前にやはりと言うか、写真を撮っていた。本当に自慢する気だ……

 見た感じ…、本当に美味しそうなハンバーグで有った。ファミレスのハンバーグと違って、高級感のオーラが漂っていた。自慢したい気も分かる気がした。

 俺は律儀に稀子が写真を撮り終わるまで待っている。


「あっ、ごめんね……比叡君」

「写真も撮り終わったし、食べようか♪」


 稀子と一緒に『いただきます』をして昼食で有る、特製ハンバーグを食べ始める。


「うぁ!」

「このハンバーグ凄く美味しい! お肉も凄く柔らかいし!!」

「こんな、美味しいハンバーグ有るんだ!!」


 稀子は嬉しそうにハンバーグを食べている。

 俺もハンバーグをナイフで切って食べる。


(あ~、美味しい!)

(何だろ? 肉の柔らかさからして、和牛ハンバーグかな?)

(肉汁も凄いし、このソースも美味しい!!)

(これなら、この値段でも仕方ない…)


「美味しいね、比叡君!」


 子どもが楽しく笑うような笑顔で、稀子はハンバーグを食べている。

 たしかに、これだけ美味しければ仕方ない。

 俺と稀子は、館内レストランでの食事を楽しんだ……


 ☆


 レストランでの食事を楽しんだ後は、お土産コーナーに向かって、水族館オリジナルのお土産等を見る。


「鈴ちゃんには、どのぬいぐるみにしようかな?」


 稀子はイルカ、ペンギン等のぬいぐるみを見ながら選んでいる。


「珍しい、スナメリのにしようかな?」

「でも、ここはやはり亀にするか……?」


 稀子は色々なぬいぐるみを手に取っては悩んでいるようだ。


「ねぇ、比叡君?」

「鈴ちゃんには、どのぬいぐるみが良いかな?」


 稀子は俺に意見を求めてくる。


「ん~~、ここの水族館はペンギンがメインだから、ペンギンはどうだろう?」

「ペンギンでも2~3種類有るし」


「ペンギンか……ペンギンは私が買うからな…」


「じゃあ、後はスナメリかイルカ?」


「スナメリは面白みが無いからな……。う~ん、イルカにするか?」

「鈴ちゃんみたいに賢いから…」


 稀子が何を基準に、イルカのぬいぐるみを選んだかは判らないが、鈴音さんのお土産はイルカのぬいぐるみに決めたようだ。

 後、稀子用のペンギンのぬいぐるみ。イルカの模様が入ったマグカップを2つ。ペンギンの模様が入ったマグカップを1つと、あちらのお土産のお菓子と俺達が食べる分も買う。


 イルカのマグカップは、山本さんと鈴音さんが使うペアカップにして、ペンギンのマグカップは稀子が使うみたいだ。

 お土産の料金も結構するが、稀子はお金を持っていないため全額俺から出す……


(うぁ~~、これがリアルデートだったら、きついな…)


 俺はそんな事を思いながら、お土産を買って水族館を後にした。


 ……


 水族館を出て、俺はスマートフォンで時刻を確認すると14時を過ぎていた。

 その後、俺と稀子は水族館と一体に形成されている海浜公園を散策して、稀子とのデートを楽しむ。


「いや~、楽しかったね。比叡君~」

「みなと水族館に来られて本当に良かったよ♪」


 少し海風が吹く中、稀子と話をしながら散策している。


「喜んで貰えて何よりだよ!」


「本当はあの人と来たかったけど……うん…」


 稀子は少し寂しそうな声で言う。

 あの人の事は、言うまでも無い山本さんの事だろう。


「ねぇ、稀子ちゃん」

「稀子ちゃんは、山本さんの何処が気に入ったの?」


 俺は良い機会なので、稀子に山本さんの事を聞いてみる事にした。

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