第8話
代々木みどり公園は幸子の専門学校にほど近い所で、よく利用させてもらっていた。「挑戦だったんじゃないかな」鷹志は云った。万引を目撃して鷹志と幸子に話した一週間程前、月曜日のことである。「挑戦?」「そりゃあ、見せしめのための万引という程はあるとしても、実は目的は違うことにあった。それは、受験に対するアンチテーゼだったんじゃないか」コーヒを手にしたが空けることはしなかった。ただ缶をくゆらせながら続ける。「確信犯だと云いってもいいと思う。本来小説は一本読み切って改めてテーマを語るものであり、文節では何ら語るものではないと俺は思っている。仕方ないと割り切っている受験生は多数だろう。でも、文学を好きすぎて、尚且いじめという高校生の内的要因が重なり、小説を一冊盗まないとしたら、果たして? 俺はそこが要因だと思っている」それは独白でもあった。それを聞いて幸子が云った。「もう腹はきまっているんでしょう?」と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます