第6話

スマホをいじる、TwitterとFacebookがメインだが、意識は女子高生にある。邪な意味ではない。5人の女子高生が本当に向こう正面にいたのだ。それは奇妙な光景だった、本屋の外にいる女子高生、電柱を挟んでなんとはなしに見る僕。おそらく通報すれば捕まりそうな体裁で、僕はただ佇んでいた。推理はこうだ。青空文庫は作品IDで分別されている。つまり、岩波文庫であろうと角川書店であろうと関係ない。個別単体のIDが割り振られているわけだ。そうして推理は推測に変わる。これは、万引を行う時刻を表しているのではないか? 例えば芥川龍之介の「羅生門」であれば「127」。これは、12時7分を表している。現に女子高生の集団が目の前にいるのだ。僕は一人本屋にいる彼女を想像する。いじめにあった人物を想像するのは単純すぎる。たぶん、いじめにあってなお己を律するアンビバレントな者なのだ。それは、想像するに寂しすぎると思う。

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