第65話 アプリルさんと、街でデート?

「はふぅ♡」

「ふふ……お疲れ様だ、クリス♡」

「ほら、水だ」

「あ……ありがとう♡」


 今日はルシアママと【レッスン】♡

 もちろんまだアプリルさんのカラダのまま。

 だから本来のぼくのカラダの時とは、だいぶ勝手が違ってるんだ。


「うぅ……ルシアママぁ」

「ぼく女のコなのにぃ なんでそんなに上手なのぉ? んっ♡」びくんっ♡


 うぅ 女のコって【余韻】がスゴくて……んんっ♡


「ん? それはいつも自分でして──あー、いや」

「こらこら……話し方がクリスに戻ってるぞ?」

「今のお前はアプリル……年頃の女子なのだからな♡」

「あ、そうでした、ルシアさま」

「ふふ♪ ま、あくまで期間限定の話だ」

「これもいい機会だと思って、女の身体を楽しむ事だ」

「そして、どこをどうすれば女の身体が喜ぶか、身を持って体験すればいい♪」


 ルシアママ……他人ごとだと思って気楽にいってますね?


「うぅ、でも女のコの身体って、こんなにスゴいことに……なっちゃうんですね」

「ははっ とはいえそれは、お前のやり方が丁寧にすぎるからだぞ?」

「え? そう……なんですか?」

「普通はお前のように、女の身体の【下ごしらえ】など、しないそうだからな」

「私も年頃の時期に婆やから『潤滑油を用意し、気分が高まるまでは我慢です』」

「そう教わっていたからな」

(おっと……そうだった)


 この世界の性行為は、ほぼ【子作り】だけが目的だから、

 男の人は女の人を【満足させる】なんてことは、ほとんど考えてない

 だから女の人は、油とかデンプンで作った【ローション】を使ってる。

 むしろ現代日本であの【動画】を見まくった、ぼくの方がチートだったりする。


「だ、だってぇ 私ばかり良くなるのは……その、不公平かと思いまして」

「ですからルシアさまたちにももっと、良くなってもらおうかと」

「ははっ おかげで指導している私たちの方が、今や夢中に──げふんげふん!」

「え?」

「と、ともかくだ……アプリルの方も、それなりに男の身体を楽しんでいる」

「【魂の安定】には仕方ない事だし、お互い様なのだから気にしないことだ」

「で、ですよね……」


 アプリルさん、ぼくのカラダで【子作り】こそしてないけど……

 その代わり、ママたちの【手】で男のコのキモチよさを味わってるっぽい。


(アイナママもルシアママも、なんだかすごく上手になっちゃったからなぁ)


 けど、女のコのカラダの【高ぶり】は、ぼくの予想以上だった……

 とくに【ナカ】のアノ部分をアレされたときはもう、死んじゃいそうで……♡


(うん、元に戻れたら……もっとがんばろう!)


 そんな誓いをたてるぼくなのでした~


 ◇◆◆◇


「ふう……お疲れさまでした、アプリルさん♪」

「あ、はい♪ クリスくんもおつかれさまです」


 そして数日がたった朝、ぼくたちは朝ごはん前の鍛錬をしています。

 いわゆる軽い筋トレとかジョギング、あとは剣の素振りとか。

 そういうのをいっしょにやってるんだけど……


ア:「けど、アプリルさんはすごいですよ♪」

ア:「ぼくより歳下なのに、こんなに頑張って!」

ク:「えへへ、いつかママたちを守れるようになりたくて……がんばりました♪」

ア:「ステキです、そういうの♪」

ア:「スキルだってたくさんあるし……絶対にいつか叶いますよ!」

ク:「あ、ありがとうございます! クリスくん♪」


 とまぁ? おたがいに相手になりきるために……

 【話しかた】と【呼び名】を入れ替えちゃってるから、なんだかヘンな感じ~

 ちなみに【呼び名】まで変えちゃったのは……

 家族以外のひとたちと話したとき、うっかり間違って呼ばないようにするため。

 だから普段から、慣れておくように入れ替えてるんだ~


(けど、最近じゃあ照れずにできるようになってきたし?)

(それにアプリルさん、ホント魅力的な女の子なんだ♪)


 そしてアプリルさんを見れば……

 クセになってるみたいで、いつも楽しげに鼻歌を歌ってる♪


(アプリルさん、歌と踊りがすっごく上手で、いつも楽しげで~)

(なんだか見てるだけで、こっちが元気になりそう♪)


 いちどエルフの森の歌を、踊りつきで歌ってもらったんだけど、

 ぼくのカラダなのに、すっごくかわいくて……


(あれは、思わず見とれちゃったなぁ♡)

(レイナちゃんも感動して『踊りを教えて!』ってはしゃいでたし♪)


 だから元にもどったら、ぜひ自分のカラダでもういちど見せてほしいな♪

 そうしたらぼく、ぜったいにファンになっちゃいそうだけど♡


「それに、すごいですねっ 剣のスキル!」

「ぼくもエルフの森で、いっぱい鍛錬しましたけど……」

「この歳でぼくとほぼ剣のスキルが一緒だなんて、本当にすごいですよ♪」

「あ、あはは~ ルシアさまに、きたえていただいたおかげ……です?」

「それっ 本当に羨ましいです!」

「だからぼくもこの機会にっ いっぱい教えてもらっちゃいます♪」

「あはは~」


 とまぁ? アプリルさん、ぼくのカラダで剣を振ってるけど……

 なぜかけっこう……いや、かなり上手に剣が使えてる。

 【武術系スキル】をぜんぶなくしたのに、どうしてかというと~


(ありがとう、ミヤビさまぁ♡)

(おかげでアプリルさんにバレないで済みました!)


 ミヤビさま、今回だけ特別にって特別なアイテムをくれたんだ♪

 それは……【男のコ用のパンツ】。

 そして実は、アイナママが買ってきてくれた、フツーのパンツ。

 だけどビキニアーマーと同じく、神殿に【奉納】すると──


(なんとレベル20台!)

(【一人前】くらいの武術スキルになっちゃうんだ♪)


 だから、今のアプリルさんが装備すれば……

 ホントは武術スキルを持っていないのに、剣がうまくなっちゃう♪

 しかも、ビキニと違って生地が露出してなくてもオッケーだから?

 新品のパンツをプレゼントしたことにして、はいてもらってるんだ~


(けど、男のコ用のパンツを奉納した時の、あの神官のひと……)

(なんだかビミョーなお顔、してたなぁ)


 そしてアイナママたちも最近、下着がぜんぶ【ビキニ】になりました~

 今までは、ズボンみたいな【ズロース】だったけど……

 お外でビキニアーマーを装備してるから?

 なんだかズロースが、とってもやぼったく思えてきちゃたみたいで~


(でもレイナちゃんまでパンツ、ビキニになってたのはおどろいたなぁ)

(けど? お胸がアレだから、上はキャミソールっぽいのだけどね~)


「あっ それにしても……」

「ルシアママのビキニ、本当にすごいですよね!」


 そんなふうに大こうふんのアプリルさん。

 その【見た目】のコトじゃないよね?


「そのぉ 見た目もすごいけど……あの精霊魔法!」

「ぼく、最近やっと【姫巫女の戦装束】を使いこなせてきたから?」

「これでルシアママに追いつけたかも♪ なーんて思ってたのに!?」

「あはは☆ アレはすごいですよねぇ♪」

「ルシアさまがあの【飛行魔法】を使うと~」

「自分以外にあとふたり、いっしょに運んじゃいますからね」

「あと二人!? すごいっ さすがはルシアさ──じゃない、ルシアママ!?」

「ぼくなんて、レイナちゃんだけでも怪しいのに~っ」

(おぉっ!)


 ぼくならレイナちゃんは余裕、アイナママはもう少しでなんとか?

 とまぁ風精霊魔法に関しては、ぼくの方がちょっと上手みたい♪


(えへへ♪【風精霊魔法】は前世と関係ないから、ぼく自身の努力のタマモノ)

(だからすっごくうれしい♪)


 っていうか、アプリルさんもおうちじゃ【お嬢様】だもんね?

 いくら飛べるからって、人を運ぶことなんてしないよねぇ?


「よ~し! こうなったらもっとがんばります!」

「そしてここに居る間にいっぱい鍛錬して、もうひとり運べる様になりますよ♪」

「えへへ、できますよ♪ きっと」

「ありがとうございます♪」


 そんなふうに、お互いはげまし合って……

 今日もいっしょにシャワーを浴びるんだ~♪


(え? 男女なのに、いっしょでいいのかって?)

(うん、そうだけど……)

(おたがい自分のカラダだから? ハダカでもぜんぜんドキドキしないんだよ……)


 ◇◆◆◇


「あぁ……このままほんとうに、あのおうちの子供になりたい♪

「えへへ、すごいですよね♪」


 な~んて、アプリルさんもすっかり、ぼくのおうちの便利さに夢中です♡

 とくにおフロとおトイレには、ほんとうに驚いたみたい♪


「そりゃぁ? エルフの森にも温泉くらいはあるんですけど……」

「それをおうちの中に作っちゃうなんて、本当にびっくりです♪」

「しかも毎日!いつでもお湯がわきっぱなしだなんて……あぁ、夢みたい♡」

「ですよねー♪」

「それに……あのセッケンもすごいですよ♪」

「おかげで髪がサラサラで……」

「あ、いつも私の身体の髪、洗ってくれてありがとうございます♪」

「いえいえ~、おたがいさまですし?」


 アプリルさん、すごくかわいいのに、

 やっぱり毎日髪を洗えてたわけじゃなかったみたい。

 だからぼくのおうちに来てからは、すっごいキレイな髪になりました♪

 それに最近、ぼくは【リンス】の方法を発見したんだ~


(もちろん【万物真理ステータス】さんに調べてもらったんだけどね♪)

(ちなみにやりかたは~)


 まず、おフロの手桶にお湯を入れます。

 そしたらそこに、レモンを半分しぼります。

 そしたらそのお湯を、髪の毛にしっかりなじませて~

 あとはキレイなお湯で洗い流せば完了♪


(セッケンでしっかり髪を洗ったあとは……)

(香油とかでお手入れしないと、髪がキシキシしちゃうけど~)

(この【レモンリンス】すればそれがなくなって、スルッスルになります♡)


「だからセッケンの作り方、すっごく興味あります♪」

「はい♪ あとでしっかりおしえますから、おぼえてくださいね?」

「それとは別に、私が作ったセッケンもおみやげにあげますから……ね♡」

「あぁんっ 大好きっ♡」

「わっ!?」


 急にだきついてくるアプリルさん!?

 って……セッケンのお礼だよね? いまの~


「も、もうすぐケストレルの街につきますから、そろそろおりないと」

「あっ そうですね? うふふ、飛んでるの見られたらいけませんもんね♪」

「ですね~」


 とまぁ? ぼくたちはお空を飛びながら、お話してました。

 例によって【ソファーにこしかける格好】だから、とってもらくちん♪


(で、でもアプリルさん、なんだかちょっと距離がちかいような~)


 ひとなつっこいアプリルさんだから、ちょっとドキドキ。

 でも今は、ぼくのカラダなんだけどね~


 ◇◆◆◇


「んふふ♪ やっぱり人族の街は、いろんな品物があって楽しいです♪」

「ですよね~♪ あ、じゃあおいしいお菓子とか、買っていきましょうか?」

「賛成です♡」

「それに……私たちだけこっそり、お店でも食べちゃいましょう♪

「わぁっ♪ うふふ……ナイショですね♪」

「はい♪ ナイショです~♪」


 なーんて、アイナママのマネっこをして、ちょっとデート気分♪

 でもアプリルさん、ほんと楽しそうに笑うなぁ。


 今日はアレコレお買いものと、【悪霊】の手がかりをさがして街の偵察……

 それからぼくたちの【入れ替り】がバレないかどうか、試しにきてるんだ。

 と、その時──


「あ、クリスくん? 向かいから私の知り合いがきます」

「はいっ」


 小声でそんなことを話すぼくたち。

 そして向かいから来るのは……レニーさんたちのパーティーの人たちだった。


「あの男のひと3人で……右の若いひとが【ユカイ】さん」

「レニーさんの弟さんで、剣士さんです」

「真ん中のおじいさんが【ゴーシュ】さん、男の人だけど魔法使いです」

「で、左のネコミミのひとが【リゲル】さん。シーフです」

「は、はいっ」


 とくに親しいレニーさんやアマーリエさんたちのことは説明してたけど……

 アプリルさんは男の人が苦手だから、ちょっと緊張してるみたい。

 だから……


「最初に私を紹介して、前に出してください」

「それで私が主にお話しますから」

「は、はい……お願いします!」


「おー、クリスじゃないか?」

「あ、こんにちわ♪」

「え? なにその美少女!? メッチャカワイイ!?」

「あ、紹介しますね? ルシアママの知り合いで、いまぼくのおうちに来てる──」

「アプリルです♪ はじめまして」


 アプリルさんになりきって、あいさつするぼく。

 その時に、ちょっとアプリルさんよりも前に出てあげる。


「え? 耳長っ エルフ!? エルフなの!?」

「ほほう? エルフとは珍しいのぅ」

「同意だ。俺はギルドのミラとマハしか見たことがない」

「え? ルシア様見た事ないの!? ソレ絶対ソンしてるって!?」

「無いな。クリス……久しぶりだ」

「お、お久しぶりです」

「ふぉっふぉっふぉっ 相変わらずカワイイのぅ」

「か、カワイイっていわないでくださいよぉ!?」


 むーん、ホントにぼくがいってるみたい。

 アプリルさん、なりきるのうまいなぁ


「っていうか……お、俺っ【ユカイ】って言います!」

「はい、ユカイさんですね? よろしくお願いします♪」

「か~っ!? マジカワイイ!? 超カワイイぃぃ!?」

「落ち着けユカイ」

「気持ちは判るがのぅw」


 なんだか思ったとおりのリアクションに、ヘンに安心するぼく。

 それにしても……


「よよっ よかったら俺が……ままっ 街を案内して──」

「あ、けっこうでーす」

「そんなぁ!?」

「だからユカイ、落ち着け」

「見事に振られたのぅw」


 そんなユカイさんたちだけど……


(うぅ……すごいぼくを見てる!?)

(しかもお顔、おっぱい、脚と……なんどもローテーションしながら!?)


 男のひとの視線って、ホント女のひと、わかってるんだなぁ


(ぼ、ぼくも元のカラダにもどったら、気をつけなきゃ)


 そしてそのあと、アプリルさんも……

 街の女のひとたちに、ぼくのカラダをメッチャ見られてました~


(うぅ、知りたくなかった……)

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