第50話 やっぱりビキニアーマーは、スゴかった

「こ……怖──」

「アイナママ、下は見ちゃダメだよ?」

「はっはっはっ アイナは怖がりだなぁ♪」

「ルシアママ……さすがにこれ、しょうがないよぉ」


 それというのも……

 ぼくたちは今、3人でお空を飛んでいるからです。


(え? 2人までしかダメなんじゃないかって?)

(飛べちゃったんです……そう、ビキニアーマーならね!)


 とまぁ……あんまりルシアママがプルプルするものだから?

 ぼくがビキニのメリットである、

 【知力アップによる魔法の強化】をお話したんだけど……


(うん……ルシアママ、風の精霊魔法がめっちゃ強くなってたんだ)


 その剣から発した風刃は、見上げるようなおおきな岩もまっぷたつだし、

 開拓地の大きな木も、一振りで10本以上、いっきに倒しちゃった……

 そして……


『今の私なら、出来る気がする!』


 って……ぼくたちふたりをかかえて、あっけなく飛び上がっちゃって……

 それで今ぼくたちは、3人でお空を飛んで街に向かってるんだ。


「ふむ……なるほどなぁ」

「その防御力にばかり気を取られていたが……」

「まさか私の魔法まで、上げ底してくれるとはなぁ」

「すごいよねぇ、ビキニアーマー♪」

「ああ、私もレベル55だからな……レベルアップなどなかなか機会がない」

「しかもアップしても、体感できる様な変化は感じられなかったからな」

「そうなんだ? じゃあ今回は……」

「ああ、精霊たちの喜び様がまるで違う」

「その対価として与えている魔力の質が、上がっているらしくてな?」

「なかり美味いらしく、いつもより2倍働いているそうだ

「そ、そうなんだ……」


 精霊魔法を使える人族ってすごく少ないし……

 ルシアママほど精霊のキモチがわかる人もいないだろうから?

 今のって、実はスゴい発見なんじゃないのかなぁ。


「という訳でアイナ? 安心してくれ」

「大事な家族を落とす様なマネは絶対にしないぞ?」

「え、ええ……そこは信用していますが……」

(おぉぉ……)


 ルシアママは、いつものソファーに浅くゆったりこしかけたポーズ。

 そしてアイナママは腕にしがみついて、ぴったりよりそうポーズ。


(なんだか……カップルっぽい♡)

(キマシタワー♡)

(でもそのまん中のお膝のうえに、ぼくが乗ってるんだけどね~)


 ルシアママいわく『ゆっくり』なお空の旅は、だいたい30分くらい。

 アイナママもおしまいのころには、けっこう慣れてきたみたい♪


「うふふ、まるで鳥になったかのようですね♡」

「ああ、そうだろう♪」


 そんなゴキゲンなママたちに挟まれて……

 もちろんぼくも、ゴキゲンなのでした♪


 ◇◆◆◇


「ちょっ!? あああ……あれっ!?」

「なっ!? なにあの美人!?」

「アンタたちっ アレとかアノとか失礼でしょ!? アイナ様にルシア様よ!?」

「えっ!? あの『救国の英雄』の!?」

「うっそ……あたし子供のころ、ママから聞かされて育ったわよ!?」

「最近、またお二人とも冒険者に戻られたんですって!」

「そうなの!? というか……お2人ともすっごい美人なんですけど!?」

(おぉぉ)


 な~んて……アイナママたち【教科書に載るレベル】なんですね……

 とくに今日は、ふたりともビキニアーマー姿。

 メチャクチャめだってる~


「あ、あたし……エルフって初めて見た……マジ美人なんですけど!?」

「この街にも2人いるわよ? 両方とも冒険者ギルド勤めだけど」

「メッチャ花形じゃん! エルフが美人しかいないって、ホントなんだ!」

「というか……ルシアさまかっこよ!」

「あったりまえじゃん! ルシア様……軍じゃ将軍待遇なのよ?」

「お一人で魔王軍の残党を退ける、風の魔法の使い手なんだから!」

「ますますかっこよ!!」

「しかもあのビキニ……アルタム商会が軍に卸してる特注モデルじゃん!?」

「布面積をギリギリの7割まで削った、ワンオフの超エアロモデル!」

「アレっ 夏の業者向けの展示会で見たヤツだ~っ!?」

「ソレをさらっと着こなすとか……ルシア様っ マジ尊すぎぃぃぃ!?」


 な、なんて感じにおおさわぎになってるんですけど?


「そ、そういえばルシアママのビキニ、いつ用意してたの?」

「ん? ああ……軍のお偉方がなぁ……是非に、と作って寄越してきたのだが……」

「これを装備するほどの敵も居なくてな、そのまま死蔵していたのだ」

「そ、そうなんだ……」

「というかアルタムさん、ホントはスゴいひと? ってドワーフか」


 とまぁ、ルシアママ。

 魔法の効果がスゴくて、すっかりビキニが気に入ってるみたいで……

 おかげでわりきっちゃってるから、そんなに恥ずかしくないみたい。

 なので……


「………………むぅ」

(アイナママ……『不公平ですっ』ってお顔、してるなぁ)


 ◇◆◆◇


 そしてぼくたちは、冒険者ギルドにやってきたんだけど……


(この前、ちゃんとお詫びしたし?)

(もうだいじょうぶ……だよね?)


 だけど──


「ぎょっ!?」


 ぼくたちがギルドに入ろうとしたら……

 そこに受付嬢さんたちがふたり、土下座☆ してました。


「や、やめてくださいよぉぉ!?」


 おろおろするぼくだったけど──


「ああ、これは……まずはおもてを上げて欲しい」

「ル、ルシアママ?」


 すると……


「ははっ」

「仰せのままに」

(え、エルフさん?)


 土下座スタイルのままお顔をあげた受付嬢さんたちのお耳は……長かったんだ。

 そしてふたりとも、そっくりなお顔。


「そこのお二人、私の事をご存知なのかな?」

「もちろんでございます、ルシア様」

「我らが祖、【アルフヘイムのアールヴ】の血を引かれし尊きお方」

「申し遅れました、私はレーヴェンツァーン氏族の【ミラ】」

「その妹の【マハ】と申します」

「この度はお出迎えも出来ず、誠に失礼をいたしました」

「下賤の身の我らではございますが、何なりとお申し付けくださいませ」

(あわわわ……)


 そういってまた、ふかぶかと頭を下げるエルフさんたち。

 だけどルシアママは……


「ああ、すまぬがやめれくれんか?」

「我が氏族は、少々精霊の声が聞こえ易いだけのこと」

「数千年前ならいざしらず、今では君らと何ら変わりはしない」

「むしろ互いに森を離れたエルフ同士、仲良くしようではないか」

「も、もったいなきお言葉」

「で、ですが……」

「なに、レーヴェンツァーンの【ヴィラ】殿には、私が幼少の頃世話になった」

「お身内の方と察するが、ご壮健であらせられるかな?」

「祖母にございます」

「未だ口うるさく、当主である父を叱りつけております」

「ははっ それは重畳、私もよく叱られたものだ」

「さあ、頭を上げてくれ」

「そしてヴィラ殿の話でも聞かせもらおうではないか♪」

「ははっ」

「僭越ながら」

(あわわわ……)


 そういって……ルシアママはふたりのエルフさんの肩を抱いて……

 そのままギルドの奥の部屋に行っちゃいました。


「あ、アイナママ……?」

「………………(ふるふるっ)」

「そ、そうなんだ……アイナママもしらないんだ……」


 ルシアママ……ひょっとしてエルフのえらいひと?


 ◇◆◆◇


「……さっきの2人のエルフなんですけどね」

「姉のミラは普段からポワポワしてるおっとり屋で……」

「妹のマハは悪戯好きで奔放というか……そんな性格なんですが」

「私……2人があんな話し方してるの、初めて見ました……」

「アマーリエさん……」


 なにしろルシアママいわく【プライドが高い】というエルフさんが……

 DOGEZA☆ですよ?

 というか、エルフに土下座の文化……あったんだ?


「わ、若い子たちが『ルシア様……尊い♡』なんて言ってましたが……」

「ひょっとして……本当に尊いお方なのでしょうか?」

「さ、さぁ? ぼくにはなんとも~」


 アマーリエさん……なんだかこの前とはちがった感じで涙目になってる。


「わ、私……そんな方に頭を下げてもらっちゃったんですが……うぅ」

「だ、だいじょうぶですよぉ、アマーリエさんっ」


 アイナママなんて……おトイレ掃除、させちゃってたし?

 そんなアイナママも、今はお向かいの神殿の人に呼び出されてお出かけ中。

 だから今は、ぼくひとりなんだけど……


「あっ そうだ……アマーリエさん、これ……ぼくからのプレゼントです♪」

「まぁ……これは?」

「えへへ♪ ぼくが作ったセッケンです」

「いいにおいがするから、ぜひ使ってください♪」

「あ、ありがとうございますっ」

「あぁ……クリスくんからの贈り物だなんて……幸せぇぇ♡ あふん♡」

「お、大げさですよぉ」


 きれいなビンに頬ずりするアマーリエさん。

 そんなに嬉しかったのかなぁ?


「はっ これは……」

「はい?」

「このセッケンでカラダを隅々まで磨いて……クリスくんに身も心も捧げよ!」

「そして今まで誰にも触れさせたことのないその【まく】を……【つぷっ】っと♡」

「暗にそう……おっしゃっているのですねっ♡」

「ええと、ちがいますよぉ?」

「がーんっ!?」


 なぜか涙目のアマーリエさん……

 むうぅ……せぬぅ。


「そ、そうじゃなくてですね?」

「ふぇ?」

「アマーリエさんは、いまもとってもステキだけど…」

「でも、もっともっとステキになってほしくて♪」

「く……クリスくんっ♡」

「むぎゅう!?」


 アマーリエさんにぎゅってだきしめられて……

 おっぱいにお顔をうずめちゃうぼく。


「わかりました! もっともっと素敵になって……」

「絶対にクリスくんに膜を破っていただきますから♡」

(ま、マクって なんの!?)


 こうしてぼくはアマーリエさんのビキニおっぱいに……

 いっぱいお顔をもみもみされたのでした。


 ◇◆◆◇


「おや……とりこみ中かな? アマーリエ君」

「あ、あら……私としたことが……うふふ♡」

「ぷはぁ!?」


 後ろからかけられたその声に、アマーリエさんの胸の中から開放されたぼく。

 アマーリエさん、びしっとおすまし、してますけど……

 ビキニがズレて、あぶないことになってますよ?


「じー?」

「…………? あっ あらいけないっ」

「も、もう♡ クリスくんってば、おませさん♡」

「えー」


 ビキニを直しながら、嬉しそうに怒るアマーリエさん。

 教えてあげたのにぃ


「ちょうどよかった、クラウさん? ご紹介します」

「こちら、我がギルドのホープ、【かわいい英雄】のクリスくんです♡」

「く、クリスです?」


 ちょ……その二つ名で紹介しないでぇ!?


「おぉ、ウワサはかねがね……」

「そしてクリスくん? こちらは……」

「我がギルドのトップ冒険者、【クラウ】さんです♪」

「えっ すごい!」

「いや……まいったな」


 そんなふうに照れているのは……ビキニ姿の女性冒険者さん。

 ボブカットの濃いめのブルーの髪がカッコイイ♡

 凛々しいまゆに切れ長の目……そしておっぱいがおおきい♡


「アマーリエ君、私がトップ冒険者というのも、もう昔の話さ」

「それこそクリス君、君のご母堂がたが復帰するまでのこと」

「いえ、ですがアイナ様、ルシア様はクリスくんの補佐が目的ですからね」

「やはり、ソロで活動されているクラウさんが、実質のトップと言えるでしょう」

「ソロ!? やっぱりすごい♪」


 パーティを組まずにひとりで依頼をこなすなんて……すっごいたいへんなんだ。

 勇者のころのぼくだって、ママたちになんども助けられてるし?


「いやいや、そして聞いているよ? クリス君の活躍は」

「えへへ~ そぉですか?」

「きっと将来は、【英雄】と讃えられるご母堂がたに違わぬ──」

「えへへ♪」

「美人になるだろうね♪」

「ぼく……男のコですけど!?」

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