第49話 いいにおいのセッケンをどうぞ♪

「おぉぉ、できた♪」


 最近、ぼくが作ってるのが……いいにおいのセッケン♡

 もちろん【万物真理ステータス】さんと、ステラママの実験機材のおかげ。


「くんくん♪ ん~、いいにおい♡」


 セッケンって、基本的には【油】と【灰】をまぜればできるんだって。

 木やワラを焼いてできた灰にはアルカリ性があるから、それを利用するんだ。

 だけど灰のままじゃ、かえって汚れちゃうから……

 その【成分】だけとり出すんだ♪


「作りかたは、わりとカンタン?」


 大きな器に、木やワラとかを焼いでできた灰をたくさん入れます。

 そしたら熱湯をいれて……時々かきまぜて、一晩おいておきます。


「それの【上澄み】のお水が……【水酸化カリウム】♪」

「ま、それは村でも前から作ってるんだけどね~」


 そしたらそれに油をまぜるんだけど……

 ふつうはブタさんとかをお肉にした時に出た【獣脂】を使うから……

 とってもくさい。

 なのでぼくは、オリーブ油をメインに、ココナッツ油とパーム油を使ったんだ♪

 ……わりとお高いけど。


「それを半日ぐつぐつ煮こんで~ そのあとよ~く練って~」

「それに……アイナママが作った、ラベンダーの精油でにおいをつけて~」

「さいごに型に入れておくと……固まります♪」


 けど、それだと強いアルカリ度が下がるまで、ひと月くらいかかっちゃうから~

 アルコール度のきつい蒸留酒を使って、液体セッケンも作ってみました。


「こっちは1日で使えるようになっちゃうんだ~♪」

「じゃあ、さっそくこれを……」


 ◇◆◆◇


「はい、ルシアママ♪」

「これ、ぼくが作ったんだよ?」

「おぉ……おぉぉ……く、クリスぅぅぅっ!?」


 ひしっ


「わ、私は嬉しいっ」

「こんな母思いのクリスが……ぐすっ!」

「な、なにも泣かなくても~」


 とまぁ……ルシアママ。

 うん、今までね?

 3日がかりで、おトイレのお掃除、してたからね?

 そのぉ……ニオイがね~


『うぅ……洗っても洗っても、臭いが取れない~』


 ……って、ぐんにょりしてたの。

 だからぜひ、使ってもらおうと思って♪


「いいにおいがするから、使ってね?」

「うぅ……クリス! ありがどう~~~」


 もちろんルシアママからは、ヘンな匂いなんてしなかった。


(けど、こういうのはキモチの問題なのかなぁ?)


 とりあえず、固形のセッケンもいっぱい作ったけど……

 まずは液体セッケンをみんなにあげよう♪


「よし! では早速使わせてもらおう!」

「えへへ、どうぞどうぞ♪」

「では行こうか? クリス」

「え? どこへ?」

「もちろん……風呂に決まっているだろう♪」


 ◇◆◆◇


 カポーン


「うぅっ 洗われちゃった……すみずみまで」

「はは♪ 良いではないか♡(ツヤツヤ)」


 ルシアママ……ぼくのカラダばっかり洗っちゃうんだもんっ

 せっかくルシアママのために、作ったのにぃ!

 でも、よっぽどスッキリしたのか、すっごくツヤツヤしてる~


「はぁ~ しかし……風呂はいいなぁ♪」

「だね~ はふぅ♡」


 アイナママも最初は……


『贅沢にもほどがありますっ』


 っていってたけど?

 ぼくが『どうしても?』ってお願いして、いっしょに入ってもらったら……

 すっかり気に入ってくれたみたいで、今は毎日はいってる♪


(レイナちゃんも気に入ってるみたいだし?)

(それでこのセッケンを使えば……みんなもっとキレイになるね~♪)


 それに、健康のためには清潔がいちばん!

 ぜひみんなには、キレイで元気でいてほしい♪


「でもね? ルシアママ……」

「ん? なんだ、クリス♡」

「もみもみしないで?」

「もみもみ♡」


 そしてこのあとも、いっぱいもみもみされました。


 ◇◆◆◇


「はぁぁぁ……かいてき♡」


 あれから……てってい的におうちの中を捜索したぼく。

 そしたらぽろぽろと、魔道具が出てくる出てくる……


「まず照明の魔道具、あかるい♪」


 この世界の照明は、獣脂をつかったランプがふつう。

 もしくは暖炉の火で明かりとるんだけど……


「というか、お日さまが沈んだら寝る、これ基本」


 だからみんな、朝の4~5時にはもう起きてる。

 早寝早起きが、こっちの暮らしの基本なのです。


「でも照明の魔道具のおかげで、ゆっくり研究できるぅ♪」


 しかもランプなんかよりよっぽど明るいから、

 目が悪くならなくてすみそう。

 めっちゃかいてき♡


「そしてなによりおどろいたのが……」

「だんぼう♪」


 うちのお風呂、カベのライオンさんのおくちからお湯が出るんだけど……

 あふれたお湯はドコへ行くの?

 って、調べてみたら……

 パイプをとおっていろんなお部屋を廻ってたんだ。


「つまりコレ、セントラルヒーティングだよね?」


 おかげでお風呂にはいつでも入れるし、

 どこのお部屋もポカポカあったかいし……

 めちゃくちゃかいてき♡


 ◇◆◆◇


「アイナママ……ぼく、しあわせ♡」

「ええ、そうね……けれど」

「けれど?」

「……なんだか、堕落してしまいそう」

「あー」


 もともとすごく忙しくしてたアイナママだから、なんだか落ちつかないみたい。

 けど、お風呂といいにおいのセッケンのおかげで……

 前よりもっと、キレイになったみたい♡


「食材がダメになる心配もいらなくなったし……」

「薪割りも水汲みも、ほぼしなくて良くなったわ」

「なにより、飲めるお水が使い放題だなんて……」

「えー、でもせっかくあるんだから、使おうよ?」

「ぼくもあまった時間で、魔法の勉強できてるし♪」

「そ、そうね……ママもまた、お勉強してみようかしら」

「おぉう」


 さすがアイナママ、ぼくの先生♪

 おかげでぼくも、アイナママといっしょにいられる時間がふえて、うれしい♡


「それでね? アイナママ」

「なぁに? クリス」

「そろそろ、またギルドの依頼を受けようと思うんだけど……いい?」

「ああ、そうね……」


 ルシアママが帰ってきてから、そろそろ半月。

 ぼくにルシアママがべったりだったり、魔道具の調査したりと……

 あっというまに過ぎちゃった感じ?

 そしてなにより……あの魔族との闘いで、かなり危ない思いをした。

 だから、ちょっといい出しにくい感じだったんだよね~


「そうね……おうちの中もだいぶ落ち着いたし……」

「いいわ、また街にいきましょう♪」

「やったぁ♪」

「うふふ、嬉しそうね、クリスは?」

「だってぇ」

「あら? もしかして……アマーリエさんやレニーさんに逢いたいのかしら?」

「えっ ちが──」

「あら、逢いたくないの?」

「えへへ……あいたいかも」

「うふふ、クリスったら♪」


 いえいえ? ぼくはせかっく作ったいいにおいのセッケン。

 この前のルシアママのおわびに、プレゼントしてあげたいだけですよぉ?

 きれいなビンをみつけたから、それに入れてあけようっと♪


「ま、それに……もうあの時のような危ないことにはならないでしょう」

「さすがに魔族は、もう来ないよねぇ」

「いえ、それもありますが……」

「ほかにもあるの?」

「ええ、絶対に一緒に着いてきますからね」

「あ……」

「ルシアが」


 ◇◆◆◇


「な、なぁクリス? 私たちだけでも飛んで──」

「ダメだよぉ」

「アイナママだけ仲間はずれなんて」

「むぅ」


 風の精霊のおかげで、空まで飛んじゃうルシアママだけど……

 さすがに運べるのは【もうひとり】が、せいいっぱい。

 今日はぼくと、ルシアママ、アイナママの3人で行くから。

 いつもどおり、荷馬車に乗せてもらって行くことにしたんだ。


「こほん、でしたら……ルシア?」

「貴女【だけ】、飛んで先に街まで行きますか?」

「そ、それでは私が仲間はずれではないか!?」

「ならおとなしく、馬車で行きましょう」

「そうですね……風で馬車を押していただければ、早く着くでしょう♪」

「むむ、そうだな……それで手を打つか」

(おぉぉ)


 ひとり増えるから、お馬さんがかわいそうかな?

 ……って思ってたけど、よかった♪

 いつもよりらくちんになりますよぉ? お馬さん♪


「だが……なぁ?」

「な、なんです? ルシア」

「いや、先日も思ったが……いい歳をしてそれは……」

「なっ!?(かぁぁぁぁ……)」

(あ~)


 あれからだいぶ、ビキニにも慣れてきたアイナママ。

 でもルシアママはビキニじゃなくて、いつもの黒いワンピース風の【鎧下】アンダーウェア

 だからアイナママのビキニ姿に、苦笑いしちゃってる


「いや、街中の女がビキニなのは重々承知しているが……」

「あれは若い女が装備するものだろう?」

「それに──」

「いえ、ですがこれは……クリスを守る覚悟ですから」

(おぉぉ!?)


 きっぱりといいきるアイナママ!

 かっこいい♡


「あの日も……わたしは大事な人を守れませんでした」

「ですからもう、後悔はしたくないのです」

「むぅ……」


 けれど、ルシアママはまだシブいお顔。


(うん……そうだよね……)

(ルシアママから見ても、アイナママ……)

(すっごく……えっちに見えるんだよね~)


 それはアイナママもそうだったみたいで……

 ときどき『はっ』っとお顔を赤くするときがあるんだ。

 でもそのたび『これは装備これは装備~』って聞こえてくるから……」


(やっぱりアイナママも、まだはずかしいんだよねぇ?)


 と、ぼくがそんなことを考えてたら──


「こほん、ですがこれは……あくまでわたし自身の覚悟」

「それを……ルシア? 貴女に強要はしませんので、ご安心を」

「んなっ!?」

(おぉぉ!?)


 アイナママ……それって。

『あなたには、出来ないでしょうね?』っていうのとおんなじ──


 ◇◆◆◇


 10分後──


「………………(プルプルっ プルっ)」

(る、ルシアママまで、ビキニ装備してきちゃった!?)


 しかもそのビキニは、

 シルエットこそアイナママのと同じくらいだけど……

 フチのヒモに対して、明らかに布が少ないというか~


「さ、さぁっ 行こうではないきゃ」

(あ、噛んじゃった、ルシアママ……)

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