第2章 ルシアママは、エルフの魔法騎士

第41話 ぼくの【義理のママ】、ルシアママ♡

「………………ん」


 朝、ぼくが目をさますと、そこには──


「すぅ…… すぅ……」

「あ……そっか」


 ぼくをしっかり抱いて離さいないそのひとは……

 ぼくの【義理のママ】、ルシアママだった。


「ルシアママ……きれい」


 閉じた目のまつげは長く、きんいろの髪は朝日を浴びてきらきらと光ってる。

 そしてスラリと長く、とがったお耳。


(アイナママは【エルフ】だから♪)


 この世界の【エルフ】も、男女ともに美男美女ばっかりみたい。

 【大樹海】の奥にある【エルフの森】に住んでいて、引きこもってるんだって。


(【排他的でプライドが高い】って、ルシアママはいってたけど……)


 ぼくは他のエルフと逢った事がないので、そこはちょっとわからない。

 そして【精霊魔法】と弓矢が得意で……

 あとミスリル銀をのぞいて、金属の武器と防具は装備できないんだ。


(やっぱり自然の森の中でくらすエルフって……)

(精霊と仲がよかったりするのかなぁ?)


 ルシアママによると【精霊魔法】は……

 【あー、ここがこうなってくれたらうれしいのになー】って考えるだけで、

 精霊がその【お願い】をきいてくれるんだ。

 もちろん【対価】に魔力をあげるんだけど。


(んー、ぼくの【万物真理ステータス】みたいに、いろいろ察してくれる感じ?)

(なんだかホテルとかの【コンシェルジュ】っぽい?)


 もっとも、たしかにエルフは【精霊魔法】が得意だけど……

 ルシアママの強さは特別みたいで、エルフみんながそうじゃないっぽい。

 だからエルフの森でも、もう勝てる人がいなかったみたいで……

 それで【修行】のために、森の外へでてきたんだって。


(そんなルシアママとはじめて逢ったのは……)


 もちろん今のぼくじゃない。

 前世の【召喚勇者】だった頃のぼくで──


 ◇◆◆◇


 あれは……前世のぼくが夏休みに入ってすぐのころ。

 前から予定してたコンビニのアルバイトに、初めて行くその途中──

 いきなり光る魔法陣があらわれて、異世界に飛ばされちゃったんだ。


(あれは、びっくりしたなぁ)


 そしてたくさんの【異世界】の人たちに囲まれて……

 代表で話しかけてきたのが、アイナママだったんだ。


(そういえば、【聖女】さまだもんね)

(きれいでやさしくて……すごくていねいだから)

(いわゆる【おもてなし】と【交渉役】だったのかも?)


 そして【勇者】と【魔王討伐】について説明されて……

 【勇者魔法】と【スキル】を実践してみて、そのチカラを理解したぼくは……


『お願いします、この世界を救ってください……勇者様』


 そんなアイナママのお願いに……

 その場でOKしちゃったんだ。


(そしてアイナママのこと、この時はもう好きになってたなぁ♡)


 そんなアイナママも、当時はハイティーン。

 今じゃ信じられないけど、やせっぽちでおっぱいもぺたんこだったんだ。


(それから、ステラママも……)


 今はもういないステラママ……

 もちろんこのころはまだ元気で、やっぱりハイティーン。

 黒いローブにつばの広いのとんがり帽子という、いわゆる魔法使いスタイル。


(あと、髪とひとみの色も黒かったなぁ)


 この大陸ではほぼ見かけないその特徴は、しっかりぼくも受けついでる。

 そして今をおもえば……


(ステラママ……アイナママよりも背がひくくて、やっぱりやせてたなぁ)

(おっぱいもすごくちいさくて……)


 なんというか、今のぼくの体型にそっくり……?


(ぼ、ぼくは伸びるよね? きっと……)


 そして……ルシアママ。

 ルシアママは今とぜんぜん、見ためが変わらないんだ。

 エルフは寿命が500年くらいあるから。


(たしかまえに、200歳くらいだって聞いた気がするけど……)


 その見ためは、今のアイナママとおなじくらい?

 つまり、アラサー(30歳前後)に見える。

 そしてすごくスタイルがよくて……おっぱいがおおきい。


(そのおっぱいを……前世のぼくも、見ちゃったんだよね)


 とはいえそれは、べつにエッチなことをしたわけじゃない。

 ルシアママが、赤ちゃんにおっぱいをあげてたから。


(あれも……びっくりしたなぁ)


 初めてルシアママを紹介されたとき……

 その腕にはエルフの赤ちゃんを抱いてたんだ。

 そしてぼくがいるのに、鎧を外しておっぱいを出しちゃって……


(けど……)


 やっぱり授乳をする女の人は、すごくきれいで……神聖なものに見えた。

 それは、ルシアママも同じだったんだ。


(でも、その赤ちゃんは……)


 さすがに魔王討伐の旅に、赤ちゃんを連れてはいけないから……、

 ルシアママはそのコを『エルフの森に戻す』っていってた。

 なんでもエルフは【核家族】の概念があんまりなくて、

 『子供は氏族全体で育てるもの』っていうことみたい。


(しかもエルフは寿命が長いからなぁ)

(人族の10倍ちかく長生きするって……)

(やっぱり考え方とかも、ちがってきちゃうのかも?)


 そして、そんなルシアママたち【3人の従者】としばらく修行をして……

 旅立ったぼくは、召喚から3ヶ月足らずで魔王の玉座へたどり着き──

 魔王と相打ちになったんだ。


 ◇◆◆◇


 と、ぼくがそんなことを思い出していたら──


「クリス? もう朝ですよ」


 軽いノックといっしょに、ぼくのお部屋に入ってきたのは……


「あ、アイナママ、おはよう」

「おはよう、クリス♡」


 ぼくの【育てのママ】こと、アイナママ♡

 今日もとってもきれい♡


「ルシア? 貴女また……クリスのベッドに潜り込んで」

「んあ? ……ああ、朝か」

「ふぁぁぁ……クリス、おはよう♡ んちゅ♡」

「お、おはよう、ルシアママ」


 そんなアイナママの声で目がさめたのか、ルシアママが目をあける。

 その青い瞳はすごくきれいで……見ててうっとりしちゃう♡


「もう……それに裸で寝るのはやめてくださいと、あれほど──」

「ん~ いいではないか、どうせここには家族しかいないし」

「ですが、クリスももう【一人前】の歳なんですよ?」

「そもそも母親が添い寝する歳ではありません」

「わ、私は久々にクリスに逢えたのだ!」

「添い寝くらい、もうしばらくいいだろう?」

「ですが……(ちらっ)」


 そういってぼくを見るアイナママ。

 んー、でもなぁ


「あ、アイナママ? ルシアママもさびしかったんだし」

「もうすこし……いいでしょう? ……だめ?」

「もう、そんな目で見られたら……ダメだなんていえないでしょう?」

「おお、さすがはアイナ! 慈愛の聖女!」

「ですが、せめて下着くらいは着けてください」

「むぅ……服を着て寝ると、締め付けがなぁ……」

「それにエルフには、そんな習慣はないのだが──」

「ここは人族の村です」

「【郷に入れば郷に従え】というでしょう?」

「ぐぬぬ……」


 剣と精霊魔法じゃ最強のルシアママも……

 おくちではアイナママに勝てないみたい。


(でも、そんなふたりがすごいなかよしなの……ぼくは知ってるけどね♪)


 ◇◆◆◇


「あっ ルシアママ♪ おはようっ」

「あぁレイナ、おはよう♪」

「今日もレイナは可愛いな、ちゅっ♡」

「あぁん、ルシアママぁ♡」

(おぉぉ……)


 ルシアママが、レイナちゃんのほっぺにちゅっとキスをする。

 それだけでレイナちゃんは、ほっぺを真っ赤にしてよろこんでる。

 レイナちゃんはルシアママの、大ファンなんだ♪


(ぼくが同じことをしたら……)

(なぜだかレイナちゃん、いつもおどろいてどこかへ走っていっちゃうからなぁ)


 ルシアママがちゃんと服をきてると、じっさいすごくかっこいい。

 今は鎧は装備してなくて、そのアンダーウェアを兼ねた黒いワンピース姿♪


「おまたせ♪ じゃあいただきましょうか」

「ありがとうアイナママ♡」

「お、今日は白パンなんだな?」

「ええ、ルシアが無事に帰ってきたお祝いです♪」

「はは、これは嬉しいな♪」

「200年生きてきたが、アイナの焼いたパンが一番美味いからな」

「まぁ、ルシアったら」

(おぉぉ……)


 ルシアママはただでさえ、きれいでかっこいいのに……

 こうしてふだんから、男前なセリフをさらっといっちゃう。

 しかも本気でいってるから、いわれた人はみんなファンになっちゃう♪


「しかし……クリスが一人前の誕生日を迎え、さらにはもうレベル7か」

「あのちいさな赤ん坊だったクリスが……なんとも感慨深いものだ」

「えへへ♪」


 朝ごはんを食べながら、ルシアママがしみじみとそういった。

 ちなみに……あの【タフクの塔】の討伐で、レベル10相当になりました♪

 たった2日だったけど、やっぱりあの【魔族】の経験値がおおきかったみたい。


「スキルも【剣術】がレベル8、【盾術】もレベル9になったんだ♪」

「おぉ、さすがはクリス! 我が愛弟子よ!!」

「えへへ♪ これもルシアママのおかげだよ」

「あぁっ クリス♡」

「こほん、クリス? 他にもスキルはあるのよね?」

「あ、うん!」

「【清浄】と【回復】の魔法はアイナママのおかげ♪」

「それに【作法】とか【調剤】とかの技術スキルもいっぱい付いてたんだ」

「ほう! それはすごいな」

「他にも【土】と【風精霊】の魔法もあったんだ♪」

「なんとっ 元素魔法に精霊魔法もか!?」

「それは……ステラのやつも、さぞや喜ぶだろうなぁ」

「うんっ みんなママたちのおかげだよ♪」

「クリスっ♡」

「まぁ……クリスったら♡」


 ぼくがそういうと、ママたちはすごく喜んでくれた。

 その笑顔が……ぼくにはいちばんうれしいんだ♪


「もー、クリスったらっ」

「わたしだって、きっと負けないくらいスキルあるんだから!」

「そうだね、レイナちゃん」

「レイナちゃんはすごくがんばってるから……」

「ぜったいにスキル、いっぱい付いてるよ♪」

「く、クリスぅ♡」


 ……というか、こっそり【万物真理ステータス】で見てるから、知ってるんだけどね。

 レイナちゃん、ホントにスキルもMPもいっぱいあるから安心して?


「ははっ♪ それは一人前になって、ギルドで調べるのが楽しみだな」

「えへへ、ほんと楽しみ~♪」

「そうだね、レイナちゃ──あっ」

「ん? どうした、クリス?」

「ギルドっていえば……ルシアママ?」

「は、はい……」

「ちゃんとあとで……あやまりにいこうね?」

「わ、わかってる──いや、わかりました……」


 ルシアママは『普通に聞いただけ』っていってたけど、

 あれ、りっぱな【襲撃】だから!

 そうやって昨日、アイナママが【お説教】したら……

 ちゃんとわかってくれたんだ♪


(というか、やっぱりアイナママには勝てないんだなぁ……)

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