お母さんが行く
お母さんが自動車を運転するとろくなことにならない
「危険だからやめて!」
そんなわたしの忠告も無視して飛び出して行く
早速、家の玄関先で鳩を轢き殺した
そんなの殺そうと思ったって普通は出来ない
不可能を可能にする女
それがお母さんだった
鳩を吸い寄せたのだ
(おっ、なんか突然こっちへ行きたいぞ)
鳩にそう思わせる何かがその運転にはあった
そしてお母さんには全然そんな自覚は無い
「あら………いやあねえ」
鳩の死骸を見てそう思った
終わり
お母さんはマヨネーズを買いに出かけた
街では若者がロールケーキを丸ごと歩きながら食べていた
輪切りにせずそのまま豪快に食べる姿を見てお母さんは素敵ねえと思った
もちろんその後、若者たちは轢き殺された
お母さんは全く気付いていなかった
自分が誰かに迷惑をかけるような存在だなんてこれっぽっちも疑っていなかった
お母さんはふと空を見上げた(もちろん運転中)
そこには虹が架かっていた
「きれいだわね………」
思わずうっとり
わたしは警告はした
誰だって好き好んで殺人者の娘にはなりたくないものだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます