第31話


「まずはエナジードリンクだな」


学校を終え、放課後。


着替えて、いつものように異世界へとやってきた俺は、初めに一日エナジードリンクないしレベルアップポーション5本のノルマをこなしておく。


「うぷっ…ふぅ…飲み切った」


空となった瓶を亜空間に放り込んで、すぐさま自分のステータスを確認する。



名前:西野壮平

種族:ヒューマン

職業:なし


レベル:32


攻撃:1200

体力:780

防御:700

敏捷:930


「だいぶ強くなったな」


レベルは32となり、攻撃力の値が1200まで上昇した。


「改めて思うが…ドリンクを飲むだけでレベルアップってのはチートだよな」


エナジードリンクによるレベルアップが続くのかはわからないが、レベルを上げて損はないため、俺は限界が訪れるまでエナジードリンクは飲み続けることにしていた。


「よし、それじゃあ、今日もニーナたちの村に行くか」


レベルアップポーションによるレベル上げを終えた俺は、ニーナたちの村に向かって歩き出した。


目的は前回と同じで、大都市アストリオに関する情報を集めることだ。


前回村を訪ねたときは、アルドラの不在で、ニーナからしか情報が得られなかった。


今日はアルドラさんや、出来れば村の長であるケノスからも情報を聞き出したかった。


と言うのも、もうすぐ三連休がやってくるのだ。


この三日間の休みを利用して、俺は一度アストリオへと赴こうと思っていた。


そのために必要となる情報を、事前に集めておこうと思ったのだ。


「よし、行くか」


自身の目的を確認した俺は村へと向けて歩き出す。


もうこの道を通るのは3度目であるため、かなり早いペースで進んでいくことができた。


道中、ゴブリンに何度か出会したが、全て難なく討伐出来た。


手に入った魔石は全部で7つ。


そのうちの4つを換金して、1600円を手に入れた。


またレベルアップはなかった。


以前はゴブリンを倒すだけでレベルが上がったのだが、最近は自分より弱い雑魚モンスターを倒してもレベルが上がらなくなった。


おそらく、ゲームのようにレベルが上がるごとに、どんどん上がりにくくなっていくシステムなのだろう。



「お、見えてきたな」


そうこうしているうちにニーナたちの村が見えてきた。


「ん、あれは…」


村の入り口にある切り株に、誰かが腰を下ろしている。


目を細めてみると、村の長であるケノスであるとわかった。


早速、目的の人物一人を発見。


俺は嬉々として近づいていく。


「こんにちは、ケノスさん」


「む…おぉ、この間の青年ではないか!よくきたな。ええと、名前はなんと言ったか…」


「ニシノ。そう呼んでくれ」


「ああ、そうそう。ニシノ君だったな。ほほ、すまんな、この歳になると物覚えが…」


「いいんですよ」


「ほほ…それで、今日は何用でこの村に?」


「実はケノスさんに会いたいと思っていた。

話を聞いてくれないか?」


「ほう、儂に話とな。それはそれは。実は、儂の方でも君に渡したいものがあってな。また会えぬものかと、こうして村の入り口で待っておったりしたのじゃ」


「え、そうなのか…?」


「ああ。立ち話もなんじゃし、儂の家へとこないか?」


「いいんですか?」


「もちろんじゃ」


「では伺います」


そう言うことになり、俺は杖をつきながらゆっくりと歩くケノスに従って、彼の家へと向かうのだった。



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