7.9999Nの親指で弾いてみた結果w
ひゅん。
バシュッ!
「……うわぁ」
轟音と共に弾け飛ぶ無機質な軽トラックのフロントガラス。
さっき、また能力を書き換えた。
【親指の最大筋力=9999N】
【皮膚細胞の結合力=250000N】
【骨密度=256%】
こんな馬鹿みたいな書き方でも本当に僕の親指は書き変わってしまう。
その書き変わった指の力でコインを飛ばすとこの有様だ。
いったいなんなんだろう、あのアプリは。
自分に対する事ならなんでも出来る。
「それにしても」
もう一度軽トラックを見やる。
ガラスが弾け飛んだだけではなく、座席のヘッドレストは吹っ飛び、座席の後ろの小窓にまで穴が空いている。
「うん、これは喰らったら死ぬな」
これは使えないや。
こないだみたいに殴られた時に切り札として力を持っておこうと思っての書き換えだったけど、こりゃダメだ。
いくらあいつらがサイテーの人間だとはいえ、殺しちゃったら僕の方が最低だ。
それに、人が死ぬとこなんて見たら怖いしね。
……なんて考えると凹むねどうも。
人を傷つける方法考えて、傷つけた時のこと想像して。
それより一番嫌なのは、それを考えなきゃいけないってなるこの世界のこと。
違うってことが腹立たしくて、劣っていることが許せなくて、優れていることも許せない。
だから相手を壊しちゃう。
それはホントに悲しいことだ。
だから僕は、せめて壊されないで済む人になろう。
ひゅん。
壊さないで済むように。
そう願いながら放ったコインは軽トラックのボンネットに吸い込まれていく。
バシュン!
子君いい音と共にコインはボンネットに突き刺さり、空いた穴からは薄汚れたエンジンが覗く。
💻次回、脳が勃起した結果w💻
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