5.前頭葉のニューロン数でいじめっ子にマウントを取ってみた結果w
「テメー、……聞いてんのか?」
僕はバカが嫌いだ。
僕の眼前5センチメートルにまで顔を近づけて睨む島崎くんを見て思う。
「ああ、聞いてるよ?」
「……この野郎」
「どいてろよヤスオ! せーのっ、……オラァ!」
「おーっと出ました! 避けられた後のことを一切考えていないセイジのドロップキック!」
中村くんの汚い足が僕の胸に当たり吹っ飛ばされる。
「なんと、……当たったぁ! これはセイジくん、なんとか恥をかかずに済んだ模様!」
「テメなんだよその微妙な実況みてーなのはよ?」
「いや俺将来プロレスの実況やりてーんだよね?」
「ぜってー無理だべ?」
「「「あっはっはっは!」」」
バカは嫌いだ。
きっとこいつらがバカだから僕を妬む。
僕が急に見てくれをよくしたくらいで腹を立てるのは、自分が今まで虐めてた相手のルックスが良くなる事と自分のルックスが悪くなる事の区別もできないが故の恐怖心だ。
それに、それくらいの事でトイレに連れ込んで暴力を振るっちゃうのは、僕を殴って悲しませれば、跪かせれば、自分の地位が上がると勘違いしてるから。それが勘違いだと気づく事の出来る知能を持っていないからだ。
「おーっとしかしヨウイチ倒れない!」
「テメ一々ムカつくなぁ、言われなくてもキッチリトドメ刺すっ、……て!」
言いながらセイジくんはもう一度跳ぶ。
実はこれを避けるのは余裕だ。
昨日【WOC】で運動神経の伝達速度を150%に、前頭葉のニューロン数を120%に書き換えたから。
そしてどうやら、人間の時間感覚というものが個人の精神状態、過ごす時間をどう感じているかに依存するというのは本当らしい。
時間感覚や動体視力は書き換えていないのに、セイジくんのドロップキックは止まって見える。
なるほどね。
「……よっと」
僕はポケットから取り出す、家の鍵を。
そして少し屈んで鍵を構えると、文字通りそれは吸い込まれるように突き刺さる、肛門に。
「はぐぁっ!」
うわっ、気持ち悪いなぁ。
「のぐぁーーーっ!」
セイジくんは叫びながらトイレの床でのたうち回る。
全く、叫びたいのは僕の方だよ。
帰ってこれを玄関のキーシリンダーに差し込むと思うと今から気が滅入る。
「……どうして僕に酷いことしようとしたの?」
ま、仕方ないか。
僕は少し血の付いた鍵を眼前でプラプラさせながら微笑んで言ってやると、バカどもは一目散に走り出した。
「どうして?」
「「「う、うわぁーー!!」」」
💻次回、ハイスペックな脳でテストを受けてみた結果w💻
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