作品の中に埋められている言葉とは。盲点だった。

本編は先輩と後輩による会話劇である。

二人は同じ語句の違う側面を語っている。
しかし、会話の内容とその雰囲気が、会話をする二人のズレを感じさせない。

会話の中心は、ネット上ではよく見られるようになった梶井基次郎の桜に対する語句だ。

綺麗に咲く桜を眺めながらの長閑な春の日の語らい。
漂うのは和やかさだ。

しかし、その瞬間────変化する。

その一言。
小さな、けれども硬質な違和感が会話全体を別のものに変える。

鮮やかな短編である。
ぜひ、ご一読いただきたい。