第9話 手平町民大会編⑨~小休止~
アタシと陣ライガの試合が終わって、30分後に雪野マフユの試合があった。
結果は・・・・・・、雪野マフユの圧倒的勝利、一撃だった。
相手はまさか一撃でやられるなんて思っていなかったのか口を開けて呆然、観客達は一瞬静まりかえたもののジン・キョーが雪野マフユを称えると大歓声を上げた。
隣で一緒に見ていたハナちゃん曰く、予選でも一撃KOで勝ち進んでいたとか。さすが、実力者と褒め称えたい所だけど、アタシには大問題。
雪野マフユをどうやって攻略しよう。
陣ライガ戦で、この世界、アタシが溫井ホノオとして転生した世界と前世でアタシが見てきた
いや、主人公がアタシの時点で違うって気付けよって話だけど、きっと、アタシは浮かれてたのかもしれない。
主人公じゃないと言っておきながらアタシは・・・・・・。
「お姉ちゃん? どうしたの? 具合悪いの?」
考え込んでたらヒバナがアタシを心配そうに見てくる。
今、アタシは自宅に居る。
本当は30分後に決勝戦だったんだけど、コロシアムに不具合が見つかって明日になったのだ。
ソファーにぐて~と座っていたから心配したんだろう、大丈夫だよと頭を撫でるとヒバナはココアが入ったコップを差し出す。
「はい、ココア。疲れたらココア」
「ありがとう、ヒバナ」
「・・・・・・お姉ちゃん、もしかして、明日のマフユさんとの試合を考えてたの?」
「ヒバナは鋭いな~。まあ、そんな所、一度、競技で戦った事あるけど、本当に強いからね」
隠す必要もないから正直に言う。
雪野マフユはスピードを生かした戦法を得意としている、ハナちゃんが言うには勇気ユウマと同じ学校に通ってからはほぼ毎日と言っていいほどバトルを挑み、勇気ユウマから師事を受けているとか。
原作の雪野マフユは勇気ユウマを尊敬している一方、激しいライバル心を抱いている、その為、勇気ユウマの助言を聞き入れないという場面がある、そのせいでホノオに負け、ホノオにライバル心をシフトする流れだ。
でも、この世界の雪野マフユは勇気ユウマから師事を受けているという事は恐らく原作以上の強さだと考えていいだろう。
さて、困ったな~。
「お姉ちゃん、無理しないでね」
「ヒバナ?」
「お姉ちゃん、何か起きるとどうしようか考え込んじゃって動き止まっちゃうでしょ?」
「うっ・・・・・・」
さすが、我が妹、姉の欠点をよく解ってらっしゃる。
陣ライガ戦はそのせいで負けそうになったあげく諦めかけた、ヒバナとの約束を破るところだった。
あの時、ヒバナの声援と大麓マオの叱責がなければ正気に戻る事なく負けていた。
もう二度とあんな事は起こしたくない。
負けたくない。
ヒバナには心配かけたくないし約束を果たしたい。
「ふふ、ヒバナ、心配してくれてありがとうね。でも、お姉ちゃん、ちょっと無理しちゃうかも」
「も~」
「でも、ヒバナを二度と心配させないし悲しませないよ」
「本当?」
「うん、明日の試合は全力で挑む。雪野マフユに勝ってみせる」
「・・・・・・お姉ちゃん」
心配げなヒバナに微笑みかける。
とにかく、明日になれば雪野マフユと戦う。
だったら全力で挑もう、今はあるスキルを使って戦うしかない。
勝って、ヒバナに勇気ユウマのサインを渡すんだ!!
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