第3話 検査
リーダーの抱える仕事量の多さもだが、その種類の多岐に渡り過ぎて最早何処までが本来のリーダー業務なのかがわからない。
その中でも私の頭をかなり悩ませたのは透析患者さんが受けるだろう各検査の書類とその連絡先。
毎回今までの病院ばかりを持ち出すのは良くない事だと思うのだが、今は何処も簡略化が求められそうして電子カルテが重用されている。
その電子カルテの場合はDrがオーダーすればもれなくその検査に関する説明書から同意書迄がクリック一つでするりとプリントアウトされればである。
Drはそれらを持って患者さんの許へと赴くと検査説明をしつつ同意書を渡せば、後は患者さんの都合の良い日に自ら検査センターの受付へ赴き検査の予約を行う。
そう看護師と言うかリーダーは受け持ちからその結果を報告を受け把握し、検査が終わればDrへ声を掛ければDrと一緒に患者さんの許へ行けばDrより検査の結果を説明してもらうと言ったもの。
それが一般的で普通である。
なのにこの病院は全く違った。
確かにこの病院にも電子カルテなるものは存在はした――――がっ、それはあくまで限定的なもの。
Drがカルテとして使用する場合と私が知る限りは日々の透析記録を入力または明日行うだろう透析の記録用紙のプリントアウトをリーダーが行う。
ああ、看護サマリーも電子カルテを使用していたよね。
しかしそれ以外はほぼほぼ紙カルテである。
確かにまだ紙カルテを使用している病院も多くあるだろう。
だが問題はそこではない。
そう問題は……。
各検査に係る書類とその書類の種類の多さからの、検査の介助や各方面への連絡又はその検査の予約までの一連のものを全てリーダー一人が行っているのである。
然も検査の用紙は随分と昔の、多分私がまだ学生時代から免許を取得した頃までよく見ていた様な書面だったし、
まあそこは当然書類なのだから引き出しには入ってはいる。
しかしどの引き出しにも書かれている文字は消えそうなくらいに薄く、また時には記載されている書類ではない全く違うものが入っていたりするのである。
そしてリーダー業務に慣れない私。
そうして用意した書類等を持って透析を受けている患者さんの許へ赴き検査の説明から始まり、複数の予約が可能な日時を選んでもらう。
上手く患者さんの了承を貰えれば再度検査の受付へと電話をして初めて検査の予約に関しての一連の作業が終わるのだ。
これを透析を受ける患者さん全て、当然一年を十二か月として患者さんが偏らない様に分けられてはいてもである。
私は言いたい。
検査の予約くらい自分でしてよ――――と。
本当に切実に思った。
普通どの様な、いやいや元よりこれは緊急性のものではなく単なる定期的な検査なのである。
急患ならばいざ知らず、定期の検査までも両手で抱えられないくらい仕事をしているリーダーが行わなくてはいけないもの……なのかと。
ほんまあり得へん。
ただこの検査に関してはまだまだ続きがあるのですよ。
ほんま、あの頃は大変やったわ。
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