第10話 生贄だって? 食べても美味しくないよ? 目の保養だけだよぅ!!

俺は全力で逃げたが圧倒的な身体能力の前には、なすすべなく捕まってしまった。


どうすれば良いのか。――な?


俺は祭壇に一晩、括り付けられた。


反省するぅぅ―――あの時逃げなかったら、俺はまだせめて部屋の中で寝れてたのに。


パパ、ママごめんなさい――――と俺は妄想を膨らませながら現実逃避を重ねることに決めた。


逃げれなかったのだから、せめて逃避だけでも――と。


――ふっ。


俺のゴブリン最初の口づけがまさかあんな女になるなんて。



次の日。


生贄の朝を迎える。


一睡もできなかった。―――っと言えば嘘になる。

次の日死ぬかもしれないのに、俺は昨日のボルダリングで疲労困憊して爆睡していた。

我ながら恐ろしい神経だ。


朝から慌ただしく椅子族が準備をしていて目が覚めた。

俺の最後の着用していた葉っぱすら取られ、全裸にひん剥かれた。


いやん――――もうお嫁にいけない。


俺の体に、マーガリンみたいなチーズのような下地をベッタリ塗って、その後にスパイシーな胡椒、唐辛子をまぶされ、丁寧に味付けされている。 

美味しくなりそうだぜぃ!キリッ


丁寧に美味しそうに葉っぱなんかも添えちゃって、食べた時の体の健康のことなんて考えんじゃねぇぞ。


俺は祭り上げられ、ボルケニオン山の社まで椅子族達と向かった。


社に到着すると、社の向かいは崖になり、辺りに鳥の巣のようなものがちらほら見受けられる。


しかしなんと言ってもその大きさよ。

一軒家でも作ろうかというレベルだ。


そんな風に俺が眺めていると椅子族が

「「写真カモヌーーーーード ぽんぴちゅ!!ぽんぴちゅ!」」

何か言い始めた。

ーーーーはて?  どーなるんだ俺わ。


風がビュウと通り抜ける。 

それがドンドン向かい風のように強くなっていき、立っているのがやっとになった。


俺の横にいた椅子族達が後ろへ下がっていく。


ーーーー何が起こるんだ?!


ドン!と巨大な何かが前に着陸した。 


最初は大きすぎて、認識するのに数秒要した。


その姿は人の様な顔をした鳥。鳥の羽には無数の紫の卵が引っ付いていた。

俺はそれを見て悟った。


「目的の卵だぁあぁあああぁあ!!」


あれがフックの言ってた卵か。

普通に探しても絶対見つからないぜあんなの。


だがしかし! 不幸中の幸いとも言うべきか。――――俺の目の前にある。 


まさに卵か死か!?


俺は必ずキャメロットマンに帰る!!!

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ただしイケメンに限る!はゴブリンでも通用するのか? @nekorunrun

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