合法ショタ?

 

「とりあえず、えーと少年?」

「僕はこれでも少年と言われるような年齢ではないですよ?」


 は? いやいや、お前どう見たって少年だろうよ。どう見たって身長150センチどころか130センチ超えているかどうかも怪しいくせに、少年ではないって。冗談だろう?


「さすがにそれは嘘だろうよ」

「いえ、種族的にこれ以上大きくなれないだけです!」


 あぁ、でもこの世界はファンタジー的な異世界だとすればあり得るのか? 俺も首ちょんぱしているけど生きているしな。……生物のカテゴリに居るかどうかは怪しいが。


「じゃあ、何歳だよ」

「25です!」

「いや……」


 さすがにそれは嘘だろう、と一瞬否定したくなったが、ファンタジー物の話には小人族的な種族は割と出て来るし、本当にそうなのかもしれない。

 というか25歳と言うことは、俺が死んだ年齢よりも上じゃないかよ。この見た目であっちの俺より年上……だと?


「まあ、信じられないですよね。こんな見た目ですから」

「まあ、そうだな」

「……と言いますか、この話を聖女様にもう一度説明している感じがして、何と言うか……違和感と言うか何というか、理解が追い付いていません」


 ああ、この聖女も生前同じようなことを聞いたのか。

 この少年の態度からしてかなり気が強かったみたいだから、おそらく相当問い詰められたのだろう。よく知っている人物なのに、対応が全く別の人と言う状況に脳が受け入れられず混乱していると言うことか?


 いや、ちょっと待て。さっきからもそうだが、俺の口調に関しての違和感ではなくて、あくまで態度について違和感がある、みたいな言い方じゃなかったか?


「なあ」

「何でしょうか?」

「俺の口調と、この聖女の口調は違うよな?」

「いえ、大体そんな感じの口調でしたね。さすがに俺とは言っていませんでしたけど」


 マジかよ、聖女。お前、聖女なのにこんな口調だったのかよ。

 まあ、さすがに権力者とかの前ではある程度、使い分けていただろうけど、聖女としてこの口調はどうなんだ?


「いやいや、こいつ聖女だったんだろう?」

「そうですが、聖女様は農村出身だったらしくて、そこで幼少期を過ごしていたためにそのような口調になったようです」


 どんな農村だよ。男も女もこんな口調、って、ああいや違うか。

 幼少期ってことは男女の区別もが無い様な年齢までそこで育ったなら、近くに居た大人の口調がそのまま移ったとみていいのかもしれない。ただ、死ぬまで同じ口調だったと言うところに少し疑問は残るが。


「そうかって、とりあえず本題に入るか」

「え?」

「いや、お前が俺を倒そうとしたから話が逸れたんだよ。まあ、ある程度の状況確認は出来たからよかったが、本当は今後どうすべきかの相談に乗って欲しかっただけだ」

「え、あー、そうでしたか。僕を亡き者にしようとしていた訳ではないと」

「お前、この聖女とどんな関係だったんだよ」


 様付けで聖女の事を呼んでいるし、最初の接し方からして蘇った聖女を見て殺されると思う程の関係だったとは思えないのだけどな。親しかったかどうかはわからんが少なくとも近い位置には居たっぽいし。


「僕はまぁ、簡単に言えば聖女様の世話係みたいなものでしたね」

「だったら何で殺されると思ったんだよ。別に俺が追いかけたからそう思ったという訳じゃないんだろう? 何か恨まれていたのか?」

「そうですね。それは無いです。お世話に関しても叱られることはありましたが、恨まれるようなことはしていませんし」

「なら何でだ?」

「ただ、僕は聖女様のことを助けることが出来たかもしれないのに、出来ませんでした。それで恨まれているかも……しれませんから」


 ああ、これはこの聖女が死んだ、と言うか殺されたのに関係する奴だな。俺の今の状態を見るにまともな死に方はしていないだろうし、どう考えても面倒な話になりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る