第98話 第五話 その19 爆・斬突!以下ry発動!
「今だッ!」
進行方向軸がずれれば、それだけ踏み込む隙がある!チャンスがある!
つまり!
剣撃が深く届く!
核蟲まで!
「行くぞ!」
「爆!」
「以下略ゥウウ!!!」
「こらああああああああああああ!」
「豪快に略すなおおおおおーーーーー!」
カチッ!
俺は鞘に仕込まれたスイッチを押す!
ちゅん助が長ったらしい名前にした爆・斬突はその長ったらしさに匹敵するだけの事はある色々な改良を遂げていた。
①剣を押し込むのではなくスイッチによる発動となった事で、完全に予備動作なく発動できる!
②爆人石だけを利用していた従来の火薬は、爆人石と風と炎の精霊石の粉末が混合された炎の精霊石を発火起爆装置に、爆人石と風の精霊石を高温高圧の燃焼ガス発生装置にした2段階方式に変更され、より強力かつ高速に剣を発射する事が可能!
③発射用火薬は鞘に2発分セットされている事により、リロードなしで2回の発動が可能!
④柄と鍔の形状に、レーシングカーが好きなちゅん助らしい強力な空力処理を施したため、剣の射出後、剣の回頭時は必ず剣の腹でなく刃が相手に向かい、さらに無理に回頭させなくても自然と大きな弧を描き射出される!
⑤無反動砲とやらからヒントを得て燃焼ガスを鞘の剣先側を開放状態にしてそこからある程度放出させる構造にしたことにより剣の発射の反動を抑える事で安定した軌道の確保が可能!
これらの改良により発射される剣の速度は飛躍的に向上させながらも、安定した斬撃軌道を苦も無く描く事が出来、対人獣戦の際に付いていた輪っかに手首を通そうものなら手首ごと持っていかれる位の威力と速度に達していた。
そのため柄には輪っかでなく綱のみが付いていた。
この世界の剣聖達(居るのか知らんけど!)の居合(この世界にあるのか知らんけど!)が、その剣速がどれほど速いのかは知らないが、人力でこの速度を発生させるのはまず不可能!
剣の重さは1kg近くある、それだけの物体が途方もない速度で爆発による超高温を伴ってぶっ飛んでいくのだ!
高速高温飛翔体と化した剣が持つ総合的なエネルギー量はライフル弾より遥かに大きいはずなのだ!
ド!シュパアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーー!
初期verとは全く違い爆発音は殆ど聞こえない!それはそれだけ燃焼高圧ガスの噴射力が効率的に剣に伝わっている証拠でもあった!俺の仕事はスイッチを押す事、そして手が持っていかれない程度の握りで綱を握り発射された剣の回頭をほんの少し促すだけだった!
無理矢理付き合わされてた初期verの実験では何度も失敗して、その度に腕が落ちそうになって、その都度、ちゅん助を殴りつけては怒鳴りつけていたのだが、何度も何度も次は大丈夫!とか言って騙され続けながら改良し続けた甲斐があった!
剣の軌道は左上から右下!もっともオーソドックスかつ自然な軌道!この軌道ならまず外す事が無い!
いや!
剣速が速過ぎてもはやこの軌道でしか射出が出来ない!
爆・斬突!スライス!!!!
「オラアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
ズバガッシーーーーーーーーーーーン!!!!!!
もの凄い衝撃と炸裂音!
俺は剣の跳ね返りがあったもしもの場合に備えて、身を屈めながらその音を聞いた!!
「やったか!?」
剣の跳ね返りは無い!
つまりダイオウの体に斬り込んでなにがしかのダメージを与えたはずなのだ!
爆・斬突によって生じた白い燃焼ガス煙が徐々に晴れていき、煙にまみれた剣先が見えて来た!
「コラーーーーーッ!」
「イズサン!」
「やったか!?」
「フラグを立てんじゃないお!!!」
「クソッ!!!」
剣は確かにダイオウの体を捉え、核蟲の一歩手前まで斬り刺さっていた!
あと少し…
あの忌々しい魔力障壁さえなければ!
「ギッギッギッギッギッギッ!」
剣があと少しで自分に到達したかもしれない、そういう状況なのに白い核蟲は余裕と言わんばかりに鳴き声、いや笑い声を上げていた。
爆・斬突が切り裂いた部分から数匹の灰グソクがこぼれ落ちるがすぐさま斬り落とした分のグソクが補充され傷口が無くなっていく!
魔力障壁に阻まれた剣はあっという間に取り上げられ槍と同じ運命をたどったのだった。
赤対策で武器を十分に用意したはずだったのに既に槍と剣一本ずつを破壊され、残すは予備の剣と予備にもならぬような腰の短剣のみ!
追い込まれた形になった…
いや!
この状況!ネガティブな思考は良くない!
対策があったからこそ!まだ終わっていないのだ!剣一本で向かっていたら最初の突進で終わっていたのだ!
「こらあああ!」
「イズサン!必殺技をCM前に出すときは破られる時だとあれほど!」
「お前が出し惜しみするな!つったんだろうが!」
「技名を略すからだお!」
「必殺技名にはその技の命が宿るんだお!」
「仏造って魂入れずとはこの事だお!」
「夜岸りさが巨乳になってしまったみたいなもんなんだお!」
「いやそれ…完璧になってない?」
「は?夜岸ちゃんは微乳だから完璧なんやぞ!」
「知るか!」
ちゅん助の難癖としょーもない性癖はともかくとして俺の最大威力の攻撃がいとも簡単に防がれたのだ!
早くも手詰まりか…
ポイ!
俺はもはや不要となった爆・斬突用鞘を投げ捨てた。
あと一発放てるはずだったが剣を砕かれてはもはや無用だった。予備の剣では微妙に形状が違う!鞘にピタリと合った剣でないと爆風が漏れて逆に危険なのだ!
「こらあ!イズ次郎!勝つのであればなぜ鞘を捨てる!」
「は!?剣は砕かれちまっただろうが!もう無用だろ!」
「ふふふふw」
「そういう時は!この刀はおまえの身体を鞘とするのだ!」
「と言い返すんだおw!」
「お前…」
「そういう下らない、ありもしないケースの対処だけはいっつも完璧に考えてるのな…」
「は?」
「おまえの好きなサーヴァントのサーベルちゃんの武器エクスカウパーだって鞘の方が本体やぞ!」
「なんか武器の名前が卑猥になってないか?」
「ええい!まだだ!まだ終わらんお!」
第五話
その19 爆・斬突!以下ry発動!
終わり
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