第97話 第五話 その18 大王
「まさか!」
「イズサン!これって!」
グソクたちが どんどん がったいしていく!
なんと ダイオウグソクに なってしまった!!!
「バカな!」
「は、反則だお!」
長い間、グソク討伐隊が編成され膨大な人員が投入されているというのに目撃情報がなかったり、あれだけちゅん助が探し回ったのに見つけられなかった理由はこれか!
恐怖の大王は魔王を核蟲としてのとんでもない数のグソクの合体した姿だったのだ!
高さは3mに達する勢い!体長に至っては10m近くあるのではないか!!??
その形状に至ってはもはやダンゴムシではなく強大凶悪なぶっとい芋虫であった!
しかも芋虫の癖に鎌首をもたげたような姿勢は、見る者を圧倒する姿だった。
ホオジロザメだってデカい奴でも5、6m位だって聞くぞ!
軽く倍近くある!
そんな奴が地上に居るのだ!蟲というよりこれはもう戦車に近い!
(しまった!こういう事か!青が合体してムカデになっていたのも…この可能性に気付くべきだった…)
「ひえーオムーだお!オムーだお!」
「森へ帰って欲しいお!」
「この先はおまえらの世界じゃないんだお!」
「この辺には森なんてない!」
「冷静に突っ込むなだお!まったく!」
「この世界はがきんちょにダンゴムシ千切って殲滅する遊びを覚えさせんからこんなことに!」
「あほか!むしろお前が前の世界で子供だてらに残酷な遊びしてたから!この世界で恨みを買ったんと違うんか!」
「は!?」
「わしはダンゴムシだけでなくて大人になってからもハチの巣相手に対空兵器ごっこしたり、アリの巣を殲滅ごっこして遊んどったお!」
「そりゃ恨みを買うわけだ!」
「は!?」
「わしゃこう見えてもマース製薬とゴマキラーの株主やぞ!社員さんに謝れ!」
「仕事と遊びは違うだろー!」
「弱い者いじめの話してる暇あったらこのダイオウ倒す方法考えてくれ!」
「無理です!キリッ!」
「はえーよ!」
ズズズズ!
ゴオオオ!
こちらの混乱を突いてゴオッ!という轟音を立てながらダイオウが突進してくる!直前で鎌首をもたげるような形になって大きな口を開けながら俺を丸飲みに!
それが叶わずとも丸ごと巨体で押し潰す様な勢いで襲い掛かってきた!
大きな口には丈夫そうな歯、いや牙が無数に生えており口の下にはあの白い魔王、核蟲が見えた。
「き!きたああ!」
「こいつ!デカい癖にそこそこ速い!クソ!」
俺は咄嗟に右へ身を躱しながらすれ違いざまになんとか槍の一撃を繰り出した!
ガキッン!
ガシ!バリバリッ!
「や、槍が!」
「き、効いてないよ~!」
槍は何とか核蟲の位置を捉えたが例の魔力障壁によって簡単に弾かれ、弾みで穂先が吸い込まれるようにダイオウの口の中へ飛ばされた。
牙によって捕らえられた槍の先端は飴でもかみ砕くかのようにいとも簡単に破壊されたのだった!
「勇者様~ッ!」
突如として起こった大異変と現れた巨大な侵略者に気付き、ガレッタが数名を引き連れこちらに戻って来る。
「これは!これは一体!」
「隊長!大王です!貴方が言ってた奴が現れたんですよ!」
「まさか!……言い伝えが…伝承が現実になるとは…」
「隊長!やばい!こいつはやばい奴やでえ!はよやっつけてクレメンス!」
「馬鹿ッ!けしかけて迂闊に仕掛けると危ない!」
俺はちゅん助をたしなめるように言ったが、彼がけしかけたから、そういうわけではないだろうが一人の隊員がダイオウに突撃していく姿が見えた。
「待てッ!お前!見かけ以上に相当速いぞ!正面から行ったら危ない!」
だが咄嗟の俺の警告はその隊員の耳には入らなかった!
「なんだあああ!こいつうううう!」
大きな叫び声とは裏腹にその隊員は恐怖で完全に錯乱していたのだった。あまりに巨大な相手に正常な判断力を失い無謀な接近を試みたのだ!
「危ない!下がれ!下がれえええッ!」
ガシッ!バリバリバリ!ブシュウウ~!
「うわあああああああああああああ!!!」
「!」
「!」
「!」
隊員は絶叫の悲鳴と共に鮮血を撒き散らして頭からダイオウの暗黒へ飲み込まれ頭蓋骨とその命を散らした。
「何という事だ!……」
「ひえええええええええええ!!!!死んだお!死んだお!」
ガレッタが呻くように言った。
奴に捕まった者の末路は…あんな風に…恐怖がこみ上げて来る!
ズズズズズ!
隊員の一人を文字通り血祭に上げたダイオウはその巨体をこちらに方向転換し始めた。
「来る!」
「い、イズサン!」
「出し惜しみしてる暇はないんだお!さっさとこっちの最大戦力を投入するんだお!」
「わ、分かってるよ!」
「やるしかない!」
「時間が経つほどこっちには不利なんだ!やるさ!」
「落ち着いていけお!」
「超秘剣!」
「爆・斬突改2ファイナルエディション!ちゅん助ディレクターズカットブルーレイBOXライオンの穴ショップMAX限定バージョンを出すんだお!!」
「お前が落ち着け!」
「隊長!」
「俺は左!貴方は右の牽制を!間合いは取ってください!」
「出来れば奴の頭をそちらに向けさせて!」
「あくまで向けるだけでいい!」
「危険な位置まで踏み込むな!」
「分かりました!」
爆・斬突は左から抜く!
ガレッタに右側に位置するように指示し俺は構えに入った!
ダイオウが目前に迫り最初の突進と同じく、鎌首をもたげて頭部がこちら側を向き核蟲が見えた!
「コイツめ!」
ガレッタが右側で誘いの突きを繰り出す!牽制にしかならない突きだがダイオウの頭がガレッタの方向を向いた!進行方向の軸が俺から大きく逸れる!
好機!
「今だッ!」
第五話
その18 大王
終わり
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