第58話 第四話 その19 判定は?

「アンタの言う通り、最大の武器!使わせてもらったわ!」


「色仕掛けで嵌めるなんて!ずるいお!」


 デコピコーーーーン!

「ぎゃああ!」


「アンタがそれ言う?」


「言うッポ!?」

「言うッピュ!?」


 ポカポカポカポカ!


「ぎゃあああああああああ!動物虐待止めてクレメンス!」


「あらぁ?変態を処罰してるだけじゃない?」


「ほ、ほんの冗談ではないか!」

「わしのような可愛いぬいぐるみに、ちょっと抱き付かれた…」


 デコピコーーーーン!!!

「ぎゃああ!」


「黙れ!」

「アンタ散々やりたい放題ヤッってくれたわね!」


「ほ、ほんの出来心だおw!」


「出来心でいたいけな少女のナマ乳いいように弄って、タダで済むと思ってるの!?」

「この罪!万死に値するわ!」


「待ってクレメンス!」

「許してクレメンス!」

「やめてクレメンス!」


「嫌メンス!さっさと死んでクレメンス!」

「っていうか殺すわ!」


「死んでクレメンポ!」

「逝ってクレメンピュ!」


「完殺のおおおお!ラストブリッドオオオオオオオオオオオオオオ!」


 ドゴオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオオン!!!!!!


 少女の体重が乗り腰が入った美しい軌道を描いたコークスクリュー右ストレートが綺麗にちゅん助の顔面にブチ込まれると、少女の拳がちゅん助の後頭部へ貫通するのではないかと思うほどの勢いで頭部を変形させて、ものすごい勢いでブッ飛ばした!


「みぎゃあああああああああああああああああああああああ!」


 ちゅん助は断末魔の悲鳴を上げるとポコンポコンと俺の方へ転がってきて、俺の脚に当たって止まった。

 仰向けになった彼の表情は、完全に目が回っており、失神KOされたようであった。


 大事な通信石がちゅん助の手からポロリとこぼれ落ちた事が、それを物語っていた。


「ちゅん助!ちゅんすけぇ~!」


「Q~~~……」



 決着!



 完全勝利を掴んでいた様に見えた少女との決闘は、ちゅん助らしい間抜けな敗北で終わりを迎えた。


 しかし、この少女はあれほどの精神的ショックの中でてっきり戦闘不能に思えたが反撃の糸口を冷静に見い出していたのだ。


 精神的に切り替える時間はそれほどなかったはずだ。


 ちゅん助のわけの分からない能力は確かに凄いと思えたが、こと戦闘になるとこの少女の方が何枚も上手の様だった。


 少女が俺達に近寄ってきた。


「お連れさん、判定は!」


「!」


 俺は慌ててちゅん助に覆いかぶさって、少女が追撃を行わないよう懇願した。


「き、キミの勝ちだ!こいつはもう戦えない…」


 少女は足元の通信石を拾うと、冷たい笑いを浮かべながら俺に向かって言った。


「使い魔の躾は…」

「ご主人様の責任…」

「そう言ったわよね?」


 少女は微笑んでいたが、目は笑っていなかった。


「と、言われますと…?」


 俺は恐る恐る尋ねた。


「脱げ!」


「ですよね~(棒)」


 こうして俺達は完全に無一文、おまけに俺はまた丸裸となってしまったのだった…


 ちゅん助!死ね!氏ねじゃなくて死ねだお!


 第四話 

 その19 判定は?

 終わり

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