第57話 第四話 その18 最大の武器 

「ちゅ!ちゅん助~!お前!お前なのか!?」


 俺は慌ててちゅん助に駆け寄ると拾い上げた。


「あいたたただお」


 ムカつく程触り心地のよい高級ぬいぐるみ、例えるなら猫の喉毛の10倍の柔らかさと密度。間違いなくちゅん助だった。


「イズサン!見とったかお?喰らわしたおw!」

「コリッコリをさらにコロンコロンにしてやったおw」


 気持ち悪い笑いを浮かべて、ちゅん助が興奮して言った。


「ちゅん助、一体?どうやって?ほんとにお前なのか?」


「は?こんな可愛い生き物、この世にわししかおらんやろうて!」

「こうしちゃおれん!」


 ピョン!


 ちゅん助は俺の手から飛び降りると、すぐさま少女に駆け寄って言葉責めを始めた!


「どわーはっはw!少女よ!我が究極奥義!思い知ったかお!」

「アンタだけはお断り!」

「とかお高くとまっておった割には」

「既に身体はカッチカチに勃たせて期待しておったではないか!」

「素晴らしい固さ!」

「♂を狂わせるけしからん臭い!」

「まったく最高だったお!」

「次は味見までしたるお!w」

「うむ震えておるのか!」

「ガックガクではないか!」

「ガクガクしちゃう~wとか言ってみせいだお!」

「ええか?言い方はこうやぞ?」

「ガ、ガクガクしちゃう~w!」


 ちゅん助は満面の笑みで少女の周りをはしゃぎ回った。


 少女は顔を赤くしたり青くしたりを繰り返し、完全に戦意を喪失していた。


 ここが勝負!


 さらにちゅん助は捲し立てる!

 怒涛の黄色い責めダルマ!


「ん?ん?先程までの強気はどうしたかお?」

「まさか!これで終わりかお?」

「拍子抜け!」

「まさに拍子抜け!」

「アンド少女の腰は腰抜けw」

「ええか?」

「よう聞けや!」

「ツンデレ女子はデレたら終わり!」

「ツンデレ諸君!デレたらそこで試合終了ですお?」

「そして貴様!」

「貴様の様な強気なクッころ!女子は、堕ちたら終わり!」

「あがいて~!もがいて~最後の最後まで無駄な抵抗を延々とする展開こそ至高!」

「な~の~に~きちゃまときたら!」

「もう腰が堕ちとるお?」

「この程度で???」

「情けない!」

「情けないお!」


 容赦のない言葉責め。ちゅん助は少女の周りを回ったり、少女の背中や頭の上に飛び乗ったり、やりたい放題!であった。


「こんな…こんな事って…」


「ピュー!」

「ポオー!」


 少女はなおも俯き完全に自信喪失、自我崩壊といった感じで身体を震わせ、目に涙を溜めて今にも流れ落ちそうであった。


 風炎のコンビは、なすすべなく少女の周りを飛び回るのみ。


 そんな状態の少女を前にしても、ちゅん助の怒涛の言葉責めはとどまる所を知らなかった!


 なにしろこの男、その手のエロゲで日々こういう状況を想定しているのだ。この戦場は明らかなるちゅん助のテリトリー、絶対支配領域なのだ!


「ん?」

「はじめてかお?」

「はじめてだお?」

「初めて汚されてしまったかおw?」

「ズキュウウウン!」

「初めての相手はディディオではないッ!」

「このちゅん助だッあー!ッ」

「ぶわーはっはっはw!」

「ん?ん?終わりかお?」

「とっくに10カウント以上経っとるお?」

「ん?」

「反撃が無いなら、わしの勝ちだお?」

「もうらめ~!とか言って、わしを悦ばせるかお?」

「それともガクガク!ガクガクしちゃう~!でもいいおw!」

「約束通り、何でも言う事聞いてもらうお?」

「さっさと負けを認めれば」

「仲間になるぐらいで済んだのに!」

「うぬぼれてわしと一戦を交える!」

「などという愚を犯した貴様の罪!」

「万死に値するお!」

「これから貴様は、わしの思い通りの愛玩動物に!」

「きっちりと!調教!調整したるから安心してほしいwお!」


 ますます調子に乗って少女の周りで騒ぎ立てるちゅん助。


 しかし彼は調子に乗りすぎて、少女の表情の変化を見落としていた。


「どうかおどうかおw?」


 ちゅん助は少女の前に立つと、少女の顔を見上げながら様子を窺った。

 少女は数秒間ではあったが、ジッとちゅん助を見つめていた。


 グイ!

 ギュニュ!


「!」

「おほほ~たまらん!観念したなお!w」


「き、キミ!な、なにを!」


 少女はいきなり両手で乳房のトップが見える寸前まで自らの衣装を引き下げ、ちゅん助の目の前で寄せ上げるように乳房を持ち上げた。


 微乳ではあったが美しい丸い乳房が寄せ集められ、逆ハの字を描いた見事な谷間が出来上がった!


「わしのだお!わしのだお!だおだお!だお~www!!!!!!!」


 最早辛抱堪らん!そんな感じでちゅん助が少女の胸にむしゃぶりつく。


「最高だお!わしのだお!夢を現実に!妄想を力に!」


 夢中で胸に抱き着くちゅん助を、少女は今度は一切の悲鳴を上げることなく冷静に見つめていた。


 少女の左手がそっと、しかし素早くちゅん助の頭に触れたかと思うと、ちゅん助の頭に生えた三本の毛を一まとめにして掴み取り、ぐいと持ち上げ胸からちゅん助を引き剥がした。


「つ・か・ま・え・・・・た♡」


 少女はにこりと笑いそう言うと、立ち上がってちゅん助を自分の顔の高さまで持ち上げた。


「ピュッピュー!」

「ポッポー!」


 衣装の胸の紐が解かれたために、もう少しで衣装が落ち乳房の全体が露わになりそうであったが、炎と風のコンビが紐を素早く交錯して結び、すんでの所ではだけるのを防いだ。


「あ?あ…れ…?」


 今度、慌てたのはちゅん助の方だった。手足をじたばたさせなんとか脱出を試みるも、毛を掴まれていてはぷらんぷらーんと前後左右に揺れるだけであった。


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「どうやってるのか分かんないけど…」

「思った通り、掴まれてると逃げられないようね?」


「逃げられないッポ!」

「逃げられないっピュ!」


 ポカ!ポカ!ポカ!ポカ!ポカ!ポカ!ポカ!ポカ!ポカ!ポカ!


 今までの鬱憤を晴らすかのように、風と炎がちゅん助をここぞとばかりに小突き回す。


「あいたた!暴力やめてくれだお!」


 デコピコーーーーン!

「ぎゃああああ!いたいお!」


 少女の強烈なデコピンが、ちゅん助の額に炸裂する。


「アンタの言った通り、最大の武器!使わせてもらったわ!」


 第四話 

 その18 責めダルマちゅん助 最大の武器に… 

 終わり

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