第10話 プロローグ その10 少女

 どれだけ眠ったであろうか?半日?数時間?いや数十分だったかもしれない。意識が戻ると閉じた目でも感じる位、強い日差しが降り注いでいた。太陽は最も高く登っている時間だろうか?

 目を開ければ眩しい光が飛び込んでくるに違いない。傷がまだまだ痛む。もう少し寝ていようか?


 そんな風に感じていた時スタスタと小さい足音が聞こえてくる。誰かが近付いてきたようだった。

 ガサガサと気色の悪いグソクの足音とは違う、人の近付いてくる足音だった。もうすぐそばまで近付いてきていた。足音の主が作る影が俺の顔を覆い太陽の日差しが和らいだように感じた。


 足音が止まりその人物は足元に立っている様だった。


「うーん!?」


 痛む身体をなんとか起こしながら持ち上げ、ゆっくりと目を開ける。影の主のマントで覆われた顔がこちらを見下ろしている。小柄で下半身は素肌が見える。身体つきからは女性かもしれないと感じた。


 不意にヒュっと心地よい風が辺りを吹き抜けマントが翻った。


 影の主は太陽を背にしながら右手で顔を覆ったマントめくり取ると腰に手を当てながら俺達を指差しながら言った。


「この間抜け!あんたら、ばかぁ!?」


 どこかで聞いた様な声だった。逆光で声の主の顔がはっきりと見えなかった…が数秒で目が慣れた。


「え?ええ!?」


 俺は思わず驚きの声を上げた!


「お?おお!?おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!うおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


 しかし、驚きが大きかったのはちゅん助の方だった。腹に抱えている小さい体が叫びながら最大限に大きく震えるのが分かった。


「ぬううううおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」


 さらにちゅん助はこれ以上ないというぐらい大きな叫び声をあげた。腹に抱えていたちゅん助の柔らかい感触が消えたような気がした。


 無理もない。だってその少女の姿は…その少女のスタイルはっ…その少女の声はっ!その少女の顔はっ!!!



 プロローグ

 終わり


ちゅん助ラフ落書き

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