第3話 美しき姫君3

城内 とある一室


 ガラっ


「楓禾姫!」


「鈴兄上様…… この様な所に……」


「この間見せた懸案について、もう一度意見が聞きたいのだ。楓禾姫!」


「そのような事を私に言われても困ります。とこの前も申し上げたではありませんか」


「なぜだ? 楓禾姫」


「なぜ ? 私の母が亡くなり、父上様が異を唱えない限り、兄上様が桜王家を継ぎ。稜禾詠ノ国を治め。いずれは日の本を……」


「私は源本の家の者。長子ではありますが、母親は側室です。それに、私に家督云々は周りの家臣どもの想いであって。私が望んでいる事ではありません」



 美しき姫君…… 楓禾姫…… 貴女様が……治めるべきなのだ



 私は 源本鈴みなもとりん





 *葉月はづきの三十日に十七歳なった。



楓禾姫の異母兄である。


*葉月八月

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