第2話
生徒会の会議が終わり、王城に向かう為ベルンハルトと同じ馬車に乗り込む。
「いよいよレオンハルト殿下が来るね」
「最後の攻略対象者か…」
遠い目をするベルンハルト。ゲーム内でトルデリーゼとレオンハルトの関わりは皆無にも等しかった。
つまり私の破滅には関係ない人なのだ。しかし…。
「私の破滅に関係ない人だけどアンネ様が迷惑をかけたりしないか気になるわ」
「国内の貴族だけならまだ目を瞑れるけど流石に国外の王族に迷惑をかけるのは…」
「国内の貴族でも問題になるけどね」
友好国の王太子に迷惑をかけるわけにはいかない。国際問題に発展する恐れがあるからだ。生徒会役員としてアンネを放っておく事は出来ない。
「アンネ様の対処方法は後日ゆっくり考えましょう」
「そうだね」
これに関してはユリアーナにも協力をして貰う必要がありそうだ。迷惑をかけるのは申し訳ないけど国同士で問題が起こっても面倒なので仕方ない。
「リーゼ、レオンハル殿下とは関わりを持ちたくない?」
「出来れば避けたいわ」
途端に申し訳ない表情をするベルンハルト。おそらく関わる事になるのだろう。
「僕としても関わらせたくないのだけどそれは無理そうだ」
「どういう事?」
「彼がこちらに滞在する間は僕が面倒を見る事になっているんだ」
生徒会とは別に任されているのだろう。
学園外でも面倒を見なければいけないとは大変だ。しかしベルンハルトは王太子なのだ、仕方ない話である。
「次期王太子妃としてリーゼにも手伝って貰う事になる」
「なるほど…」
ベルンハルトの婚約者として彼の手伝いをするのは当然の事だ。頷いて「分かったわ」と返事をする。
レオンハルトと関わるのは良いけど彼に関しては他に問題があるのだ。
「ベルン、レオンハルト殿下ルートの悪役令嬢が特進クラスに在籍しているの」
「誰?」
「アレクシア・フォン・フィンスターニス公爵令嬢よ」
ベルンハルトは驚いた表情で「そうなの?」と首を傾げるので頷いた。
「ゲームと似た感じだったらレオンハルト殿下とアレクシア様は小さい頃に出会っているはずです」
幼い頃に出会った二人はお互いに惹かれたまま離れ離れになり学園で再会を果たすのだ。しかし留学する一年前の事故で全て忘れてしまったレオンハルトは主人公に惹かれてしまう。彼が記憶喪失だと知らないアレクシアは嫉妬から主人公を苛めてしまい断罪されるという悲しいストーリーだった。
レオンハルトは他のキャラ全員を攻略しないと攻略出来ないキャラだった。ルートを出すだけでも大変なのに彼自体の攻略も難易度が高い。一回でも台詞の選択を間違えるとバッドエンドとなりレオンハルトとアレクシアが結ばれる。
二人の結婚式を見たくてプレイする人も居たくらい人気カップルなのだ。私も結構好きだった。
「レオンハルト殿下ルートはこんな感じね」
「それは横入りした主人公が悪いのでは?」
「主人公がハッピーエンドになるゲームなのよ」
よく考えたら婚約者が居る相手を奪ったり、家族と仲違いさせたりと散々な行為をしてハッピーエンドになっていたのだからゲームは不思議なものだ。
「それにしてもフィンスターニス公爵令嬢が悪役令嬢役か。あまりよく知らない子だな」
「あまり人と関わりたがらない人だからね」
公爵令嬢でありながらあまりお茶会に参加しない人だ。関わる機会がなかった。
「折角の機会だし、アレクシア様と話してみるわ」
レオンハルトが来るのは再来週だ。
それまでにアレクシアと話をしなければいけなさそうですね。
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