第176話 今後必要、多分きっと
「その紙に載っているものが一般的な商品です。ですけれどフミノさんは確か、自分で製材まで出来るのですよね。でしたらこういうものもありますけれど、いかがでしょうか?」
もう1枚メニューが出てきた。
『B級品・間伐材、選び放題!』
最上部にそんな見出しが踊っている。
ふむふむ、運ぶ途中で微妙に傷がついたり、長さや太さが規格に少しだけ足りなかったり。そういった材木にするには少し問題があるものを安く販売しているようだ。
ただ値段が……安すぎる。
長さ
これって確か以前の間伐材の値段と同じだ。
今の森林
ならこのB級品等の木材、少なくとも炭にする事が出来なかった頃より値段が上がっていい筈だ。
「今は炭に出来る。だからもっと高くていいと思う」
「だって出来れば材木として使ってやりたいじゃないですか。燃やすだけでは無く後に残るものに。
だから材木に使えそうなものは少しでも使って貰えそうな方に分類しておくんです。値段を炭用の木材と同じ程度に据え置いて。どうしても炭用が足りなくなれば仕方ないから使いますけれど」
なるほど。
「ならこれが欲しい」
「わかりました。それでは行きましょうか。今は河原の貯木場にまとめて置いてありますから」
イオラさんはそう言って立ち上がる。どうやらそのまま案内してくれるらしい。こちらとしては有り難いけれど心配もある。
「受付の方は大丈夫でしょうか」
リディナが聞いてくれた。
「他にも何人か奥にいるから心配ないですよ」
その割にこの事務所で他の人を見たことがないのは気のせいだろうか。そんな事を思いながら何度も通った道を通って河原へ。
どうやら林業にとって今はハイシーズンの模様だ。以前家を出していた河原の所々に丸太が積まれている。
イオラさんはその中で下流側、街よりの場所にあるそこそこ多めに丸太が積んである場所へと私達を案内した。
「こちらがB級品や間伐材の場所です。今のシーズンですと間伐材よりB級品の方が多いですね。そちらが5本
言って頂ければこちらで取り出したり取り分けたりしますけれど、フミノさんなら直接収納した方が早いですよね。ですので自由に選んで頂いて、最後に本数を申告して頂ければいいですよ」
うん、勝手知られているところは気楽でいい。そんな訳で早速購入する木材を選びにかかる。
「ところで確かこの前、350本ほどご購入頂いたのですけれど、もう使ってしまったのでしょうか」
「そうみたいです。在庫が無くなったと言っていましたから。小屋を作ったりゴーレム車を作ったり、こちらで作っていただいた小屋を少し改装したりして」
リディナ達が話しているけれどとりあえず無視。なんやかんやで木材があると便利なのだ。そしてそれなりに消費もする。何かを作ったり、魔物退治に使ったりで。
だから今度は足りなくならないよう以前以上に景気良く購入させて貰おう。最低で500本は欲しいかな。
いや、念には念をいれてもっと多めに。足りなくなって戻ってくるなんて出来ないから。今回戻って来たのはきっと特別。
「そう言えば今回もあの家でお泊まりになるのでしょうか。でしたら此処は今使っていますし人目もありますから、森林組合の裏にある作業場に家を出されたらどうでしょう」
「いいのでしょうか。そうさせて頂けると助かります」
「いえ、リディナさん達のおかげでこの街が一気に景気良くなったんですから」
うんうん、これで家を出す場所についても解決だ。だから私は懸案事項、木材選びを頑張らねば。
B級品と言ってもその辺にただ生えている樹木と違ってまっすぐだし質もそこそこ揃っている。多少の傷は使う時に考慮すれば問題無い。
だからとりあえず一番安い奴、全部購入してしまおう。それでもやっと400本。なら次は少し長いので……
◇◇◇
イオラさんの好意で森林組合裏、以前この家を最初に見せて貰った場所に3階建ての家を出させて貰った。
そして今は3人で夕食中。
「それにしても、あんなに買って入れても大丈夫なんですね」
「流石にイオラさんも呆れていたかな。大邸宅を作るつもりですかって」
リディナとセレスにそんな事を言われてしまった。
そう、結果的にB級品の山、ほとんど総ざらえしてしまったのだ。購入本数は合計で750本。
「それでも
また何か作る事があるだろう。それにアコチェーノエンジュ、重いから魔物相手にも便利だ。今は攻撃魔法を使えるようになったからあまり使わなくなったけれども。
「まあ金額的には問題無いし、持ち運びにも問題無いなら大丈夫でしょ。実際家を直したりゴーレム車を作ったり便利に使っているしね」
そうそう、その通り。
「明日はローラッテに行って鉄の購入かな。直接買いに行った方がいいってイオラさんが言っていたしね」
「ローラッテって遠いんですか」
「山向こう。だけどトンネルがあるから楽だよ。ゆっくり行っても1時間くらい。すいていればもっと早いと思う」
「トンネルがあるんですか。便利ですね」
「山を越えると疲れる。そんな理由でトンネルを作ってしまった誰かさんのおかげね」
その辺の話もセレスにしていなかった気がする。
「どういう事でしょうか」
「それはね……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます