それはまだ、人間の手には収まりきらない。

 主人公は「天寿」を全うしようとしている老人。死は主人公のすぐそばにあった。主人公は下の世話ができなくなったら、終わりだと考えていた。しかし高齢になった主人公は、自分のことはほぼ自分で出来てしまう。
 若い頃に不治の難病を患い、自宅での治療を望んだ主人公。医師にあるモニターをすることを条件に、自宅での治療を許してもらった。その医師も、もういない。妻にも先立たれた老人は、最期の願いを自宅で叶える。

 「おうち時間」というテーマながら、そこには人間の手に余るモノに対する問いかけや、普遍的なもう一つのテーマがあって、考えさせられました。

 是非、御一読下さい。