概要
家族においていかれた男の最後のおうち時間
壮一は、家族に看取られておうちで死ぬはずだった
しかし彼の人生はひょんなことから2週目を迎えてしまい、また冬がやってきた
※KAC2021 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2021~ 参加作品
お題「おうち時間」
しかし彼の人生はひょんなことから2週目を迎えてしまい、また冬がやってきた
※KAC2021 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2021~ 参加作品
お題「おうち時間」
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!そのおうち時間は虚しさだけを募らせる
もう自分の手元には愛しいものは何も残っていない。
あるのは本物に似せて作られた偽物だけ。
淋しさと虚しさが充満するおうち時間。
ただ生き続けるために生きること。そこにどれほどの価値を見出せるのでしょうか。
生きていることは、生の感触があるから、そして終わりがあるからこそ意味があるのだと気づかせます。
遠い光を求める主人公の最後の決断は現代人なら同感を得るはず。
しかし別の観点で見れば……。
ひやりと冷たいものを感じるラスト。
それまでの主人公の心情を嘲笑うようなこの温度差が効いています。
二千字にも満たない物語の中に生死や価値観に対する問いかけが詰まった一編です。 - ★★★ Excellent!!!それはまだ、人間の手には収まりきらない。
主人公は「天寿」を全うしようとしている老人。死は主人公のすぐそばにあった。主人公は下の世話ができなくなったら、終わりだと考えていた。しかし高齢になった主人公は、自分のことはほぼ自分で出来てしまう。
若い頃に不治の難病を患い、自宅での治療を望んだ主人公。医師にあるモニターをすることを条件に、自宅での治療を許してもらった。その医師も、もういない。妻にも先立たれた老人は、最期の願いを自宅で叶える。
「おうち時間」というテーマながら、そこには人間の手に余るモノに対する問いかけや、普遍的なもう一つのテーマがあって、考えさせられました。
是非、御一読下さい。