第四章 愚者の戦場

第四章プロローグ

「………こうまで数を揃えてくると、本気でディルクロッドを堕とそうと考えてるようだなあの王」


 眼下に広がる、軽く万は超えるであろう人の数。相対するのは俺、アリス、ルーナ、そして――――


「所で、本当に俺たちに着いてきてよかったのですか?姫様。これから、あなたの国の民を沢山殺すのに」


「仕方ありません。そして、もはや私はあの国を捨てました。狂った王が治める国は私の故郷ではありません」


 ディルクロッドが元々所属していた『アレシオン王国』の第二王女であるエリメラ・アレシオン様も一緒にいる。


「私がここにいるのは、身も心もあの国を捨てたということを再確認するため……問題はありません。思いっきりやってくださいまし、ティルファ様」


「……そうか」


 この姫様を助け出したのが三週間前。ディルクロッドとアレシオン王族との仲の悪さはもはや語るまでもないほど有名だが、唯一メルジーナ様が仲良くしている王族。


 多分、メルジーナ様はそのままくんずほぐれつな関係を目指していたと思うが……エリメラ様は本当に王族?と思ってしまう程にいい人である。メルジーナ様と仲がいいのも納得である。


 ついでに、彼女の騎士団長のエミルって人も持ち帰ってきたけど良かったのだろうか。この人はいい人っぽそうだから流れで連れてきたけど。


「そういうことならしっかりと目に焼き付けておいてくれ姫様。俺の魔法が、人を殺す瞬間を」


 ただまぁ、今それを考える必要は無い。開戦の一番槍。しっかりとこなして見せようではないか。


星堕準備サンセット


 背後に、擬似太陽が浮かび上がった。


 後に、狂った王が無謀にも始めた『愚者の戦場』と呼ばれる戦争――――いや、蹂躙が始まった日である。





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