第6話
「ちょ、ちょっとあなた!?」
「……はい?」
私の出番が終わり、慌てて話しかけてきたのは確か……さっきまで一位だったメアルちゃん。プラチナロンドの髪が綺麗な子。
「あなた……!どうして私と同じ魔法を――――」
「元々、今日は
先生があの時使った魔法で勝ちたくて、先生に無理して教えてもらった特級魔法。先生は最初は「まじ?」みたいな顔で私を見たけど、直ぐに「しょうがないなぁ」と言って笑って、私の頭を優しく撫でてくれた。
私は、あの表情が先生の中で一番好きだ。だから、ちょっとフィアン学園長の所にこっそり言ってコツとかを教えて貰って、なんとか今日で仕上げることが出来た。
多分、先生だったら「及第点だな」って言うと思うけど。
「それに――――」
「それに……?」
「……ちょっとだけムカつきました」
「どうして!?」
だって、あの魔法は先生のなんだもん。
先生の、得意技なんだもん。
「メリウスちゃん!」
「わぷっ……カレンちゃん、急に抱きついきたら危ないよ」
あれから結局、メリウスの記録を超す挑戦者は居なかった。まぁそれも当然と言えるだろうが、一日目の魔法コンテストは見事、メリウスが一位を取って終わった。
惜しくも(?)メリウスに負けた、二位のメアルさんと何やら最後に少しだけ話しており、握手を交わしていた。多分、次は負けませんわ!的なことを言ったのだろうか。
うんうん、神童に屈しずに前を向く姿勢はものすごく大事なことだ。彼女はきっと、まだまだ強くなれる。
そして、帰ってきたメリウスを迎えて、カレンが思いっきりメリウスに抱き着いているのが現在である。
「ほら、その辺にしておけ……締まってるぞ」
「え……わわわ!ごめんね!メリウスちゃん!」
「く、苦しかった……」
手を回したところが悪かったのか、それとも力が強すぎたのかどんどんと顔が青くなっていくメリウスを見て、慌ててカレンの頭を叩いた。ケホッ、ケホッ、と二回ほど咳き込んだ。
「ま、とりあえず優勝おめでとうメリウス。MVPの一歩だな」
「はい、ありがとうございます。先生」
俺が祝福すると、ぺこりと頭を下げてお礼を言うメリウス。
「だけど、
本来ならあんなにバチッバチッと紫の閃光は立たないし、あれで普通なら、もっと点数が出てもおかしくは無い。
「その、ごめんなさい先生……ちょっと力み過ぎちゃって……」
「ま、この舞台だから緊張するのも当たり前だ。きちんと見直すように」
「はい」
力強く返事を返してくれるメリウス。うん、この様子なら大丈夫だろう。
「あら、メリウスさん」
そして、三人でご飯でも食べようかと移動をしていた時、つい先程見たプラチナロンドの髪の子がメリウスと視線が合い、名前を呼んだ。
「あ、メアルちゃん」
「2位の子」
「うぐっ、そ、それはあんまり言わないで貰えると……」
特に悪意のないカレンの言葉がメアルさんを襲った。カレン、それは事実だろうけど言ったらダメだよ……。
「あ、ごめんなさい、つい……」
「じ、事実ですがあまり言わないでくださいまし……それで、こちらの方が――――!!」
ん?なんか俺の顔見たら固まったけどどうした?もしかして俺って初対面で見たらびっくりするような顔付きでもしてるの?姉さんやアリス達からは「かっこいいかっこいい」言われてるから、そんなに酷くない顔だとは思うけど……。
と、思考が何やらネガティブの方向に行きかけ、勝手に一人で落ち込んでいたら、彼女の叫び声が耳に届いた。
「ティ、ティ、ティルファ様ぁぁぁ!!」
「おん?」
俺の名前を知ってる?なんで?
「し、失礼致しました!私!メアル・クロフォードと申します!以後お見知り――――いえ!まずは握手をお願いします!」
「お、おう?」
勢いに押されるがまま、彼女と握手をする。ていうか、クロフォードってアイセーヌの伯爵貴族じゃね?
「えと……どこかであったことある?」
「いえ!私が知ってるだけですわ!あぁ……!お会いできて光栄です!」
ここが人気のない会場の廊下で良かったと心底思った。
「ちょ、ちょっとメアルちゃん!私達の先生なんだから離れて!」
隣にいたメリウスが慌ててメアルさんの手と俺の手を離した。
「メリウスさん!邪魔しないでくださいまし!」
「邪魔するもん!先生に近づく女狐――――じゃなくて、け、警戒しないとだもん!」
待てメリウス。お前今なんて言おうとした?
「あー………とりあえず、事情の説明を」
「……こ、これは失礼しましたティルファ様。私、尊敬する人に出会えてつい舞い上がってしまいました」
「尊敬?」
「はい。私は、七年前、ティルファ様の
なんと?
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